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消滅の宇宙~現在改変中・カルメン編まで~  作者: 万世 千秋
あらたな冒険
4/69

宇宙の走破者たち①

登場人物


岡田ネルソン 

 サムライの格好をしており、日本刀を装備しており、廃人である。職業特性上

高火力スキルを使える上に装備攻撃力も非常に高い。少し、しゃべり方の特徴のある人物。


桃依 

 ピンクのドレスに白のアザラシクッションを抱えている

 主人公のテンゴとチヒロとはボス戦「アシュム」との戦いで出会って以来友達になり、ギルドにその後加入した。職業は「ビショップ」回復をメインで行う職業の為、狩りでもボス戦でも重宝される職業である。基本無口であり必要な事しかしゃべらない。だが会話が出来ない訳ではない。


暗殺者ピロー 

 黒いロングコートに赤髪。赤いブレードがトレードマーク。こう見えてダークメイジである。常に中二病を患っており、たまにまともな発言をする。リアルは教師をやっており重労働であると自分では言っている。実際はどうかは分からない。







VRゲーム MMORPG 同時ログイン型


ラニアケアオンライン Laniakea-on-line


通称 LKO


このゲームタイトルはソウルメア社が作ったゲームの一つだ。

ゲームのコンセプトとしては

ゲームの3大要素として

冒険 宇宙 創造 である。


広大な宇宙の中で自分の作った宇宙船で飛び回り

惑星に降り立ち

創造して 命を与えて 育てて 

仲間と協力しながら冒険をしよう。

とのキャッチフレーズである

この宣伝文句でいろんなユーザーを集めてきた。


*以下は職業一覧である


初級戦士→ファイター → ソードマスター

     ウォーリア   パラディン

     ナイト     ダークナイト

     フェンサー   ガーディアン

             ドラゴンナイト

             サムライ


初級弓使い アーチャー → ガンスリンガー

      ガンナー    ボウマスター

      エルフ     パスファインダー

      ホワイトナイト スナイパー

              ハンター


初級盗賊 シーフ → アサシン

     ごろつき  ファントム

     悪党    忍者

     ローグ   山賊

           怪盗

           海賊



初級魔法使い マジシャン → ビショップ

       呪術師     フレイムウィザード

       クレリック   アイスウィザード

       ウィッチ    ライトニングウィザード

  陰陽師 ダークウィザード


初級召喚士 シャーマン→ 虫使い

      人形師    ビーストテイマー

             ネクロマンサー

             ドラゴンテイマー

             エレメンタラー


『LKO』に入った奏護は、広大な荒野の広がる星に降り立った。どこまでも続く赤い大地、水をたたえた細い川。ここはギルドから遠く5000光年離れた惑星である。

 この世界での奏護――通称「テンゴ」は、青いリストバンドと、背広のようなジャケットを身につけていた。白色をベースにしているが、途切れ途切れの黒い線が全身に入り肩から袖までは段々と黒くなっていく未来的なデザインだ。


(俺の好きな動画配信者とのコラボイベントで、もらえたアバターなんだよな、これ。今から2年前くらいから使ってるけど、お気に入りなんだ)


*服、髪型、武器アバター

本来来ている髪型や服装、装飾品、武器などを外見だけ違う風貌に見せられるアイテムの事。


忙しかったこともあり、奏護が「テンゴ」としてログインするのは2週間ぶりであり自分の姿が懐かしく感じられた。


 ――すると、ボコボコと音がした。地面が不自然に盛り上がっている。


(なんだ?モンスターか?……そう言えばここの惑星は……)


テンゴが身構えた瞬間、緑色のスライムが土中から洗われた。グミのように丸く可愛らしいモンスターだが、意外に俊敏で弾力性もあり、長期戦は厄介だ。

 スライムが体を大きく弾ませ、飛びかかってきた。


「アブソリュート・アイアス!」


 テンゴはリストバンドをつけた左腕を、バッと前につき出す。翼のマークがついた盾が現れ、スライムの体当たりを防いだ。したたかに体をぶつけたスライムは、痛そうにぴくぴくと身を震わせる。すかさずテンゴは腰の片手剣を抜き、攻撃を加えようとする。


