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フリーダム  作者: 清香
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5 王都って

 夏休みになったのにお兄ちゃんが帰って来ない。お土産の品物だけが家に届き、私は綺麗なつけペンと鮮やかなブルーのインク壺を貰った。早速、お兄ちゃんに手紙を送ったのだが、返事が来ない。家の手伝いや、休み中の倶楽部活動の為に、お店の講習会スペースを借りたりと、忙しさに紛らせてはいるものの、ソロソロ我慢の限界!と思った頃に、疲れ切ったお兄ちゃんが帰って来た。ナント、ルームメイトの家に軟禁されて働かされていたらしい。バイト代はキチンと払わせたよ。とは言っていたが、王都の大店は酷い事をする。と私も恨みに思ってしまっても当然よね!


 夏休みの多くを軟禁された為、1週間位しか居られない。と言うのでひたすらくっついて過ごした。お兄ちゃんとする店の手伝いや勉強は楽しいし、何時も以上に頑張れるから誰も止めないし、たぶん、お兄ちゃんも喜んでいると思うの。


 慌ただしい1週間が過ぎ、お兄ちゃんが学校に戻る日が来てしまい、私は涙が止まらなくなった。すると、両親がお兄ちゃんの冬休みの始まりに合わせて王都に旅行しよう。と約束してくれたの。お父さんは商談で王都に行くけど、お母さんと私は行かないから、旅行も良いだろう。って。またお兄ちゃんを軟禁されないように迎えに行く。って意味もあるのですけどね。


 私は文化祭も無事に?乗り切り、お兄ちゃんの為に編んだマフラーのレシピを何通りにかアレンジし、お母さんとスターシャさんの工房に作成依頼を大量にして生産し、冬の販売の準備を済ませて王都に旅立ちました。途中で泊まる初めてのお宿はお父さんの常宿で、スタッフさんみんなに親切にしてもらい、帰りの予約も入れてもらいました。次の日の午後に王都に着きました。あらかじめ連絡しておいた宿でお兄ちゃんと落ち合い、翌日の王都デートのルートを相談して、午前中は2人組に別れ、ランチで合流してお土産を選ぶ事になりました。


 宿の食事は塩味中心の素朴な物で、流石王都!って感じは有りませんでしたが、学校の食堂は貴族も通っているせいか、スパイスの効いた珍しい物も有るそうです。そして、此処が大切。デザートが美味しいそうです!私にも食べさせたい。と残念がっていましたが、多分、前世の記憶からすると、材料が有れば作れそうなお菓子です。そんな事は言いませんけれど、明日行く予定の本屋さんでレシピブックを見つけて問題解決!と致しましょう。この本に載ってる材料〜と言えば、材料も揃え易いでしょうし、説明が簡単です。


 お兄ちゃんの王都説明を聴きながら、ウキウキと歩いていると、一軒の店の前で呼び止められました。この強引さはお兄ちゃんの話しに出ていたあの商人かもしれない。と思い、恨みに思っている事を顔には出さず慇懃無礼に対応して、お兄ちゃんを引き剥がして遣りました!まったく気分が悪くなっちゃうじゃない!とプンプンしながら歩きを止めませんでした。お兄ちゃんは頭を撫でながら『良くやったね。』と褒めてくれたので正解だったようです。確かに店構えは家より大きいですが、店主の奥さんの態度がアレでは、リピート率が低いのでは?と思いますよ。『お兄ちゃんはあなたの子供でも、ましてや使用人でも有りません!』と教えてあげた方が良かったかしら?


 王都の本屋さんはトマスの家の4倍位大きく、いろんなコーナーがあって、目移りが止まりません!一気に機嫌が直り、興奮しながらも他のお客さんの迷惑にならないように気をつけて、目だけでレシピブックや手芸関連のコーナーを探していると、何やら囲まれた⁉︎みたいです。ビクッとしてお兄ちゃんに掴まると庇ってくれたのですが、私の作ったマフラーやループタイに注目した周囲の方々が騒ぎ出し、お兄ちゃんや私までがお店から追い出されてしまったのです!


