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決着

…遅くなりすみません(;^ω^)

読んでくださってありがとうございます!


「今まで食事とかに毒を入れてたんだけど…ユウエスさ毎回完全浄化(クリスタル・クリア)使ってたでしょ?」

「…そのとおりです…深い意味は無かったですけどね」

「…殿下にミラージュ・アラジーを仕掛けたときにも、回復薬に細工してたのに…回復薬以上の効果があったからね。流石におかしいと思ったんだ」

確かにあの時私は回復薬だけでは心許ないと思いこっそり回復魔法を使った。

食事に浄化魔法を使うのは父と訓練していた時の癖だ。

「…ねえ、魔法を無しで決着をつけない?」

「……」

「どうせどちらかが倒れるまで続くんだ…魔法を使うのは君の都合もよくないだろ?」

「私に有利なだけですよ?」

「…百も承知だよ」

ローレンは後ろに手を回し待ちの姿勢だ。私は警戒しながら飛ばされた剣を取りに行く。

ローレンの武器は見たところ手に持っているロングソードと、腰についているダガーだ。

「…恨みっこは無しで」

「もちろんです」

互いに剣を構える。

両者合図無しに同時に地を蹴った。

剣術においては私に分がある。

だが、ローレンは勝つための剣技というか変則的な動きが多く思考が分断されてしまう。

次第に激しさを増していきながら、どちらも譲ることはない。


ふいにローレンが後ろに飛び上段から体重をかけるように剣を振り下ろす。

数刻の間睨み合いが続く。

沈黙の中ローレンが口を開いた。

「…本気でかかってきなよ。君の力量はこんなものじゃないはずだ」

「……」

冷静に何かを見据えるようにローレンがこちらを見る。

くすっと笑いローレンの瞳が弧を描くように細まった。

「それとも…嫁入り前の顔に傷がついたら大変だから?…ね、()()()()()()()()

一瞬の驚きとともに、頭の芯から冷えるような心地を覚えた。

(…私の正体を知っている…)

思ったよりも内部に諜報員が紛れ込んでいるということだろう。

私が驚いた様子を見て、またローレンが小さく笑い、後ろに飛び距離を取った。

 私のことを知っているのは家族以外で陛下と父の側近、顔見知りの魔法使いたちだ。情報が漏れるなんてあり得ない。

(…独自の情報網だろうか…)

先程までどうしても揺らいでしまっていた心が固まってくるのが分かった。

(…家族に害が及ぶなら…)

我が家についても情報をある程度入手済みのように思える。これ以上弱みを握らせないためにも…。


すっと表情を落とし前を見据える。

(ここで…殺す)


「…おかけで決心がつきました」

「…どういたしまして」

一瞬視線が邂逅した後肉薄し剣を交える。

先ほどよりも激しさはないものの一撃一撃が致命傷になり得る。

横に払った私の剣がローレンの剣を弾いた。


「くっ…」

ローレンが後ろに手を回しダガーの柄を掴む。下から迫る私の剣を受け止めるようにローレンが動いた。

ガッー

力が拮抗しどちらも動かない。

私はさらにちからを込めると見せかけ剣を手放した。


突然のことに対処できなかったローレンがふらついた一瞬の隙に足を払う。

「っ…!?」

「………」

そのまま瞬時に懐から短刀を取り出し、倒れ込むローレンに覆いかぶさるように心臓に向かって短刀を振り下ろした。

鮮血が散り頬をかする。

「か、はっ…」

ローレンが小さく吐血した。

ゆっくりと短刀から手を離す。

「っ…!」

息を気づかぬ間に止めてしまっていたのか途端に苦しくなった。

「はあっ、はぁ…」

(落ち着け…落ち着け…)

「…!」

魔力の気配と共に視界の端でダガーが弾かれるのが映った。

(…!油断してた…)

「…っ殿下、すみません」

まだ蒼い顔をしている殿下に声をかけた。

どうやら殿下に助けられたらしい。

殿下の手を借り立ち上がる。


「…はは…僕の負け、だね…」

弱々しくローレンが言う。

「…ローレン」

殿下も掠れた声で呟いた。

「…言った…通り、恨みっこは…無し、だから…」

「…ええ」

「…敵、だけど…みんな、嫌い…じゃ、無かっ…た、ですよ」

徐々にローレンの瞳から光が失われていく。もう何も捉えてないかのように虚空を映している。

「ミ、シャーナには…黙って、て…ください」

「…分かりました」

その方がいいだろうと返事をし頷く。

隣で小さく殿下も頷いていた。


ふっとローレンが微笑んだ。

「…ありが、と…う」

そう言ったきりローレンは何も喋らなくなった。

最後は一体何に対する感謝だったのか…もう訊くことは出来ないだろう。

殿下が膝をつき、そっとローレンのまぶたを閉ざす。

吐いた息が白い。

空からは雪が降り始めていた。





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