「ジャスティス・クロス!」


テンゴの背後に十字架が浮かび光った剣が敵一体を十字に斬りつけ、地面に叩き伏せた。

そして、そのスライムは奇声を上げながら溶けて行った。


「あぁ、びっくりした。俺、ガーディアンやってて良かったな……あ、待てよ、今のスライムって確か……」


テンゴは自分の駆け巡った惑星を思い出そうとする。

とある惑星には緑色のスライムを倒した場合は何度もあった。

そして、その後に強力なモンスターが大量に出現した事が何度もあった。

 テンゴは一瞬寒気が走る。24時まで強力なモンスターと戦ってサービス終了を迎えるのかと。


(やっべ…他のモンスターが出現しない内に、俺のギルドへ移動しよう。そうすれば、皆が待っているコロニーへ移動できる)


テンゴが移動用の宇宙船スペースシップをアイテム一覧から取り出そうと空間に手を突っ込む。


ところが、テンゴの上空からとある大きな影が落ちて来た。


ドスンと大きな音を立てたのは1つだけではなかった。

 テンゴは砂埃で影しか見えなかったが音を聞く限り10体以上は出現し

上空にも旋回しているのが確認できる。


(時既に遅し…こいつらは俺が覚えている限りだとドラゴンのはず)


すかさずテンゴは攻撃態勢は入る。

するとテンゴの横からドラゴンの手らしき物が飛び出てテンゴに攻撃を加えようとする。


「アブソリュート・アイアス!」


すかさず反応したテンゴはスキルを唱える。

ドラゴンの手らしき物はその出現した盾に弾かれ巨大な影は後ずさりしてしまう。

そして砂埃すなぼこりが次第に止み、影の正体が徐々に明らかになって行く。

 影の相手はやはりテンゴの考え通り青い胴体に銀色の翼、黒い手をしたドラゴンだった。


「そんじゃ200レベルになった俺の実力見てもらおうか!!」



 テンゴの職業は『ガーディアン』である。ゲーム内の職業の一つで、片手武器と盾を使った攻防一体の戦法を使えるのだ。このゲームにはいくつか職業があり、レベルを一定値まで上げたら次の職業を選ぶ事になる。これが「転職」である。そして選んだ以降は生涯その職業に身を投じる事になる。



♦♦♦



懐かしむ時間は何時間もある、だが今はギルド集合場所に向かうほうがいい。テンゴが自分の作った国の中を歩き出して、しばらく歩くと、ゲーム中の『自宅』の前に着いた。西洋風の城か洋館を模した、クロノス星における彼の活動拠点だ。


 テンゴが『自宅』に入ると、なかには神秘的な光の輪が渦を巻いている。瞬間移動用のポータルだ。彼が輪のなかに立ち、手をかざすと、いくつかワープが出来る場所への名前が出現した。ギルドで管理しているいくつかの惑星のほかは、ムーン練習場、倉庫、フリーマーケット……


「あった。俺たちのギルド『スペースランナーズ』専用コロニー……いつもの集合場所だ。少し遅かったか?もう、千宙は来ているかな?」


ギルドの上空に浮かぶスペースランナーズ専用のコロニーに移動する為、テンゴは出現した名前に手を触れた。強い光が彼の身を包み、次の瞬間にはもうスペースコロニーの集会場に着いていた。

 このスペースコロニーは、宇宙を冒険するときの拠点として、ギルドの皆で使用するのだ。『LKO』では各ギルドにで最低でも一つはスペースコロニーを所有することができた。


集会場には、無人の椅子ばかりがずらりと並び、ガランとしている。繊細な彫刻が施され、優雅な作りの肘掛け椅子だったが、それさえも今は淋しさを際立たせていた。奥にある、他の部屋につながる扉も、まだ誰かが開ける様子はない。


(多いときじゃ、80人も仲間たちが集まってたってのにな。今じゃ、見る影もないや)