 店内では他の方の迷惑になるからと我慢してましたが、道端なら良いでしょう。買えなかった本の恨みを込めて切々となじってあげましたよ。年上?ナニソレ美味しいの?状態ですが何か⁉︎周囲にうっすらと人垣が出来かけた頃、両親に見つかってしまい、幕を引かれましたが、『子弟にあの程度の教育しかしてないなんて王都の商家はレベルが低いようですね。』と呟いてしまい、それを聴いた本屋のご主人に笑われてしまいました。ヘニョンです。両親が付いて来てくれて、謝罪を受け取ってもらえたので、出禁にならずに済み、無事に目的の本も手に入りました。騒いでいたのは私達以外でしたからね。両親は私達だけでは絡まれて危険。と判断し、早めにランチを食べて、お土産は4人揃ってゆっくり探しました。流石に親と一緒の処に来てまで絡んで来る級友は居ないようですが、逆に、お父さんの商人仲間からの発注依頼が舞い込み、お父さんが苦笑いをしていました。


 お父さんの知り合いの王都の商人さん情報に拠ると、カルストさんのお父さんは入婿で、お母さんが遣り手で強気な為、何かあるとお父さんが謝罪行脚をするそうです。お店の前での対応を思い出し、そんな人っぽいね。と納得しました。ザキュにもクセのある人は居ましたが、少なくとも大店と言われて一目置かれるような人の中には見かけなかったなぁ。と思いました。


 お土産も買えたし、私のビーズキットも置いているという手芸店にお母さんと行く事にしました。お父さんとお兄ちゃんは先程の発注の本契約をしに別のお店に行くそうです。ついでに王都にある懇意にしている商店に顔繋ぎしてくるそうです。卒業したらお兄ちゃんが営業に来る場合もあるし、せっかく王都に居るなら顔を覚えて貰っておいても損はしないからだそうです。


 王都の手芸店はお母さんのお店と同じ位の大きさでしたが、扱っている内容は違い、製品化された物がたくさん有り、お値段高め⁉︎です。材料もキットが多く、布地もあらかじめ同じ長さに切った物が並んでました。説明書付きのキットを見て、此処には転移か転生して来た人が…と思ったら、犯人はお母さんでした。講習会を開きに行けないから、説明書を付けて販売しているのだそうです。よく見たら、私の字も有りました。技巧神様の不思議パワーでこの世界には魔石で動くコピー機があるそうです。ただ、超高級品の為、あまり見かけないのですが、王都の商業ギルドには有るそうで、使用料を取られるけど、ギルド会員なら使えるそうです。それもあってかお高めの値段になってました。でも、ウチの倍近い値段って…


 店内を見て回り、カットされた布地を何点かとレース糸等を購入しました。街では見かけない綺麗な色だったので、これでポーチやアクセサリーを作ったらきっと素敵な物が作れそうです。暖色系だけで無く、寒色系も買ったので作る幅が広がります。ワクワクしながらバッグに仕舞っていると、店主さんと思われる人から『素敵なバッグね。』と声が掛けられました。すかさずお母さんが間に入り、『ザキュのお店で買った物よ。』と説明しました。店内の値段設定を見て、直接関わりたく無い店。と判断したようです。私は気配を消して出口の方に移動すると、『そろそろ待ち合わせの時間だよ。』とお母さんを呼びました。店主さんはいつの間に⁉︎と不思議そうにしてましたが、長居は禁物。とお店を出ました。もしかして王都は鬼門なのかな?


 宿で2日目の朝を迎え、帰宅の日です。レシピ本を片手に材料を購入して馬車に積み、ザキュを目指して帰宅の途につきました。お兄ちゃんはお父さんと御者席に座り、私とお母さんは中に居ます。来る時に予約した町の宿を目指してます。馬車にはクッションを持ち込んでいるし、椅子に棒を渡して掴まれるようにして貰ったので、多少の揺れでは椅子から転がりませんし、身体への負担が少ないです。三点式のシートベルトは難しそうなので、アトラクションで使われているセーフティバーをイメージしてお父さんに作って貰ったのですが、予想以上の仕事をしてくれてます。蝶番と受け口をドロテスさんに頼んだのですが、蝶番がまた登録案件になりそうデス。自分でも手芸のレシピとか細々と登録して有るのですが、残高確認が怖いかも?

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