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初日

お久しぶりです。

読んでくださってありがとうございます。



計画性の無さから、続きがどうしても書けなくて今、必死にプロットを作成中でございます。

それにあたって暫くの間投稿を止めたいと思います。

すみません(´;ω;`)

「はじめまして。フィリア・ジェンベルです。今日からよろしくお願いします」

そう言ってペコリと頭を下げる。

好奇の視線、睨みつけるような視線、そもそも関心のなさそうな視線。

様々な視線がこちらを射すように見ている。


今日は学園生活一日目だ。

私が編入したのは二学年二クラスだ。

この学園では一学年に8クラス、だいたい180人ほどが在籍している。

クラスは3年間変わらず、クラス間の差は無い。


入学時の成績からクラスごとに差が無いよう振り分けられているらしい。

家どうしの関係性なども加味されているのだろう。

もちろん上級貴族の介入もある。

(私自身もそんなものだ)

そう、思いつつ教室の奥の方に座っている殿下を見る。

私と殿下が同じクラスなのは偶然でもなんでもなく陛下の図らいだろう。


「ジェンベルさん、貴方は窓側の一番奥の席を使ってください」

「はい」

先生に促され席の方に歩いていく。

にわかにざわめきが大きくなった。それは私の席というのが殿下の隣だからだろう。


「おはようございます」

「ああ」

小さく挨拶を交わしてから席につく。

陛下の命令で私が殿下の護衛だということは内密にしないといけない。

そうなってくると私が殿下の側にいることが不自然なので、ガレディアス家に縁がある者だということを全面に押し出すことにした。


我が家と殿下の繋がりが深いことを多くの貴族は把握している。

私はガレディアス家からの将来の殿下の部下候補として、そして殿下は私が学園に慣れる手伝いを頼まれたという体で動く。

私は平民枠で編入したが、我が家は変わっているという認識であるから大丈夫だろう。

それに私が首席として編入した事実もあるためある程度の説得力はある。


同時に私がガレディアス家長女の乳兄弟だということも公表する。

辺境だとか、元平民だとか馬鹿にする貴族は多いが、家はかなりの影響力をもつ家門だ。

もとより皇族に近いこと、戦争時には最高司令官として時には陛下よりも発言権をもつことなどが挙げられるが、最近は双子の活躍もあり社交界や商業でも力をつけてきた。


それに辺境伯は実質的に侯爵と同格以上と位置づけられる。

しかし代々大雑把な人が多かったということもあり、権力を振りかざすようなことはしてこなかったため我が家を軽く見る家が多いのが現状だ。


つまるところ辺境伯家の長女として家を継ぐ可能性が少なからずもある私に近づこうとする人間もいるということだ。下手に手を出してこようなんて馬鹿はすくないだろう。


「殿下は今日の昼にご用事があると言っていましたよね」

「ああ。特別棟の三階の生徒会室だ」

「了解です」

流石についていくことは出来ないので私は近くで待機しておこう。


授業開始を告げる鐘がなった。

すぐさま教室が静まる。私も視線を教師の方に向け姿勢を正した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい、そこのお前」

「何でしょう?」

お昼休み。殿下が用事を済ませに行ったため手持ち無沙汰になった私は特別棟の近くの裏庭を散歩していた。もちろん辺りの警戒をしながらだ。


私を呼び止めたのは聞き馴染みのない、冷たい響きを持った鈴の音のような声だった。

振り返った視線の先にいたのは陽が溶けたような金髪に、深い碧眼をもつ人物だ。

(少し殿下に似ている…)

発する雰囲気がどことなく殿下に似ているような気がした。

端正で中性的な顔だからかもしれない。


「フィリア・ジェンベルだな」

私は頷く。

それにしてもどこかで会ったことがある気がする。

「…今日、ランヴァルトと一緒だったのは何故だ?」

「…困りごとがないようにと辺境伯が取り計らってくださって…」


「…事実だったか」

無意識的につぶやいたのだろうか。小さな声だったが私は耳がいいのできちんと聞き取れた。

いったい何の確認か知らないが用事が済んだのなら早く解放して欲しい。


「時間をとらせたな。もう問題ない」

「そうですか」

「…待て、伝言を頼む」

「殿下…ランヴァルト殿下にですか?」

確か他にも二人皇子が在学していたことを思い出し言い直す。

「ああ。兄上が次の()()に出席するように言っていたと」

「…兄上とは貴方のご兄弟の方ですか?」

「?そうだが?」

無表情であるが不思議そうに返答が返ってきた。


「…失礼ですが…お名前を伺っても?」

「まさか…私を知らないのか!?」

心底驚いたとでも言いたそうだ。声の大きさは変わっていないというのにありありと伝わってくる。



「いや、そうか…私はジュリア・フォン・ユージェーンだ」

「分かりました…って、え?」

一人納得したように名乗ったと思えば、想定外の人物だった。

(もしかしなくても第二皇子だ…)

この人もこの人でなんで一人で出歩いているのか。護衛の気配を感じはするが、少ない。

正妃の子供で、歳は私達と同じだがこの人のほうが殿下よりも早く生まれている。


「伝言はきちんと伝えてくれ」

「…はい」

言いたいことだけ言って第二皇子は去っていった。


(私に対する牽制…?いや、そんな感じはしなかった)

見定めに来られたというのは確かだろうが。

一、二度式典などで顔を見たことがある。


私は釈然としないまま、そろそろ殿下の用事が終わる頃合いであろうため、殿下に会いに向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よお、ジュリア」

「レアナン、伝言は伝えといた」

「そうか、ありがとな」

ジュリアは訓練場で一人剣の素振りをしていた1つ上の兄に会いに来ていた。

「それで?どうだったんだ」

「害は無さそうだ…貴族らの差し金でもないだろう」

「そうか…なら大丈夫だな」

二カッと人好きのする兄に、ジュリアも小さく笑みを刻んで微笑んだ。

「ああ、そうだな」


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