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暗雲

読んでくださってありがとうございます!・ω・


ちょっと中途半端で申し訳ない…明日も投稿予定です!

「はあっ…」

私は思わずため息をつく。見上げた夜空は驚くほど澄んでいて星が瞬いていた。

(長かった…パパの説教)

滅多にくどくど言わない父にしては珍しく長々と説教をされた。気持ちは分かる。昼、私が殿下に対して怒った時と一緒だ。

その殿下はというと説教を逃れ戦場に行ったらしい。ローレンもだ。今日は後方の方から遠距離魔法を放つだけだったと聞いたので私の護衛は必要なかった。

父も殿下に対して強く出れないだろうし、当事者の内3分の2ががいないのだ。その分の心配やら言いたいことやらをまとめて私に言ったことも長かった原因だろう。


転移したあとすぐ父に捕まり、ずっと目のつくところで監視された挙げ句に夕方から説教タイムだった。

見ておかねば逃げるとでも思ったのか。…まあ、逃げるときもあるかもしれない。

とりあえず1時間は経っている。冬だということもあるだろうがもうすっかり夜だ。

「はあ…」

私はもう一度ため息をつく。父の言い分はもっともだったわけだし気持ちを切り替えなくては。


私は夜ご飯を作ってくれているであろう小隊組の所へと歩いていく。

ここ数日は小隊4人で食事を取っている。基本メインが殿下、スープがミシャーナ、副菜がローレンだ。初日にやらかしたのがいけなかったのか、私はたまに木の実でも摘んできてくれと言われた。だから私がいなくても何の問題は無いというわけだ。


周りを見回してみると各々の小隊も打ち解け合っているようだ。ずっと気を詰めていても疲れるだけだから、心の拠り所となる場所も必要だろう。

「よう、元気か?」

「こんばんは、カルダンさん」

私に声をかけてきたのはカルダンだった。少し顔が赤いなと思ったら酒を呑んでいるようだ。

「大丈夫なんですか?酔っ払って?」

「いやあ、今回はこちら側の圧勝だったんだよ、殿下の大活躍でなあ。指揮官たちはどうかは知らないが、割と騎士も兵もみんな呑んでるぞ」

きちんと受け答えはできるらしい。

「くれぐれも加減には気をつけてくださいね」

「分かってるさ。…お前もどうだ?結構楽しいぞ」

「食事がまだなので…それに私は未成年です」

そう言ったら何が可笑しかったのか急に笑いだして、頭を乱雑に撫でてきた。会うたびに小隊組は頭を撫でられるので子供が好きなのかもしれない。

私もよく領内では頭を撫でられるので慣れている。

「ちょうどいい小ささなんだよなあ」

「………」

撫でられるたびそう言われるのはまだ納得していない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おかえりなさいユウエスさん」「おかえりユウエス」

「ただいま」

カルダンと別れ、小隊組がテントを張っている場所に帰ってきた。場所は殿下の天幕の近くである。ミシャーナとローレンはもう食事を始めていた。

「…?殿下はどこに?」

殿下の姿が見当たらない。天幕で休んでいるのだろうか。

「さっき、少し川の方に行くって…」

「仕掛けてた魔法を解除し忘れていたらしい」

ミシャーナの答えにローレンが補足を入れる。

川か…。野営地の守りが手薄になる昼用に仕掛けてたのだろう。自陣に囲まれるようにして流れている川で、流れは緩いが割と大きいし、深い。近いと言えば近いが…

(見に行ってみるか…)

「迎えに行ってきます」

「…安全だと思うけど」

「…魔力切れ寸前だったりしますから」

「それは…あるかもね」

ローレンが苦笑する。殿下は我慢し過ぎるきらいがあるから、心配するに越したことはない。

「これ、持ってって!」

ミシャーナが途中でテントに入ったかと思ったら回復薬を取って出てきた。

「ありがとう。じゃあ、行ってきます」

私は割れないように内ポケットに回復薬を入れ川に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


川に向かう途中で思考を巡らす。たまに緊張を取るためとか、単に飲みたかったからだのという様々な理由でお酒を飲み酔っ払って川に落ちるやつがいる。この前私も一人川から引き上げてやった。死にかけた者もいると聞くが、幸いまだ死者は出てないらしい。

まあ、殿下はお酒も呑まないし、そんなヘマはしないだろう。

(…まさか、ね)

川に着き、沿って歩いていく。殿下の姿は無い。そういえばここに来る途中も全然人を見かけなかった。

(宴会騒ぎのやつもいるからこんなに人気が無いのか?)

「殿下…」

そっと呼びかけてみる。私は夜目が効く。だから見逃したなんてことは無いと思うが…。

「……!」

一瞬何かの魔力が揺らぐのを感じた。意識を集中させ出どころを探す。

(…っ()()()か…!)

私は念の為持ってきていたミドルソードの柄を握り川に飛び込んだ。

ーギロッ

巨大な瞳がこちらを睨んでくる。とても巨大なヘビ型の魔物だ。私はそれに見向きもせず剣を一閃した。

途端に魔物の姿が霧散する。すると藻のようなものに囚われた殿下が見えた。

私がもう一度剣を振ると全ての藻が取れ殿下が解放される。

私はそのまま殿下を回収し、水面に顔を出す。

「ッ…」

岸辺まで戻る。殿下を川から引き上げ意識があるか確認した。

「殿下!大丈夫ですか」

すると薄っすらと殿下が目を開ける。まだ焦点があっていないようだ。

「…ユウ、ゴホッ、ゴホッ」

川の水を飲んでいたらしい。背中を擦りつつ全て吐かせる。

「殿下、これを飲んでください」

私は回復薬を渡す。今すぐ飲むのはキツイだろうがそうは言ってられない。低体温症に加え魔力欠乏症になっているのだ。回復薬は万能型のためどちらにも効く。それに苦いままなので意識もしっかりするだろう。

殿下は大人しく回復薬を飲んでくれた。

「大丈夫ですか?」

殿下の顔色が良くなってきたのを見計らって訊く。殿下は小さく頷いた。

「歩けます?」

このまま濡れたままの服では悪化する一方だ。また小さく頷いたのを見てゆっくり殿下を立たせる。支えながら歩き出す。

先程の魔物はミラージュアラジ−という植物系の魔物で、幻惑で人を惑わし海や川などに引きずり込み魔物だ。殿下も引きずり込まれて、魔力欠乏症によりろくに抵抗もできなかったのだろう。

私が見に来なかったらと思うと背筋が凍る。

「殿下!?」

テント近くまで行くとミシャーナが駆け寄ってきた。

「医者と、後温める物を持ってきて」

「分かった…!」

「ユウエス!何があったんだ」

ローレンもこちらに気づきそう訊いてきた。

「まずは殿下を」

「そうだな」


私はすぐちかくの医療用天幕に行き医者に殿下を預ける。

「お願いします」

「ああ。…すまないが後で経緯を聞かせてくれ」

私は頷き天幕を後にした。私も詳しい経緯は知らないが何か引っかかる。

「ユウエスさん、殿下は…」

心配そうにして二人が待っていた。

「一日寝ていれば大丈夫だと思います」

回復薬も飲ませた。後は安静にし、医者に従えば良くなるだろう。

二人は安心したように息を吐く。

「良かった…あ、ユウエスさん。これ」

ミシャーナがタオルを差し出してきた。

「あ…」

そうだ。私も川に飛び込んだのだからずぶ濡れだ。

「ありがとう」

私は小さく微笑んでタオルを受け取った。

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