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フリーダム  作者: 清香
22/38

22 新たなる出発〜基本はビーズ手芸でしょう

 新生活が始まりました。でも、クライド様のというか、新居⁉︎のお家には既に馴染んでいますけどね。(笑) サーシャと一緒に半年前から下宿させてもらっていましたから。


 実は結婚式後の数日は、自分の体じゃないみたいな感覚で歩き難かったり、変な筋肉痛?が出たりで少し辛かったです。もう!旦那様を睨んじゃいましたよ。『ずっと我慢していた。』って言い訳してましたけど、限度が有りますよね!アリエス姉様もテレサ姉様も偉いなぁ。結婚したらあんな事をされていたなんて気付きもしませんでした…アレ?そう言えばテレサ姉様も数日部屋から出て来なかったかも?って言うか、前世の記憶が働かない事もあるんですねぇ。ああ言う行為は記憶の底に沈みきっていて思い出せませんでした。きっと身体につられたのですね。まぁ私の気持ちとしても、旦那様に教えてもらっただけの方が良かったので、変な記憶の無い方が有り難かったですけど。


 スザンヌ…が居るので変な?体調でもお屋敷の方は問題は無いです。掃除とかスザンヌ…が全部こなすので。私、貴族籍としてはたかが准男爵夫人ですが、使用人をさん付けしないとか、貴族らしい態度をとる様に言われてます。でも心は平民なんですよ。半年位のナンチャッテ教育で心から貴族になんてなれません!という訳で、旦那様の希望を盾にお料理だけは婚姻後も任せてもらってます。サーシャが帰ってしまったので4人分ですが、落ち着きます。何が言いたいかと言うと、年上を呼び捨てにするとか、扱き使う⁉︎って気力が半端なく要るんですよ。しかも、スザンヌ…も侍従のラトル…もきちんとした貴族籍を持っているそうなのですよ。ラトル…に至っては執事になる為に、旦那様の様に大学を卒業して、此処に来る前は領地の本家で修行していたそうです。許されるなら様を付けて呼びたい心境です。


 マリッジブルーになりかけたのを助けてくれたのは義姉様達でした。『16年平民教育しか受けて来て無いのに何を過大な期待を懸けているのですか!たかが半年、さわりだけを流して、何を教えた気になっているのですか!』アリエス義姉様が吠えると、テレサ義姉様も『クライド様が正式に貴族家を起こせるかどうかはまだ分かりませんでしょう?まだ上にセバスチャン様もいらっしゃるのでしょう?ワイマール様にも爵位が余っている訳でも無いのに、今、リルルさんに過剰な負担を掛ける意味が有るのかしら?』と優しく、スザンヌ…とラトル…を叱ってくれたのです。


 アリエス義姉様から話しを聞いたワイマール義父様も、『リルルには私の元で手芸学校を指導してもらうのだから、今までとなんら変わりなくて良いんだよ。』とスザンヌ…に言ってくれましたし、旦那様も『舞い上がり過ぎてごめんね。やっと捕まえられたから、手放したくなくて、僕のテリトリーに引き込みたかったんだ。』とションボリしてました。私を抱きしめたままでしたけどね。


 『ジイドさんの様にさん付けなら⁉︎』と粘ったのですがね。それでも、クライド様と結婚してしまったので、『使用人は呼び捨てにして下さい。』と頼まれてしまいました。(泣)


 ギルド主催のビーズ手芸の教室が始まりました。『講師の候補生に何から教えようかな?』と考えた時に、ザキュで最初に作っていたワイヤービーズを思い出しました。あの頃はまだ小さかったから簡単な物しか作りませんでしたが、今ならもっと手の込んだ物でも驚かれないでしょう。ビーズを通して捻るだけでなく、編み込んだり、いろんな手法を試せます。


 問題は材料がザキュでしか手に入らない。という事です。手芸学校は王都。工房はザキュ。定期運送便が出来たので、少し割高ですが定期購入は出来るのです。ただ、特殊なタイプのビーズを注文するには、スクルラさんやサライズさんに直接依頼しに行かないと話しが伝わり難いのです。たぶん、私の絵を描くスキルが低いからなんですが。


 手芸用の細いワイヤーもドロテスさんの工房から凄い太さの巻きで届きます。沢山使うのでこうなりました。王都の鍛冶屋では、同じ細さを維持して銅を延ばしていく、繊細な作業を熟す人が居ないそうで、まだ作れないのです。豪快さが売り⁉︎のドロテスさんと思っていた私は、ドロテスさんの意外性に驚きました。でも、王都の鍛冶屋さんに教えに来たドロテスさん曰く、『アイツら、口は巧みだけど、仕事は雑なんだよ!熱いうちにスッと同じ強さで延ばすだけなのに、ビビって延ばすから太さがまちまちになるんだ。』との事で、ようは技術力と精神が未熟なだけだそうです。王都の鍛冶屋さんも経験値を貯めて早く成長して欲しいものです。


