ほら、星が綺麗ですよ
遅くなってすいません!m(__)m
読んでくださってありがとうございます!
「殿下、早めに軍議を始めるそうですので言伝に来ました」
「そうか、分かった」
軍の中は慌ただしく、それは私も例外ではなかった。
魔力欠乏により倒れたアグレイの身柄を預かり、新たに結ぶ協定の内容の見直しと、捕虜の処遇などについて上層部は忙しい。一般兵たちも捕虜の見張りや、周りの哨戒などで猫の手も借りたい状況だ。
「私は軍内の状況把握を任されているので今日はこれで失礼しますね」
軍議中は父やカルダンが殿下の護衛をするので心配はない。むしろきちんと食事を取ってくれるかどうかの方が心配になる。
「食事はきちんと取ってくださいね」
「…分かってる」
少々怪しいがゆっくり話している時間もない。殿下の支度が終わるのを待ってから、軍議用の天幕まで付き添う。
「…一度確認しに来ますからね」
最後にもう一度、念を押してから殿下と別れた。
その後は本当に少しの休憩も取れないほど忙しかった。やっと落ち着いたのはもうすっかり日もくれた頃だった。
「…もうみんな夕食も済ませただろうし…殿下に顔を見せてから私も眠ろうかな」
今日は夜の哨戒の当番も無いためぐっすり眠れるだろう。
私は自分のテントに戻りがてらそんなことを考えつつ周りを何気なく見渡していた。
私の仕事が終わったとしてもまだ軍の中は忙しない。いつもより松明も多く焚かれ夜にしては明るい。
「あっ、ユウエス今戻り?」
「ええ。ローレンも仕事が終わった所ですか?」
「そうそう。いや、大変だったよ」
確かローレンは捕虜の見張りが主だったはず。ミシャーナは医療班の補助と、昼食配給の手伝いをしていた。
「お疲れ様です。…夜は誰か代わりで見張るんですか?」
「ん?ああ、そうだよ…あっ、僕ミシャーナに頼まれごとがあるからこっちだ」
ローレンが立ち止まり医療用天幕がある方を指差す。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
軽く手を振り合いローレンと別れる。
ローレンも疲れているのか、いつもより笑みがぎこちない気がした。
「あ、ユウエス」
「こんばんは、殿下」
しばらく歩いていると殿下とも鉢合わせした。まあ、向かう方向が同じなのだから何らおかしいわけでもないが。
こころなしか殿下も少しやつれている。
「お疲れ様です、ちょうどいいところで会えました」
「?」
「一度殿下のところに伺おうかと思っていたので」
なおも不思議そうな殿下に、わざとニッコリと笑って付け加える。
「食事を取ったかの確認と、あと…寂しがりやな殿下のためですかね」
ちょっとばかりからかうように言ってみた。
「は!?」
「今日一日、私達と会えなくて内心寂しがっているでしょう?」
照れているのか、はたまた怒っているのか殿下は顔を赤くして狼狽えている。
殿下は本当にわかりやすく表情が変わる。
なんなら少し可愛いとさえ思ってしまう。
「…っそんなこと思ってない…」
「私はそうでしたけど…?」
「っ…!」
こちらに心情を悟られまいとしているのか殿下はあまり私と目を合わせない。
だから私が楽しげな表情で笑みを刻んでいるのにも気づいていないようだ。
ちらっと表情を伺うとなにやら考え込んでいるようだ。
(流石にからかい過ぎたか…?)
「すいません、冗談で…」
「…だ」
「えっ…?」
「…だから俺も寂し…ああっ、もう分かっただろ!」
殿下は顔を赤くしたままこちらを睨む。
私は笑いを殺しきれず、つい小さく笑ってしまった。
「ふふっ、やっぱり寂しかったんですね」
「…うるさい…っ」
拗ねたような言い方がまるで姉弟たちが怒った時と似ているようで思わず殿下の頭を撫で回す。
「……っ」
殿下は恥ずかしそうに小さく唸った。
「すみません、少しからかいすぎました…次からは気をつけます」
「…もうしません、じゃないのか…?」
私はその問いに答えずニッコリと肯定の笑みを返す。
「…まったく」
殿下は不満そうだが、本気で嫌がっているわけでは無さそうだ。
私はもう一度殿下の頭を軽く撫でてみた。
「っ…ユウ…!」
「ほら殿下、星が綺麗ですよ」
怒られる前に殿下の言葉を遮り空を指差す。
「……」
「…殿下?」
反応が無かったためちらりと殿下を見る。
殿下は口元に手を当て、肩を小刻みに揺らしていた。
「ふふっ、…ああ、そうだな」
「なんで笑っているんです?」
「いや、お前が護衛で良かったなと思って」
唐突だが、ちょっとした意趣返しでもあるのだろう。
「やけに素直ですね…?」
「悪いか?」
「…いえ」
殿下はなおも愉快そうに笑う。私もつられて自然と微笑んでいた。
テント前に着いた後も夜空を見上げつつ、ちょっとした雑談をしてからその日は眠りについた。
書き終えたら日付が変わってた…(´・ω・`)




