番外編 侵入者
お久しぶりです!読んでくださってありがとうございます(*´ω`*)
番外編ではありますが楽しんでいただければ幸いです。
なかなか続きがかけない状況が続いております。
昔から初めと最後は設定が決まっているのに中間が…決まらない、に陥ってしまって進まなくなってしまう…頑張ります
「なあ、フィリア」
「はい。なんですかお父様?」
わざとらしい笑顔を浮かべ、茶番のような掛け合いの後、静寂が場を支配する。
ニコニコと笑みを刻みつつ双方、相手の出方を伺っていた。
「パパね、面白い話を聞いたんだよ」
「へー。どんな話です?」
あからさまな棒読み口調でユースフィリアは問い返した。
「入学式の日、侵入者が居たらしいんだよ」
「それは…面白いと言うより物騒ですね」
「ハハ…なんでも塀を越えて侵入したらしい」
「なんともすごい脚力の持ち主だったんでしょうね」
「「ははははは…」」
白々しい態度を貫くユースフィリア。
ユヴェリアスは知らないわけではない。そんなことはユースフィリアも分かっている。
言うなればこれは様式美だ。
何事にも順序と言うものは存在する。
ふっとユースフィリアは力を抜くように微笑む。
そしてスッと表情を無に戻した。
「すみません、お父様」
「うん。素直でよろしい。それで?何があったんだい」
少し冷めてしまっていた紅茶を一口飲みつつユースフィリアは思案顔をする。
「えと…門番に予定に無い者を入れるわけにはいかないと言われて、確認のしようも無かったので一度馬車に戻ろうと思ったんです」
「つまり、戻りはしなかったんだね」
「…はい」
ユヴェリアスは半ば悟ったような表情をしながら続きを促した。
「それでまあ、思ったんです。暇になるんじゃって…」
「それで塀を越えて侵入したと…」
「結果的にいえばそうです」
悪びれもせずに開き直ったユースフィリアは上品に紅茶を啜った。
若干の苦笑いをこぼしながらユヴェリアスは咳払いをした。
「ランヴァルト君も驚いていたよ。学園で木登りをするもの好きがいるとは思わなかったって」
「私も驚きました。気を抜いてしまったとはいえ気配を悟られるなんて思いもしませんでしたから」
殿下も成長しましたねえとしみじみと頭を振る娘を横目に、ユヴェリアスも紅茶を啜った。
「これ何だと思う?」
ユヴェリアスは徐ろに懐から何かを取り出した。
合い札のようだが、いささか装飾が凝り過ぎなのではとユースフィリアは内心首を傾げる。
「合い札ですよね」
「そうだよ」
どこのとはどちらも言及しない。
しかしユースフィリアは嫌な予感を感じていた。
「まあ。もったいぶるのもなんだし言ってしまうけれど、これ王宮用の合い札です」
どこか楽しげに目を細めながらユヴェリアスは言う。
「しかも陛下の執務室直行プラン付き」
「微妙な特典ですね」
歯に衣着せぬもの言いで、諦めたようにユースフィリアはため息をついた。
「どうしてそれが私に?」
「件の侵入者の話を陛下も耳にしたらしくてね」
「……」
「最近、話し相手が居なくてすっかり滅入ってしまっているようだから…まあ、お願いね」
「それってパパの仕事じゃ?」
最後の抵抗とばかりにユースフィリアが訊く。
話相手と言うよりも愚痴を言う相手が欲しいのだろう。
一国の主であるから普通の会話ができる人物はおろか、愚痴を言える相手となると極小数に絞られる。
「いや、パパの仕事でも無いからね」
「それはそうですけど…半ば固定化されているようなものでしょうに」
「はは…」
「それで期限は?」
「来週1週間、放課後に寄ってほしいそうだよ。馬車を用意するからランヴァルト君と一緒にだそうだよ」
「分かりました」
そう答えたユースフィリアの口元には薄っすらと笑みが浮かんでいた。
なんやかんや言いつつも小さな頃から世話になっている身。
最近会う機会も少なかったのだからたまにはいいだろうとユースフィリアは思っていた。




