ユウエスの悩み②
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ーコンコン
ユウエスは重厚そうな両開きの扉に付いているドアノッカーを鳴らした。
「エル姉さんいる〜?」
「は〜い、居るわよ。入っておいで」
「…失礼します」
ここはシルエル専用の執務室。両親が商売人としての才覚をあらわしたシルエルのために作ったものだ。
各地の風土記や、地図、外国語の本などがびっしりと棚に詰められており、何冊かは机の隅に積まれたり、椅子に投げ出されたりもしている。
机も長さや形状の違うものがいくつか置かれており、それに伴って椅子もたくさんあった。
ユウエスはそのうちの中からシルエルが着いている机に一番近い椅子に腰を下ろした。
「今日は何の用?」
「リア姉さんみたいに格好良くなるためのアドバイスをもらいに…」
「格好良く…?難しいんじゃない?」
「うっ…」
歯に衣着せぬもの言いでばっさり切られる。
「どうして悩んでるの?」
「う〜ん、可愛いって言われるのも嬉しいんだけど、僕だってもう14でしょ?それでね、顔の似ているリア姉さんはよく格好いいって言われるけど僕はいわれないなあって気づいて」
「なるほど。言われてみるとそうね」
(きっともうシルビアの所には行ってるわよね。シルビアのことだから所作や服装には触れたでしょうから…)
冷静に分析をし、理論的な因果を把握するのを得意とするシルエルと、流れに聡く、人の機微の把握を得意とするシルビアは相性が良かった。
両者とも観察眼に長け、思慮深い。
「そうね…ユウエスとお姉ちゃんは割と似ていると思うんだけど…」
「見た目以外にってこと?」
「ええ」
(変に割り切った考えと行動力もそうだし…割と図太いところがあるのもそうよね)
「性格的な面よ。二人とも有事の際の判断が速いし、行動力もある。真っ直ぐだけれど一筋縄ではいかない…ちゃんと自分の軸を持って動けるじゃない。他の人じゃなかなか出来ないことよ」
(私もシルビアもまずは損得勘定からじゃないと、動けないものねえ)
シルエルは心のなかで感慨深げにそう吐く。そういったところが尊敬に値するのだと温かな気持ちになりながらシルエルは思った。
「そっか…ちょっと照れるけど、リア姉さんのそういったところが好きだから嬉しいな」
「ふふ…そうねえ」
やっぱり弟は可愛いなとシルエルは思わずにはいられない。
それを悟られないように一つ咳払いをしてからシルエルは続けた。
「ちょっとした違いと言えばそうだけど、口調や表情を意識してみたらどう?お姉ちゃんは基本他人と接するときは騎士のようでしょう?それに、笑うと言うよりは微笑むような感じがおおいでしょう?」
「…確かに。騎士モードの姉さん格好いいよね。僕ももうちょっとシャッキとした感じで頑張ってみる」
「たまにはそれもいいんじゃないかしら。いつものあなたもいいけれどね」
「うん!ありがとう。エル姉さん!」
「どういたしまして」
やはりまた上機嫌でユウエスはシルエルの執務室を後にした。




