陛下からの手紙
読んでくださってありがとうございます!!
(この状況は流石にやばいよなあ…)
再会の感動も冷めぬまま私は思案する。一旦自分を落ち着かせるために深呼吸をした。
今の私の状況を端的にまとめると木に隠れている怪しいやつ。
常人であれば隠し通せると思っていたが…殿下も成長したのだろう。
だがしかし、気づかれてしまったからこそややこしくなってしまったのだ。
チラリと下を見ると、こちらを射抜く目がさらに険しくなっている。
…本当にどうしようか。
「誰だと訊いている…さっさと出てこい」
殿下が催促するように…というよりも命令するかのような威圧感でそう放った。
私は観念して下へ降りる。
一瞬目が合った殿下は何やら少し驚いているようだった。
「無礼をお許しください殿下」
私は謝罪の意を込め頭を下げる。
殿下はなおも威圧的にこちらを見ている。…やはりかなり背が伸びたのではないだろうか。身長差がありすぎて違和感しかないし、見上げると首が痛い。
「名は」
ぼそりと呟くように殿下が問うた。
「フィリア・ジェンベルです」
「編入生か」
どうやら知ってはいるようだ。
殿下は何か考え込むように黙ってしまった。なので思わずじっと顔を見つめてしまう。
中性的な雰囲気は相変わらずで、私よりも白い肌も、伏せたまつげの長さも変わらないままだ。
(変わっていない)
私は思わず口の端を緩めた。何より不機嫌そうな表情はよく見慣れたもので…戻ってきたのだと、そう実感させられる。
まあ、少しもの悲しい気もするが…。
「フィリア・ジェンベル…ガレディアス家長女ユースフィリアの乳兄弟。両親は共にガレディアス家に仕え、姉弟は年の離れた姉が一人。特技は剣術。そしてガレディアス流剣術皆伝」
「え…?」
殿下が唐突にスラスラと何かを唱えたと思ったら、私の設定上の経歴だった。
あまりにもわけが分からなくて、パチパチと瞬きをすることしか出来ない。
呆けたままの私に殿下が手紙を差し出した。
「皇帝陛下からだ」
「は、い…?」
受け取ったはいいが…ますますわからなくなってきた。
「…事情はおそらくその手紙に書いてある。…取り敢えず付いてこい」
「分かりました」
私の返事を聞き終えないうちに殿下は歩き出した。
そのままついていくと、目的地であった応接室らしき所に通された。
「そこに座れ」
殿下が向かいのソファを指し示す。私は殿下が座るのを待ってから、腰を下ろした。
私が落ち着いたのを見計らって、殿下が口を開いた。
「お前は何も聞かされていない、ということで大丈夫だな」
「はい。そう、ですね」
そうだ。私はいまいちこの状況を把握しきれていない。
「…その手紙を読んでみろ」
殿下は悩ましげに眉根を寄せ、ため息をついた。
「はい」
私は頷き、封を剥がす。
封蝋に押されている皇家の印璽には特定の人しか読めないように魔法がかかっていた。
中には一枚だけ便箋が入っていた。
何がかかれているのだろうかと目を通す。
「……」
…少し信じ難かったためもう一度読み直す。
『やあ、フィリア。元気かい?この前会ったのは4ヶ月前だね。君が編入の話をしに来た時だ。昔みたいに なかなか会えなくて寂しいよ。だからたまには手紙でも送ってほしいな。
この手紙にも驚いただろう。この前ユヴェリアスと話していて名案を思いついたものだから早速実行しよう と思ってね。急すぎて伝える暇は無かったけど、きっとフィリアも賛成してくれると思うな。
ランヴァルトは小難しい顔でもしているんだろうね。眉間にシワでもできてしまったら世界の損失だよってフィリアからも言っておくれ。
まあ、前置きはさておき。簡潔に言うとね、君に学園でのランヴァルトの護衛をしてほしいんだ。その方がフィリアにも都合がいいだろう?
細かいことはランヴァルトに訊いてくれ。それと君の説明は学園での履歴書と同じものにしてある。
ランヴァルトの説得は任せたよ。 〜おにいさまより〜』
…本当に簡潔過ぎるのだがどうしたらよいのだろうか。
分かることと言えば、殿下の護衛を頼まれたことと、それに対する殿下への説得。ー殿下が断ると踏んでのことだろう。
あとひとつ言えば父も加担しているということだ。
一瞬、父のわざとらしい何かを隠しているときの笑顔が脳裏を横切る。
思わず手に力が入り手紙がクシャッと音を立てた。
長くなりそうなので切りました。微妙に感じてしまったらごめんなさい(-_-;)




