勘違いも甚だしい(ランヴァルト視点)
読んでくださってありがとうございます!!
短くてすみません(´・ω・`)
「いないじゃないか」
二階にある応接室に来たところ誰も居なかった。一応数分待ってみることにする。一度、席を立っている可能性もあるだろう。
しかし15分ほど待っても来る気配はない。
「……」
仕方がない。このままでは時間を浪費するだけだ。
一階に降り、校門へ向かう。
そして門番に声をかけた。
「今日、編入生が来なかったか?」
「で、殿下。お待ち下さい…その、通していないですね」
門番が名簿を確認してから言った。
「ですが、それらしき人物はおりました」
「…どこに行ったか分かるか?」
「すみません。予定になかったため通すことが出来ず…そのまま来た道を戻って行きました」
つまり、一度来てはいるが手違いで中に入れなかったのだろう。だとしたら馬車にでも戻ったのか。
「分かった。もしもう一度訪ねてきたら中に通せ。名前はフィリア・ジェンベル。金髪に琥珀の瞳の少女らしい」
「了解しました」
門番が敬礼する。
踵を返し、俺は裏庭の方に向かうことにした。
馬車はそこに止まっていることが多いからだ。
(…静かだな)
いつもは騒がしいとはいかずとも談笑する声がいくつも聞こえてくる。
しかし今日はいたとしても警備の者だけであろうから、ひっそりとしている。
中庭を突き抜け歩いている時、ふと一本の木が目に止まった。渡り廊下の角にひっそりと立っている。
先程、木登りが好きだと聞いたからだろうか。
(まさか、ここで木登りをすることはないだろう…もし、潜んでいるやつが居たとしても曲者の類だ)
そんなわけ無いだろうと思いつつ、通り過ぎようとした。
「……」
思わず足を止める。今、微かに何者かの気配を感じた気がしたのだ。
もう一度、今度は集中して気配を探る。
「……」
(間違いないな…)
明らかに誰かいる。
面倒くさいが、放っておくわけにもいかない。
一直線に近づき、問う。
「そこにいるのは誰だ…?」
「……」
じっと見据えるが反応はない。しかし気配を隠すことをやめたのか、そこにいることははっきりと分かっている。
「誰だと訊いている…さっさと出てこい」
敵意は感じない…。一体何が目的なのか。
分からないが、このままでは埒が明かない。すこし威圧するように声を出す。
観念したのか、枝が揺れ木の葉が擦れる音と共に一人の少女が降りてきた。
(…ユウ、エス?)
そんなはずないと分かっていながらも動揺してしまう。
一瞬目が合ったとき、なぜだかユウエスと重なって見えた。
髪も目の色も…ましてや性別さえ違うのだ。勘違いも甚だしいだろ。
「無礼をお許しください殿下」
少女が頭を下げた。
「名は」
動揺したことを悟られまいよう短く名前を問う。
「フィリア・ジェンベルです」
「編入生か」
確かに金髪に琥珀の瞳だ。
…曲者ではなく、ただのもの好きだった。
それにどうやって学園に入ってきたのか。門番が見たのは別の誰かだったのか…?
…まあ、追求は後回しでもいいだろう。先に父からの用事を済ませよう。
そう思い、編入生を応接室まで連れていくことにした。




