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フリーダム  作者: 清香
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33 子供達だけの社交は大成功! ポーションは私の憂い⁉︎

 子供達の作ったブレスレットには一つずつ魔石を入れて有るので、其処には結界を付与してあります。何かあった時の御守りです。実は、オルフェウスは誘拐されかけた事があったので、常に数種類の御守りを身に付けてます。勿論、タチアナも同様です。二人とも魔力は余っていますから問題無く行使出来ます。でも、マリアン様に渡して貰うブレスレットには付けてません。リチャード様が付与出来ますから、私からの付与でなくても良いと思ったのです。


 オルフェウスには『三人のブレスレットは、結界が付与されている処迄がお揃いですよ。』と説明をお願いして送り出しました。二人にはカーディナル様が付いているので、私はお留守番です。二人はメリッサ義母様の実家にもお泊まり出来る位しっかりしてますから大丈夫でしょう。…二人を惹きつけて止まないサムソン様は偉大です。


 私は拡大した薬草園に行き、ポーションに使う薬草を採っています。自然の物より高濃度の魔力を含んでいるので、時折、シックギター先生に持って行かれる事がありますが、大量に育てているので問題無し!…問題は先生が持ち込んだ毒草のトリカブトや麻痺草のスズランです。薬草と一緒のハウスになんて植えられたら大変なので、第二のハウスを建てる騒ぎになりました!ホント、迷惑でしたよ。『先生が必要とされるのですから、ご自分で育てるべきです!』とお断りしたのに、『私が育てたのは全て枯れてしまったのだ。リルルさんに頼るしか無いのだよ!』と押し切られましたけど。


 お陰で、ヒール草との組み合わせで毒消しポーションと麻痺治しポーションも出来ましたけど、私は薬師ではありませんから。成功したポーションを嬉しそうに持って行かないで欲しいです。あぁ〜子供の頃は、お母さんの手芸店で楽しくゆったりと物作りしながら、スローライフを過ごす予定だったのになぁ〜なんて頭の片隅を掠めました。


 ハウスの前に立ち、物思いに耽っている場合では無いですね。気を取り直して薬草を刈り採ると、頼まれているポーションを作ります。兄様の店とワイマール義父様のギルドとクライド様の三箇所用です。王宮にも魔術士は居ますし、私のハウスの成功はクライド様経由で伝えてあるのだから、其方で対処出来る筈です。それなのに相変わらず王宮からも要望が届くのが不思議です。


 何時もの様にポーション類を作り、依頼された瓶の全てを満たしたので、最初に兄様の店に行きます。商業ギルドに行くとワイマール義父様以外にも色々と捕まるので、兄様優先です。ついでに作り置きした手芸品もアリエル義姉様達に見てもらいましょう。と、マジックバッグに詰め込み、スザンヌに声を掛けて出掛けました。


 『納品に来ました〜(笑)』と裏から入ると、ジイドさんが『助かりました!』と走って来ました。領地に帰る令嬢の護衛依頼を受けたパーティーの方が買いに来ているそうで、後から来たカード持ちの方と重なってしまい、困っていたそうです。『前回の納品分では足りなかったのですか?』と兄様に聞くと、『長期休暇の為に領地に戻る方が多かったみたいでね。昨日なんか偽造したカードを持って来てゴネる方が居て、偶々居合わせたリチャード様に助けて頂いたくらいさ。』と苦笑してます。


 私が卒業時に友人方に渡したカードですが、兄様の店のポーションや限定品が優先で買える為、オークションにて高値が付いた事があったそうです。幸い、ワイマール義父様に見つかって取り下げられたそうですが、そのカードのシリアル番号は廃棄処分されて、店に警告のポスターが貼られる騒ぎになりました。…出所は、リジーさんのお友達という事で強請られたクラスメイトでした。薬学の方とはあまり交友が無かったのですが、リジーさんとは一応義姉妹になりましたので、予定外でしたがお渡ししましたね。


 あの騒ぎから『カードはシリアル管理されていて、本人しか使えない』と理解を広めていた筈でしたのに、オークションがダメなら偽造って、更に悪質化していませんか?


 店頭での騒ぎが収まった様なのでお店に行くと、義姉様達が待っていました。カウンターの中の、パーティションで区切った商談ルームに入り、机の上にいろいろ取り出して並べます。


 アクセサリーは、マリアン様に作ったブレスレットの、モチーフを変えた物とリングのセットを数点。イヤリングとネックレスのセット品を数点。パーツを取り替えれば髪飾りにもなるコサージュを数点。配色良く並べます。


 隣りには、ビーズ刺繍をしたポーチとポシェット。男性用に、ベルトに付けられるポーチ。子供用のリュックと、持ち手をD管に通してあるので、リュックにもなるトートバッグ。其々を数点ずつ並べました。魔石を使っていないですし、マジックバッグはワイマール義父様の許可が無いと作らない約束なので、容量はそのままです。


 テレサ義姉様は嫁いでから手芸学校に入り、ビーズ手芸を習ってますので、アクセサリーを確認しています。アリエス義姉様はバッグの確認ですね。二人とも笑顔なので、このまま売れそうです。


  二人が計算を始めたのでシャル兄様の処に戻ります。ポーションの値段は決まっているのでカードに入金するだけです。私は次の依頼分の内訳と瓶を貰います。と、ジイドさんから提案がありました。今迄も、私以外の人が作ったポーションを一緒に取り扱って来ましたが、『本物が欲しい。』と言われて拒否される事が少なくないそうです。『同じ値段だから文句が出るのだろう。と思うのですが、どう思われますか?』と聞かれました。シャル兄様に意見を聞くと、『味が違うのははっきりしているのだけど、回復量は一緒。値段差が難しくて。ワイマール様にも相談してね、取り敢えず同じ値段なら、リルルのは量を少なめにしても良いんじゃないか?』と言うのです。味の違いは回復量に関係しませんよね?詭弁と取られないでしょうか?