 テンゴは、椅子に静かに座って、誰か来るのを待つことにした。すると、そこに二人の女性プレイヤーが現れる。


「お、テンゴ! 待ってたよ!」


「あぁ! 今日来なくちゃ悪いからな……」


女性のうちの一人は、青を基調とした清潔感ある服装の少女。

名前は、チヒロ。『パラディン(聖騎士)』そう、東矢千宙である。


ハンドルネームとしてはシンプルで、本名がバレる可能性も0%ではないが、所詮はありふれた名前だ。チヒロ本人も気にしていないらしい。


「今、桃ちゃんと思い出話をしてたんだ。うつりの良い写真も交換してたの」


「あ、テンゴ……久しぶりじゃん……元気にしてた?」


「おう! 桃も久しぶりだな、元気にしてたぜ! しかし、無口な桃がこうして話したがるなんてな」


「桃ちゃん」と呼ばれたもう一人のプレイヤーは、ハンドルネームを「桃依」という。


職業はビショップ。ピンクのふわふわの全身服に身を包み、白色のアザラシのぬいぐるみを抱きかかえており口元が見えない。


「……だって、もう皆になかなか会えなくなっちゃうでしょ」


「ほんと、淋しいよね。あたし、桃ちゃんとは特に仲良くしてたのに……あっ、見てみて、この桃ちゃんの写真!」


 チヒロが写真を手に持って言った。大きな阿修羅あしゅらの様な姿をしており顔が石で出来ている。表情が全く変わらなく腕を8本生えており、この腕で上から手のひらで叩きつける攻撃を行ってくるのだ。このボスの名を「アシュム」と言う。


 桃姫がアザラシのぬいぐるみで打ち倒している。チヒロがゲーム内の撮影機能を使って記録し、メモリーカードに保管していたものだった。


「これ、アシュムだ。あの時手強かったわよね。うちら、まだ100レベル程度だったんだもん」


「あぁ。あのときは桃のおかげで本当に助かったよ……あの時から友達になったんだもんな、ありがとう!」


「……わ、私、ちょっとほかの仲間がいるか見てくる……」


 テンゴが笑うと、桃姫は真っ赤な顔をぬいぐるみで隠す。照れくささからか、そのままこそこそと集会場を出ようとした。そのとき――バシュン! ポータルから、新たな仲間が現れた。紺色の着物に袴、日本刀と、サムライのような姿の男性だ。


「おや、みなの衆、おそろいか」


「……ネルソン? 今日はちょっと早く着いたんだね……」


「うむ。今宵は最後の集会。みなが揃いだす時間に、俺が帰ってこなければ、意味がないだろうて」


彼の名前は『岡田ネルソン』。職業は、見ての通りサムライである。今日も何処かの惑星で、最後の狩りを楽しんできたんだろう。


「ネルソ~ン、今日も同じ狩場か~?」


「うむ。だが、おぬしには教えられぬな。まだ火力が足りんだろうて、しかし隣にいればモンスターの攻撃を防いでくれるしなぁ」


「『まだ』っつったってさ、俺はもう200レベルだぜ? それに、今日でこのゲーム、終わっちゃうし、ホント飽きないな」


 ネルソンはほとんど毎日、長時間にわたってこのゲームをプレイしている。どこかの惑星に降り立ち、戦いを重ねていることもあって、腕前も確たるものだ。


「武士たるもの、修行は怠ってはならぬ。それよりテンゴにチヒロ、おぬしらは学業に専念しとるか?」


「あぁ、まあな」


「もちろんよ! それに、テンゴは今日もヴァイオリンの演奏を頑張ってたわ」


テンゴとチヒロが学生であること、現実世界で友人どうしであることは、ギルドの皆が知っている。それ以上は誰も知らないのだが、若い二人を温かく見守っていた。


「それは、良きこと。おぬしらはまだ若い。しかと花の齢を楽しまれよ。俺はもはや……いや、案ずるな」


 含みのある言い方をするネルソンは、どこか憂いを帯びた表情だ。現実世界でのことを思い出しているのだろう。『LKO』という楽しみがなくなってしまった後、彼はどうするつもりなのか。それもまた、今日まで明かされなかった。


