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真実を暴露する話

天界の上から真実を暴露する

作者: 氷桜 零
掲載日:2025/10/24


残業、残業、また残業。


書類の山はいっこうに減らず、むしろどんどん積み上げられていく。

そのうち私の身長を超えそうな勢いだ。


残業をしているのは、私だけではない。

どこの部署も、似たような状況になっている。


そもそも私たちが残業する羽目になったのは、上司(神)の責任である。

あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。

仕事を放り出して、自由気ままに人間界を観察している。


転職したいところだが、私たち天使は神に作られた存在。

作った神の命令からは、逃れられないのだ。

悲しいことに。

その肝心の神は、誰にも縛られずに生きている。

神を交換して欲しいと、何度願ったことか。


たまに仕事をしにきたかと思えば、現場を荒らしにきただけだったり、新たな仕事を押し付けにきたり。

無理難題を押し付けるだけ押し付けて、それを忘れたこともある。


いい加減にしてほしい。

誰がこれを神にしたんだと、訴えたい。

訴える場所なんて、何処にもないのだが。


神を取り締まる機関は、ないものだろうか。

絶対に必要だと思う。



はあ……

今日もまた家に帰れそうにないわ。

いつになったら、家に帰れるのかしら?



何なら、3年ほど家に帰っていない。

そのうち、自宅の場所を忘れそうで怖い。



誰よ、神に仕えることは誉れだと言ったヤツ!

これの何処が誉れ?

むしろ神罰と言われた方が納得できるわ。

こんな神の実態、人間たちは知らないでしょうね。

知っていたら、敬うことなんてしないと思うわ。

……いっそのこと、全てバラしちゃおうかな。

バラしたら、人間たちはどんな反応するかしら?

神への信仰が下がったりして。



一度そう考えると、とても良い考えに思えてきた。

神への信仰が下がれば、神からの支配も弱まるかもしれない。


私は音を立てて椅子から立ち上がると、自分の考えを実行することにした。


天界には、神託を降ろすための建物がある。

そこは、各国の神殿や神の声を聞く聖者に繋がっている。

しかも、天使たちにどんな神託を降ろしたか、知らせる設備も揃っている。

これほど都合のいい場所はない。


私は、それらを動かすための全ての神術を起動させ、天界と人間界のパスを開いた。


神はちょうど人間界に行ってて不在。

すぐには帰ってこれないだろう。

それに、私の声を聞いた天使たちなら、妨害に協力してくれるはず。



さて、始めましょう。



「私は熾天使セラフィム。我が主神ヘーゼルダインのことについて、告げる。」



よし、上手く起動している。



「ヘーゼルダイン神は、天界の仕事に一切関与せず、遊び呆けている。その皺寄せは、我ら天使が被っている。たまに現れたかと思えば、現場を荒らし、仕事を増やしていくことのみ。」


『そうだ、そうだ!もっと言ってやれー!』


天使たちの支持は、上々。


「人間界に行っては、人間関係を無視して一人を贔屓し、結果として人間界に混乱と悪意を広げ、穢れの増幅に加担している。一人を贔屓すればどうなるかなんて、わかりきっているのに。自分の趣味と欲望を優先させている。」


『まさか……主神が……』


『でも確かに、心当たりはあるわ。』


人間の中にも、疑惑の種があったみたいだ。

これなら、私の言葉を理解してくれそうだ。


「また、神々が諍いを起こしても、止めるどころか煽る始末。そのせいで、人間界に天災が降り注いでいると言うのに、見て見ぬふり。」


『やめろ!そんなこと、しておらん!!』


神が天界に帰ってきたみたいだ。

止めろと言われて、止める奴がいるものか。


「祝福を与えるのも、私たちの意見や調べを無視して、趣味と欲望のままに与える。そのせいで、人間同士の争いを引き起こし、どれほどの人間が死に、国が滅んだことか。」


『そうだー!そのせいで、また仕事が増えたんだよ!』


『あ、あれは、人間が勝手にやったことで……』


「主神が止めれば、戦争は止まったはず。……こんな神だから、多くの天使が離反して、堕天使になったのだ。天使が減れば、それだけ残された天使の負担が大きくなる。この責任をどう取るつもりなのか?」


『……うぐっ……』


「人間たちよ。神を信仰するのは自由だ。だが、自ら考え、歩むことを止めてはならない。止めてしまえば、人間の発展はない。ただの神の人形と化すだろう。今一度、よく考えるといい。私からは以上だ。」





私の告白は、天界と人間界に、嵐を巻き起こした。


人間たちの神への信仰は下がり、神に縋ることを辞めた。

自らの足で歩み始めた人間たちは、戦うのではなく、言葉で意思を伝え合うようになった。

その結果、不要な死が激減した。


死者を担当する部署の天使は、泣いて喜んだと言う。


神々は自らの行いを振り返り、今回のことを戒めとした。

誰もこんな恥ずかしい思いをしたくなかったのが、本音である。


ヘーゼルダイン神はしばらくの間、天使たちによって、馬車馬のように仕事に追われて、自らの行いの尻拭いをする羽目になった。


その隣には、いつも鞭を常備した熾天使がいたと言う。

その熾天使は、輝くようなスッキリとした笑顔であった。



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― 新着の感想 ―
 (૭ ᐕ)૭=૭彡))Д´)パーン!!    †神への反逆†
最後の一文「輝かんばかり」ってつまり輝いてないですよね?素直に「輝くようなスッキリとした笑顔」で良いのでは?
不自然なぐらいやたらと一人のキャラ(もしくは数人の主要キャラ)を贔屓する物語、あるよね〜と思ってたら成る程、こういう駄目神のせいだったんですねぇ〜! 立ち上がった天使さんのお陰で、働くべき存在がちゃん…
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