 因みに、ワイヤー、ピン等の手芸材料はお貴族様用に金や銀の材料からも作ってもらう仕様書を出しました。お高くなりますが、結婚して貴族籍に足を突っ込んでしまったので、旦那様経由でお貴族様からアクセサリーの依頼がくる様になってしまったのですよ。結婚前はワイマール義父様が止めてくれていたのですが。旦那様の為ですから、内助の功で私も作る事にしました。数は作れないので限定品にはしました。後々、工房に委託制作するのを考えると、余りアクセサリーの種類を増やしたく無いので、平民と差をつけるには材料を変えるしか無いのです。金や銀を使う事でキラキラしさが圧倒的に違いますから、一見してお値段の高い物と分かるのも便利ですよ。後はサライズさんの魔石ビーズを使って付与する事で特別感を演出ですね。付与だけなら工房の作品に後付け出来ますからね。


 ガラス工房も鍛冶屋さんも、一応王都でも探しはしたのですが。私が若いせいか、説明が下手なせいか、私の望む物を作ってくれる処が見つからなかったのです。ワイマール義父様のお声掛けもあって、何箇所か訪ねたり、スクルラさんやドロテスさんの協力も仰いだのですが、上手く行かず、未だにザキュ頼りです。ワイマール義父様も『あと数年は掛かりそうだ。』と見立ててます。


 という訳で、1月から2月に一度程度は里帰りになります。…旦那様の休日以外の日で。最初に旦那様がお休みの日にシャル兄様とザキュに出掛けたら、帰って来た後が大変でした。旦那様もシャル兄様と同じで4歳上の筈なのですが、精神的にお子ちゃまになってしまったかの様に付き纏って、離れてくれないのですよ‼︎ 信じられますか⁉︎ あの理知的な旦那様が私にべったりですよ。気を抜くとベッドに連れ込まれるし…しかも私と2人切りの時の話しなので、誰に話しても惚気としか受け取ってくれなくて大変だったんです。まぁ、愚痴は止めましょう。私が疲れただけですから。


 旦那様の顔は立てますけど、依頼の基本的な窓口は兄様の店で、主にアリエス義姉様とテレサ義姉様に受けてもらっています。私も時間が有る時はお店に立つ様にしてますけれど、中々時間が作れなくて。だから、お店で商品に付与を頼まれれば基本的には断りません。そのせいか?『幻の店員』とか、『遭遇するとラッキー』とか、お客様には言われているそうです。なんだかな?ワイマール義父様からは『手芸学校をメインで!』と言われてますからね。ホントに隙間時間しか顔を出せません。


 そう言えばギルドの手芸学校には『こんな小娘に教わる事なんて無いわ!』って人が年配の生徒さん達に多少居ます。その所為でお母さんの教室の人気は私のよりも高いです。元々、王都のお店でも私の隠れ蓑にお母さんが講師をしてましたから当然ですが。ただ、講師講座に来る様な、お店時代からの生徒さん達は年齢に関係なく、私に付いて来てくれてます。私がお母さんに教えている処を店でずっと見て来てますからね。(笑) 知ってる人は知っているのです。


 それで何が問題かと言うと、私は結婚して王都住まいになりましたが、お母さんはザキュの店も有り、月の半分しか王都には居られません。なので、月の半分は講師が替わります。趣味で習うクラスなので問題無し。とワイマール義父様が決めて、最初から複数の講師で運営するクラスと宣言してありますが、それでも苦情が来ます。で、一応、学校長として対応はしますが、私が表に出る事で更にクレームが付いた時はワイマール義父様の登場です。


 そう言う事が何度か有り、怒ったワイマール義父様は全員に入学の契約を交わす事にしました。当然ですが『理不尽な主張をしない事。年齢は考えずに真摯に習いたい者のみ受け入れる。』の項目が入ってます。今迄は講師講座のみの契約書で、初級クラスには適用されなかったのですが、クレーマーが初級クラスの貴族夫人ばかりだったので考え直したそうです。そして初級クラスをアクセサリーとビーズ刺繍の2コースに分けました。刺繍は貴族子女の嗜みの一つなので、敷居を低くして、クレーマー夫人達のプライドを守る為だそうです。講師を目指す人達は職業として真剣に習いに来ているのですから、却って契約書は不要でしたね。


 初級クラスは全員が一斉に同じ講義を受ける訳でなく、順番に課題をこなせれば良いだけの内容なので、人数枠が空いているならば随時募集という遣り方に変更しました。まだ始まったばかりで、そんなに進んでいなかったので、特に混乱する事なく、2コースに分ける事も出来ました。ビーズ刺繍の方は針にビーズを通して刺繍をするだけなのですが、ビーズ刺繍をした布を使って何を作るのかは其々で決める事。としました。とは言え、余りに大雑把過ぎてもクレームにしたがるでしょうから、替え襟キット、ポーチキット、バッグキットの様に何種類かの大きさの生地は用意しました。


 住み分けは成功したようで、上を目指す⁉︎アクセサリーコースにはクレーマー夫人達は来ませんでした。なので、騒ぎで中断された処から授業は無事に再開されました。


 シャル兄様の店の手芸講座をしていた場所は、工房の扱いにしてもらって、母の替わりに講師をしている方の活動の場にしてもらいました。ザキュの母の店を真似してみたのです。棚割りをして、各自作った作品を展示販売すると共に、工房で作る過程をお客様に観せる等、独り立ちした時の予行演習をしてもらってます。まだ先になりますが、私の講座で学んでいる方の卒業時の制作課題としての場所としても使わせてもらう予定です。オリジナル作品の売り上げか、展示して一般の評価を付けてもらうか、やり方はまだ決まってませんが。

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