本題
読んでくださってありがとうございます(・∀・)
前の後書きでも書きましたがシャルシャスさんはユースフィリアだと分かっています。書き漏れていてすみません(;^ω^)
「なんでお前がここに…」
驚きで思わず立ち上がった殿下がそう呟いた。私は殿下の前に立ちアグレイの魔力の流れに留意する。
「どういうことですか」
「私の預かりになっているのよ…まあ、まずは落ち着きなさい。話もできないでしょう?」
私たちは渋々椅子に座り直す。少し離れた所に座っているアグレイはその間もただ大人しく宙を見つめていた。
「さて、何から話しましょうね」
なおも落ち着きを払った声に殿下の緊張が緩んでいくのが分かった。シャルシャスさんは信用に値する人だ。
「ねえ、ユウエス。魔法使いがこの大陸に何人いるか知っているかしら?」
第一声は思いも寄らない質問だった。
「…確か100人足らずだったと記憶しています」
「そうね…それに対して大陸の人口は8億よ…どれほど魔法使いが貴重か分かる?」
「つまりシャルシャスさんはアグレイを生かすべきだと…?」
殿下が追及する。実際殺されることは無いだろうが無視するには強すぎる力を持っている。
「いえ…それよりももっと…端的に言えば学ぶ機会を与えるべきです」
「どういうことです?」
「学園に通わせたらどうでしょう」
「…!?」
殿下も、隣で聞いていた私も驚く。
(だけど…悪くはないのか?)
実質人質的な扱いであれば不可能ではないだろう。しかしこれは殿下の判断では決められない問題だ。
(問題は何故今それを私たちに話しているのかということ…)
ちらっと伺ってみるが読めない。
「お前の意見は…?」
殿下がアグレイに視線だけを向け言う。アグレイは一瞬だけ視線をよこしそのまま黙る。
「……」
しばしの沈黙のあとアグレイが口を開いた。
「…今回の戦争はこちらに非があるということは分かっている…だが、シャルシャスさんの提案は可能であるなら受けたいと考えている」
「…俺もお前の境遇については少しは知っている…だがこれは俺の手に負える範疇には無い」
「……」
王国の第四王子と言えば末っ子で王族唯一の魔法使い、それでいて自国での肩身が狭い。
…つまるところ境遇的には殿下と共通する点が多い。
「…今回の戦争で僕は数少ない同志を多く失った。自国に戻れば好機とばかりに戦争の全ての責任を負わされ、兄たちも僕の派閥を切り崩しにかかるだろう」
「…こちらにいる方が安全だと?」
「ああ…皮肉だがな」
「言い分は分かった。だが、さっきも言った通りこれは俺では決められない…ここにいる間の安全は保証させる」
「…恩に着る」
アグレイはどこか疲れたような顔でそう言った。
「ありがとうね二人とも」
「いえ…」
シャルシャスさんの言葉に私も殿下も小さく首を振る。強いて言うなら私たちは話を聞いただけなのだ。まだこの先、どう転ぶかわからない。
「…最後にいいか?」
アグレイが天幕を去ろうとする私たちに声をかけた。初めて見せた能動的な行動に少し目を見開く。
「なんだ…?」
「気をつけろ…僕の陣営も一枚岩というわけではないからな」
「…もしがあったとしてもお前の責任ではない…そう取っておく…」
殿下の返しを聞いたアグレイの浮かべた笑みは哀愁が滲んでいた。