 私では決められないので、ワイマール義父様に相談する事にしました。義姉様達に手芸品の値段を決めてもらい、義姉様が自分様に買い取る作品にだけ、魔石を取り付けて付与をかけます。テレサ義姉様は髪飾りにもなるコサージュなので、結界を付与しました。アリエス義姉様はリュックになるトートバッグを子供に買いたいそうなので、3M四方程度の大きさのマジックバッグにしました。カードに入金をして、シャル兄様と商業ギルドに向かいましょう。


 ワイマール義父様に相談すると、ギルドでは既に対策済みで、私のは味プラスと銘打って、少し割高になってました。シャル兄様は知らなかったそうで、『うちの店では同じ値段でした。』と言うと、『最初はそうだったんだけど、リルルの以外が売れなくなって、悩んだ結果なんだよ。勿論、冒険者の意見も参考にしたが。』と、サラッと流されてしまいました。兄様の店でも、ギルドに合わせる事になりました。悩んで来たのが勿体なかったかも?


 買い取りカウンターでは人目があるので、ギルマスの部屋に場所を変えて、ポーション類を出しました。シックギター先生用の毒消しや麻痺治しのポーションも此方に出します。少し多めなのはワイマール義父様にバレたからです。冒険者ギルドからの依頼らしいですけど、作り手が私とバレない様に此方を通してます。


 レゾルブ様の話しでは、魔獣の中には毒を吐く物や、麻痺させる粘液を持っている物も居て、即座に薬を飲まないと魔獣に負けてしまい、死んでしまう事も有るそうです!…薬の必然性は分かりましたけど、やっぱり、薬師に対応してもらうべきだと思います。採取の難しい薬草と分かっているなら尚のこと、自分たちで育てるべきだと思うのですが?シックギター先生経由で薬学のミッシェル先生にお願いするべきでしょうか?


 納品を終えて帰宅すると、スザンヌに手伝ってもらって夕飯の支度です。オルフェウス達はクライド様がお仕事の帰りにお迎えに行く約束だそうで、まだ帰っていませんでした。少しでも長く遊びたいらしい三人の意見が尊重された結果ですが、お付き合い下さるカーディナル様に感謝です。


 夕飯を食べながら、オルフェウスやタチアナから話しを聞きました。お誕生会では高飛車な態度を取りかけたマチルダ様ですが、今日は最初からお淑やかで可愛かったそうです。お揃いのブレスレットに感激されて、『今度、タチアナ様のお邸に招いて頂けるなら、私も一緒に作らせて頂けませんか?』とお願いされたそうです。オルフェウスが預かったマリアン様からのお手紙にもそう記されてありました。タチアナが『父様、何時なら来て頂けますか? 母様、マチルダ様と一緒にビーズ細工をしたいので教えてもらえますか?』とニコニコして聞いて来ます。


 クライド様が『リチャード様にお伺いを立てて日時を決めて来ましょう。』と笑顔で二人に答えると、オルフェウスが、『僕一人では浮いてしまいそうなので、サムソン兄様も誘って下さい。』とおねだりしています。頭の良いオルフェウスがシュナイダー様を話題に出さないのは、兄としての考えなのでしょうか?と、クライド様の顔を見てしまいました。クライド様も含み顔で『そうだね。タチアナのお誕生会にお呼び出来なかったから、久し振りに会いたいですよね。』とタチアナに話しを振ってます。タチアナも嬉しそうに『サムソン様に会いたいです!』ととびきりの笑顔ですね。


 後片付けをスザンヌに頼み、寝室でマリアン様からのお手紙を読み直していると、『結界のアクセサリーをポンッと子供達にプレゼントするなんてリルル様らしいけど、あまり自分を安売りしないのよ⁉︎ 学生時代と違って、今のリルル様は貴族なのだから、もう少し自己主張する事をお勧めします。何も出来ないミランダ様があんなに威張っているのよ?(笑)』と書いてあって、アラ?と思ってしまいました。マリアン様は学生時代、優しく穏やかな方で、人の陰口を嫌う方だったからです。


 クライド様に『どうしたの?』と聞かれて、『マリアン様の助言がね、』と、私に付いて書かれた処だけ伝えると、『リルルは平民だから。と遠慮する事に慣れているから気付かないと思うけど、私や両親は何時も自慢しているし、リルルをちゃんと見ている人なら、歯痒く思っていても不思議じゃないね。リルルの能力は貴族に生まれていたら、王家に望まれて、私の手には届かなかったと思う。リルルには悪いけど、平民に生まれてくれてありがとう!』と抱き締められました。

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