「くくく、ネルソン。貴様にしては、ずいぶんと弱気な口をきくことよ」


「その声は……『暗殺者』ピローではないか?」


 音もなく現れた黒い影。深くかぶった黒マントのフードから、赤毛がのぞく。腰につけた赤い剣が鈍く光った。


「呼ばれて参上、呼ばれなくても即参上、闇よりいでし我こそが……」


「ピロー、早くこっちに来たら? かっこつけてなくていいから」


「ふふふふふ……ふっはっはっはっは、汝は我が闇の主人を手懐けようというのか……よかろう、つきあってやる」


「はいはい」


ピローは突然笑い出した。いつもの格好つけたがりな性格だ。そして、誰も気にしていない。


「はぁ……今日は別の先生方と遅くまで打ち合わせだよ……クタクタだ……」


「はぁ……今日のサバトもひどいものだった。光の子らとの儀式の手順を、見直さなくてはならん」


 ピローはマントをなびかせながら、椅子に座った。実に「謎の人物」を気取っている様子だがその実は、リアルでとある学校の教師をやっているらしい。

たまにこうして、現実世界の愚痴を、わざと芝居がかった言い方でこぼすこともある。


「ピロー、お疲れ様……」


「教師って、そんな重労働なのね」


「でも、学校の生徒たちにも懐かれてんだろ? その、闇の暗殺者ごっこも学校でやっているんだろ?」


「おぬしはこちら側でも、あちら側でも、良縁に恵まれておるのか」


ピロー以外の4人が声をかけ、彼をねぎらった。ハードワークなのに、その合間をぬって来てくれたピロー。教師の仕事や、教え子との触れ合いもおろそかにすることはなく、悪役ぶってはいるが誠実な男だ。


「うむ、あちらリアルのことは忙しいが……しかし、こうやってまた皆に会える。良しとしよう。ところで諸君、我らが友、ハンスとクックには会ったかな? 我もちょうど、二人と宇宙の命運について、話をしてきたところだが……」


そのとき、集会場の奥にある扉から、わいわいと話し声が聞こえてきた。


元ギルド長のハンス・グロッチェが、現ギルド長のクックとしゃべっているようだ。

現実世界でも二人はいろいろと連絡のやりとりや、交流があるらしい。


「お、お前ら揃ってるな! なぁなぁなぁ、何話してんだよ? 俺も混ぜろよ!」


 気さくに話しかけてきた方が「スペースランナーズ」創始者のハンス。黒い帽子を被り、武器としてハンドガンを腰につけたガンナーだ。迷彩柄のズボンをはいて、軍人のようないでたちである。誰にだって声をかける良い奴だ、少し暑苦しい所もある。


「皆、こんばんは。ハンスとちょうど、ギルドのほかのスペースを見てまわってたんだよ。僕たち、ちょっと遅かったかな?」


 のんびりと挨拶したクックは現在のギルドマスターである。モミジのマークがある茶色のベレー帽をかぶり、服装は茶色のカーディガンと紺色のズボン。背中には大きな弓を背負っていた。


「まぁ……もうちょっと待ってみようぜ、クック。まだ誰かしら来るっしょ」


ハンスは昔の仲間との別れも惜しんでいるのだろう。勿体なさげな様子で、集会場の壁の時計を見た。今は21時を過ぎたところ、つまりサービス終了まで3時間を切っていた。


「……それにしたって、少ねぇなぁ。最後の日だってのに、10人ぽっちか。一番盛り上がってた時ですら、80人近くいたのにさ……」


「それは盛り上がってた時だな? あぁ、思い出した、ちょうどお前のチート(違反行為)が見つかりBAN(アカウント停止)された時期だね」


「うぇ!? おい、クック! その話題やめろって~……」


 冗談交じりに、クックとハンスの二人も席に着いた――『LKO』最盛期のこと、ハンスは運営のソウルメア社に、アカウントを停止されてしまった。ハンスが言うには、彼の家はインターネット回線が不安定だったため、手に入れたばかりのレアアイテムのデータが変質してしまったとの事て、運営に言い訳をしていた。

 リーダーだった彼が突然いなくなり、ギルドの皆は大慌て。そのときクックが代役を引き受けてくれ、今もリーダーとしての活動を続けている。実際彼が不正をしていたかどうかは、ギルド員は知っている。そう、瞬間移動のチートを常に使っていたのだ。この事が運営にバレてしまったのだ。



(今日集まるの10人ぽっちなのかなぁ……)


 テンゴはハンスたちの言葉を、しみじみと噛みしめていた。テンゴ自身も久しぶりにギルドの仲間と会うのだ。サービス終了したら、皆とはネットのブログやSNSで会話をするか、他のゲームをプレイするかしかで会えない。


(今のうちに連絡先を交換しておいて、そこで仲間を再集結させることも悪くないかもしれない)


 楽しく談笑する仲間たちを見ながら、テンゴは終わりのときをひしひしと感じたのだった。

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