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フリーダム  作者: 清香
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6 5年生になりました。

 キラキラ光る海を見下ろす丘に来ました。冒険者にならなくても採取は覚えて於いた方が良いので、全員に校外実習が有ります。行き先は、鉱山、森、海辺の3種類から選べます。私は将来、お母さんの店を継ぐ予定なので、サーシャと一緒に森へ植物採取に来たのです。『リルル、染色に使えるから綺麗な実を沢山摘もうね。』『そうだね。秋の森は実り豊かだからいろんな種類を集められるね。ついでに種も集めたいな。』2人で話しながら背負い籠の中にドンドン拾って行きます。時々貴重な薬草を見つけた時だけ、見つからない様にこっそりインベントリに仕舞ってましたけど(笑) 引率の先生から『お昼のスープを作る為に薪も拾って下さい。』と言われているので、枯れ枝も拾いながら、ゆったりと採取を楽しんでましたが、先行していた先生に追い付き、既に竈門が出来ていたので拾った枝を先生に渡してから、休憩しました。


 私達学生と先生が数人だけでは流石に危ないとの事で、冒険者さんも付いて来てくれましたので、スープは大量に作ります。私は途中で採取したキノコを差し入れて嵩増しをしようと思い立ち、先生に提案しました。何故かスープ作りのお手伝いをする事になったけど、美味しいスープの為です。ハリキリましょう。(というか、味オンチの先生に担当して貰うってどんな罰ゲームですか⁉︎) 私とサーシャが拾ったキノコが良いダシになり、冒険者さんからは捌いたお肉を頂いたので、かなり豪勢なスープになりました。美味しく頂いて、冒険者さんにみんなでお礼を言って、帰路に着きました。


 サーシャの家に行き、採取した木の実を使って毛糸の染色をしました。私の採取した葡萄の様な実からは、期待通りの深い赤紫色が出ました。さて、残りの木の実からはどんな色に染まるか、想像しながら楽しみましょう。染め上げた糸は、学校への提出用ににポシェットを編んで、残りはお兄様にマントを編む予定です。定着液を入れるタイミングで濃淡が生まれるので、グラデーションも楽しめそうです。


 染め上がった糸を使って、家の工房で文化祭に倶楽部から発表する作品としてマントを編んでいると、サーシャが来て一緒に編み物を始めました。サーシャは二つ指のミトンを編んでいるのですが、大きさがサーシャの手には大きいです。『ねぇ、伯父さん用には色が鮮やかな気がするんだけど?』とチャチャを入れると、『従兄弟のトリスから頼まれて編んでいるの。』と返事が返ってきました。『トリスはお父さんの方の従兄弟ので、王都の近くの街に住んでいるからめったに会わないんだけど、去年、王都で買ったマフラーがウチの工房のって知って、新しいマフラーが欲しい。って連絡が来たのよ。』手は休むこと無く動きながら、話し続ける。『お母さんがね、送るのは文化祭に出品した後でも良い。って言うから、私が編む事になったの。せっかくだからお揃いの手袋を編んであげようと思ったんだけど、面倒になっちゃって、もう、ミトンでも良いかな⁉︎ってね(笑)』話しを聞くと、2つ上の三男で、王都の商店で働いているそうです。王都の商店に良いイメージは有りませんが、雇われている方だし、と思いつつ、お兄様に手紙を書きました。


 文化祭の倶楽部の展示室に、お貴族様と思われるお友達を連れたお兄様が現れ、ちょっとした騒ぎになりました。手紙にお兄様に贈る新作のマントの事も書いて於いたので、『待ちきれずに見に来たよ。』と言ってましたが、視線の先にはサーシャの作品が有ります。私のマントを真似た編み方が一部に使われていますが、編み方自体は既にギルドに登録済みです。ザキュの商業ギルドの登録のトップはウチの工房です(笑) 私の視線に気付いたお兄様が商人の笑みを浮かべ『此方のクライド様のお父様は、王都の商業ギルドマスターをなさっていらっしゃるのですよ。ザキュは登録数も多く、品質の良い物が多いので、注目されているのですよ。中でも我が家がね。』と教えてくれました。クライド様に紹介され、今回登録した編み方のお話しをしていると、サーシャがスターシャ伯母さんと伯父さんを連れて入って来るのが見えました。お兄様がそっと伯母さんに近寄って話をしていると、何やら伯母さんの表情が強張って来ました。


 私は知らなかったのですが、トリスの勤め先がカルストさんちの店の支店で、トリスの依頼して来たマフラーは、あの奥様の指示だったようなんです。私のアイデアはマフラーと5本指の手袋のセットで、ちょっと高級感を出した登録でしたが、文化祭で展示してあるミトンとのセットは、サーシャの登録になっているのです。クライド様のお話しでは、あの奥様は手に入れたマフラーを使い、王都のギルドで登録するつもりだったようなんです。周囲の人に、『この冬に向けて新作を企画しているの。洗練された品物は王都から発信されるべきよね!』と吹聴して回っているそうです。


 結局、サーシャの作品はトリスには送られず、王都の商業ギルドに展示され、子供向けのヒット商品になり、私は高級感を出した手袋セットを展示して、大人の購買力を煽りました。(笑) トリスには新しく編んだ、去年のデザインのマフラーと普通の布のミトンを送ったそうです。奥様の思惑通り⁉︎に王都の商業ギルドから発表しましたから、嘘吐きにならずには済んだのではないでしょうか?


 そう、この冬に向けてとうとうキルティングを発表しました。クライド様から王都のギルドに新素材の提案をお願いされたのです。お布団の中に綿を詰めるのに、綿を薄くして布に挟んで防寒着を作る発想が無かったのです!不思議でしょ⁉︎モコモコの毛の動物や魔物は毛を刈り取る為に飼育されていて、革としてはめったに出回らないので、とても珍しい物というか、幻⁉︎とまで言われているらしいです。キルティングは表に使う布によっていろんなデザインが作れるので、王都のギルドはファッション関係者からせっつかれた職人さん達が大挙して押し掛け、大変だったそうです。私のギルドカードは残高確認したく無いかも…因みに、登録者の情報は隠せる事を条件にしたので、キルティングの発案者は誰だ!がこの冬一番の話題だったそうです。


 軽くて暖かくてファッショナブル。がキルティングの謳い文句らしいのですが、私はリュックを縫ったり、バッグを何個も作って売り出しました。コレは簡単に型紙が起こせて、汎用性があるので、本当に早い者勝ちだと思ったのですよ。お母さん達は我が家の稼ぎ頭は間違いなくリルルね。と笑ってますが、私の登録イコール我が家の登録ですからね。親孝行は出来る時に素早くするものなんですよ!


 そして、冬休みで帰って来たお兄様が、夕飯に爆弾を落としました。

キルティングは間に綿を挟んだ素材。という括りで、布地を接ぎ合わせて作るキルトとは別の物とさせて頂きます。…ちょっと苦しいけど。

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