chapter1 希望を求めて
ここは、どこだ? 当たり一面を見渡してもそこにあるのは新しいキャンパスのように真っ白な空間とひとつの扉だけだった。なぜ俺がこんなところにいるのか、そもそも俺が誰なのかすら正直よく分からない。記憶が頭の中からすんと抜け落ちている、そんな感覚に包まれている。そんな中、ただ一つ頭の中にあるのは、「言葉」と「色」を取り戻せという使命のみだ。その使命がどういった意味なのかはよく分からないが、俺はそれ以外なにもやることがないからとりあえずやることにした。今の俺の持ち物は、この部屋に同化してしまいそうなくらい真っ白なTシャツとそれに相反する黒色のズボン、そして不思議な形状をした棒だけだ。その棒は剣と呼ぶには刀身の部分がやや丸いし、鉄パイプと呼ぶには若干鋭すぎる、そして歯車をはめるような穴がいくつか開いているといった大変奇妙な形をしているのだ。一応鍔らしきものはついているのでこれを俺は奇剣と呼ぶことにした。そして、俺はこの奇剣を持ってとりあえずこの空間から出ようと扉へ向かった。この空間の端にはさっきも少し述べた扉がある。木製の扉で大きさはそこまで大きくなく、本当に普通の扉である。この扉を開けることに苦戦すると俺は思っていたが意外にもすんなりと開いたのである。拍子抜けしつつも、俺は扉の先へ向かう。その扉の先には同じような扉が七つある大きな空間があった。
初投稿です。誤字脱字が見られるかもですが暖かい目で見てくれると嬉しいです。