身勝手な道の終着点
ひとつの命の灯火が、尽きた。
『躊躇いも、後悔も、他人に任せるつもりはない。
俺が決めた道だ、最後まで付き合うに決まってるだろう』
かつてその口から告げられた一言は強がりで、それでいて確かに彼自身の心の在り方を示す一言であっただろう。
己らしく生きるという、口にするだけなら容易い、成し遂げることは極めて難しい道を確かに歩んでいたのだ。
『死ぬつもりなんて欠片もなかったよ。
ただ少し、運に見放されちまっただけだ』
その一言も偽りではなく、命運の尽きるその瞬間まで生き永らえようと試み、足掻き続けていた筈なのだ。
ほんの僅か、紙一重の偶然が明暗を分けたのである。
『好きに生きたぜ、俺はな。
けどお前は、もう少し賢く生きな』
故にその生涯に後悔もなく、ただ1つ己の心の内に残された教訓を残して、潔すぎる結末に一切の余韻を残すことなく、彼は逝った。
身勝手な結末であったとは思うが、その真っ直ぐな生き方は羨ましいとさえ感じたし、自分もそう生きられたならどれ程痛快だろうかと、憧れのようなものを抱いたのが正直なところである。
それが極めて難しいことを思い知る程度には、自らが世のしがらみに縛られていることを自覚していたからこそ、より強くそう思ったのだろう。
「……賢く生きたってね。楽しいことなんてないですよ」
身勝手に生きられなかった今の自分は自嘲気味に呟きながら、それでも自分なりの生き方で足掻き続ける。
考え方が堅実であれ、豪胆であれ、自らの命と向き合うことに変わりはないのだから。
そして今日もまた、窮屈な1日が始まる。




