表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

護衛

ちょくちょく頑張ります。

読んでくれてありがとうございますm(_ _)m

「ローレンとミシャーナだ」

翌朝カルダンに呼び出された。昨夜殿下に勝手に木の実をあげたのがアウトだったのかと思ったが違ったらしい。

私は紹介された二人に目をやった。

一人は薄い金髪に、ちょうど今日みたいな寒空と同じ透き通った碧眼の少年。もう一人は似たような金髪に鮮やかな水色の瞳をした少女だ。

「はじめましてミシャーナ・カレシアです!よろしくお願いします!」

寒さで頬や耳を赤らめているが溌剌とした声で少女‐ミシャーナが言う。それを追うように少年も挨拶をした。

「はじめまして、ローレン・レビノスです。どうぞよろしく」

こちらは少し軽薄そうな印象を受ける。どちらも割と整った顔立ちをしていた。…殿下に見慣れすぎただけかも知れないが。

「ユウエス・フォン・ガレディアスです。こちらこそよろしくお願いします」

私は邪気のなさそうな笑顔を浮かべる。そしてカルダンに視線を送る。まだこちらは何の用で呼び出されたのか知らないのだ。

「……?」

「……それで一体何の用ですか?」

なかなか意図が伝わりそうになかったので質問する。

「ああ、今日から二人にも皇子の護衛をしてもらうことになったんだ」

「……」

見たところ平民である二人だが、護衛を任せるということはきちんと裏の取れているということだろうか。それとも国お抱えの組織の者なのか。

「雑務も得意なやつらだからお前も助かるだろう?」

「護衛役が増えるのは嬉しいですけど…どういう意味ですか?」

今まで通り護衛をしていれば、たとえ二人が裏切ったとしても大丈夫だろう。しかしそれだけにしては言葉の意味が分からない。

「ん?いや、次の作戦は小隊を複数作って行動するんだが、食事は各隊ごとと決まってな。ランヴァルト皇子はあまり食わないし、そもそも自分で作ったものしか食べないからいつもと変わりはないが、辺境伯がお前は料理ができないと言ってたからな」

「そうですか…」

平野を移動するなら護衛の負担が大きくなる。その理由には納得だが、少し解せない…確かに私は料理は得意ではないが食べれないほどのものじゃない。どういう意図で父が言ったのか問い詰める必要がありそうだ。

「分かりました…父はこの後軍議の後に朝食がてらの小休憩ですよね?」

「そのはずだ」

「ありがとうございます」

(久々に親子水入らずの会話というのもいいだろう…)

ユースフィリアの笑みがゆっくりと深まっていくが、不思議と周りに冷気が漂う。カルダンはちょっとした寒気に軽く首を捻りつつ軍議に出席するために去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おはようございます殿下」

気を取り直して殿下に挨拶をすることにした。二人の紹介も一応必要になる可能性もあるし。

「ああ」

殿下は短く返した後に、二人に気づいて目を丸くした。

「ローレンとミシャーナじゃないか」

「お久しぶりです殿下」「お久しぶりです!」

どうやら紹介の必要は無かったらしい。殿下の表情から察するに結構信頼していそうだ。二人が護衛に選ばれた背景にはこれも含まれているのだろう。

「あ、ユウエスさん、でいいですかね?…朝食一緒にどうですか?」

「…お誘いは嬉しいのですが、この後少し父に用事がありまして…また次の機会に。名前は好きに呼んでもらって構いません」

「そうですか…ではまた、ユウエス」

さらっと呼び捨てになっている。別に気にしないが、平民であるのにほぼ初対面の貴族にたいして呼び捨てはなかなかできないような芸当だ。人となりを把握するのが上手いのか。

私は貴族の友人より平民の友人の方が多いが、中には私が貴族だと知って距離をおいた友人もいた。

なのでいっそローレンの態度は好ましいとも言える。

「ではまたユウエスさん!」

ミシャーナはさん付けのようだ。こちらもこちらでらしい気がする。

私はみんなに挨拶をし、父のもとへと向かった。

(*^^*)ちょっとした小話


「パパ、私の料理ってそんなに不味い?」

「ああ、あれは食えたものじゃないな…お前と二人でサバイバル訓練に行ったことをどれだけ後悔したことか…」

少し考え事をしていたためか娘の質問に反射で答えてしまった辺境伯。話している間にその時のことを思い出してきたのか段々と熱がこもっていく。

「エリヴェシルも下の子達もみんな料理上手なのにどうしてお前だけ…万が一殿下に食べさせてしまったらとんだ不敬罪だと…」

ようやく辺境伯は娘の目の奥が全然笑っていないことに気がついた。

「あ、いやフィリア…今のはちょっとしたジョークで」

慌てて繕っても時すでに遅し。辺境伯は虎の尾を踏んだ後だった。

「分かってますよ」

いつも以上に優美な微笑みは遠くから見れば沈魚落雁ものであるが、辺境伯からしたら地獄の使者も顔負けの迫力があった。

「私だってレシピがあればきちんと作れます。…今度味見をお願いしますね」

「あ、ああ…」

(結局いつも途中でレシピを放り出すじゃないかっ!)

辺境伯の心の叫びも娘の凍った瞳により黙殺された。


エリヴェシルはユースフィリアのお母様の名前。ちなみに辺境伯はユヴェリアスです。(*´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