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夜勤族の妄想物語2 -5.あの日の僕ら-  作者: 佐行 院


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ショッピングモールでの時間をうんと楽しんでいる4人。


-⑫ 初めての贈り物-


 好美は先程桃と選んだ衣服を手に試着室へと入った、先程守に言った食べ物を食べているときっと汚してしまうから先に済ませてしまおうという算段だ。


守「俺、ちょっとトイレ。」

桃「いいけど、早く戻って来なさいよ。」


 思い浮かべたコーディネート通りに組み合わせて試着していく、数分後に試着を終えた好美が3人の前に現れた。ただ、先程お手洗いから戻って来た守には桃が目隠しをしていた。


挿絵(By みてみん)


好美「どう・・・、かな?」

桃「似合ってんじゃん、守君はどう?この着こなしの彼女とデート行きたい?」


 桃が目隠しを取ると想像以上に好美が似合っていたので守は顔を赤らめた、そして財布を取り出してすぐさまレジへと向かった。


守「店員さん、あの服合計でおいくらですか?」


 守に声を掛けられた店員が電卓を片手に好美に近付いた、商品タグを確認して計算していく。


店員「税込み18957円ですね。」


 守は財布から1万円札を2枚取り出して店員に手渡した、店員急ぎ足でレジへと向かって御釣りを持って来た。


桃「嘘?即買い?」

守「これが答えだ、プレゼントさせてくれ。」


 守からの初めてのプレゼントを一生大切にすると誓った好美は店員に頼んで商品タグを切って貰った。着てきた服をレジ袋に入れると、そのまま買い物の続きへと向かった。しかし、今からいっぱい食べる予定なのに新しい服で大丈夫なのだろうか。

 贈り物を受け取り本当に嬉しそうにしている好美を横目にした橘には疑問が1つ生じていた。


橘「お前、そんな金何処にあったんだよ。」

守「何処って財布だよ。」


 勿論、橘が聞きたかったのはそう言う事では無い。守のバイト先である喫茶店の給料日は毎月20日で今日は17日、いわゆる「給料日前」というやつなのだ。今まで決して人から金を借りた事が無いのに、バイト代を前借したのだろうか。


橘「我原さんがよく前借を許してくれたよな。」

守「は?俺は前借なんてしてねぇよ、彼女が出来た時の為に貯めていたんだよ。」

桃(小声で)「それでさっき「トイレ」って言ってた訳だ、守君やるじゃない。」


 守は好美の嬉しそうな顔を見て本当に買ってよかったと思っていた、ただ嬉しくなり過ぎてその服で買い物を本当に続行している。どうやら、女の子の行動力は舐めてはいけない様だ。新品の服を自慢げに着こなす好美を見た桃が橘の方向をギロリと見た。


桃「ねぇ、私は?」

橘「え?」


 橘自身は本当に「給料日前」の状態なので先程の守の様な行動はどう考えてもとれない、一先ず携帯で銀行の残高を確認してATMへ走るとある分だけのお金を引き出した。

 ただ銀行の残高は丁度5000円だけだったのだが・・・。


橘「やってやろうじゃないか・・・。」


 何処からそんな自信が湧いているのだろう、橘は彼女の前にいるが故に余裕の表情を見せていた。

 理由は1つ、4人がいつの間にか古着屋に入っていたからだ。ただ桃には古着選びという趣味がある事を知っていたのでそれを利用すれば大丈夫だと橘が3人を誘導していた。


桃「良いじゃん、私ら趣味が合うのかも知れないね。」

橘「そ・・・、そうか?ほら、好きなの選べよ。」


 桃は20~30分程かけてゆっくりと選んでいた、好美もどこか楽しそうにしているので橘はほっとしていた。そんな中、守は自分と好美の2人用に何かないかと吟味していた。


守の好美への想いも大きい物らしい。

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