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福来子の演技力に驚く2人。
-90 あの日の僕ら-
自分達が企画したドッキリだと言うのなら、どうして福来子は先程までずっと泣いていたのか不思議で仕方がなかった。
福来子「ごめん、たーやんとまも君があまりにも本気だったから後に引けなくて。」
守「何だよ、全部演技だったのかよ。」
正「やられたぜ・・・。」
打ち上げのメンバー達がドッキリの成功を喜ぶ中、美麗は龍太郎の行動について問い詰めた。いくら自分達が計画した行為上での演技だと言っても少し酷では無かっただろうか。
美麗「パパ、どうして安正を殴ったの?!いくら何でもあんまりだよ!!」
龍太郎「あれ位防ぎきれないヤワな男がお前を守れると思うか?」
父親の行動は決して演技ではなかったらしく、真意からの行動だった様だ。娘を持つ父親の心理というやつなのだろうか(作者は未だ独身の為分かりません)。
安正「良いんだ美麗、龍さん、いやお義父さん!!有難うございました!!」
龍太郎「フン・・・、まだ早いわ・・・。」
安正の事を認めたのか、龍太郎は少し微笑んでいた。
時は過ぎ、数年後。父・操の事情で学生最後のお盆を今住んでいる街で迎えた好美は叔母・佳代子が笑顔で映っている写真が置かれている仏壇に手を合わせていた。
好美「あれから早かったね、あまり会いに行けなくて本当にごめんね。」
ゆっくりと顔を上げた好美に香奈子が一礼した、香奈子の左手の薬指には指輪が光っていた。
香奈子「本当にありがとう、お母さんも喜んでいると思うよ。特にこのお菓子、お母さんチョコ好きだったもん。」
好美「良いの、守の所に持って行くものが少し多く出来たから。」
香奈子「何、これ余り物なの?」
好美「内緒よ、内緒。それにしても本当に裕孝君と結婚するんだね。」
香奈子「うん、ずっと前から決めてたからね。お母さんにもウェディングドレス姿見せたかったな・・・。」
好美「天国からきっと見てくれると思うよ。」
香奈子「うん、そうね。」
大学4年になってから好美の就職関連や守の教職関連が理由でなかなか2人の予定が合う事が無かったが、とある理由でこっそり守に会いに向かっていた。龍太郎が持病のぎっくり腰をこじらせ、バイト(というより松龍)が急遽休みになった事も理由の1つだった。
ほぼ同刻、最寄り駅に圭の姿があった。1年から3年の間はずっと、お盆には他県にある母方の実家に帰っていたのだが、今年はこの街にある父方の実家へと帰って来たそうだ。どうやら理由は好美と同じらしい。
圭「久々だな、守は元気にしているかな。まさか彼女なんか出来ていないよね。」
はやる気持ちを抑えて守の家へと向かうと丁度守が家の前に出て来ていた、反対方向からは同年代と思われる女の子が歩いて来ていた。
圭「久しぶり、元気だった?」
守「うん、久しぶり。」
圭「もしかして、光さんのお墓に?」
守「うん・・・。」
そう、圭の目的は先日外回り中に熱中症で突如亡くなった光の墓へと向かう事だった。どうやら好美も同じらしい、光が夏場よく松龍で冷やし中華を食べていたからだ。
そんな中、圭がいきなり切り出した。
圭「ねぇ、あの時の言葉、覚えてる?私、守の事「好き」って言ったよね?」
そう聞くと圭が突然、守に顔を近づけてキスをした。
守「うっ・・・。」
その光景を見てしまった好美がすぐそばで体を震わせていた。
好美「守!!その女誰よ!!なかなか会えないと思ったら浮気してた訳?!」
守「待ってくれ、好美!!」
好美「何よ、守なんかもう知らない!!」
好美はお菓子の入った袋を落とし、号泣しながら去って行ってしまった。
圭「嘘・・・、ごめん・・・。」
守「・・・。」
守は泣きながら圭に背を向けて家に入って行った。
あれから季節は巡り、2人は社会人になった。守は光と同じ営業の仕事をし、好美は自動車部品の工場で働いていた。あれから2人は全く連絡を取っていないし話してもいない。
そんな中、守の携帯に1件の着信があった。画面には知らない番号が表示されていた。
守「もしもし?」
電話「もしもし、突然のお電話失礼致します。倉下好美さんのご関係者の方のお電話でよろしいでしょうか。私、倉下さんが働いている工場の副工場長をしております島木と申します。」
どうやら職場での緊急連絡先の1つとして守の番号を登録していたらしい、電話越しの島木の雰囲気が重々しく感じた。
守「あの・・・、どの様なご用件でしょうか?」
島木(電話)「突然のお電話大変申し訳ございません。私の口から誠に申し上げづらいのですが、好美さんが高所から転落して亡くなりました・・・。」
守「えっ・・・。」
守は思わず携帯を落として泣いた・・・。
数日後、近くの葬儀場で好美の葬儀がしめやかに行われた。美麗から連絡を受けた好美の両親が現地に駆け付けていた、因みに大学3年の時のお盆で会っていたので3人は面識があった。
瑠璃「守君、美麗ちゃん、桃ちゃん、来てくれたのね。有難う。」
操「昔からドジな娘だったが、まさかここまでとはな。すまんが、最後に顔を見てやってくれないか・・・。」
3人が棺桶の中をゆっくりと覗き込むと、そこにいたのは確かに守の大好きな好美だった。
守は思わず涙が溢れ出し、今までに経験した事が無い位に顔をぐちゃぐちゃにして大声をあげて泣き叫んでしまった。
守「好美ー!!」
桃と美麗の隣で守は共に号泣した、こうなる事が分かっていたならあの日ちゃんと好美の事を捕まえておくべきだった!!手を掴んでおくべきだった、謝るべきだった!!はっきり「違う」と言うべきだった!!
ただ、もうこの世界に好美はいない、もう2度と戻る事は出来ないのだ。
「あの日の僕ら」に・・・。 (完)
絆はずっと繋がったままだ・・・。




