表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

身勝手な道の終着点

作者: たくみ

 ひとつの命の灯火が、尽きた。


『躊躇いも、後悔も、他人に任せるつもりはない。

 俺が決めた道だ、最後まで付き合うに決まってるだろう』


 かつてその口から告げられた一言は強がりで、それでいて確かに彼自身の心の在り方を示す一言であっただろう。

 己らしく生きるという、口にするだけなら容易い、成し遂げることは極めて難しい道を確かに歩んでいたのだ。


『死ぬつもりなんて欠片もなかったよ。

 ただ少し、運に見放されちまっただけだ』


 その一言も偽りではなく、命運の尽きるその瞬間まで生き永らえようと試み、足掻き続けていた筈なのだ。

 ほんの僅か、紙一重の偶然が明暗を分けたのである。


『好きに生きたぜ、俺はな。

 けどお前は、もう少し賢く生きな』


 故にその生涯に後悔もなく、ただ1つ己の心の内に残された教訓を残して、潔すぎる結末に一切の余韻を残すことなく、彼は逝った。

 身勝手な結末であったとは思うが、その真っ直ぐな生き方は羨ましいとさえ感じたし、自分もそう生きられたならどれ程痛快だろうかと、憧れのようなものを抱いたのが正直なところである。

 それが極めて難しいことを思い知る程度には、自らが世のしがらみに縛られていることを自覚していたからこそ、より強くそう思ったのだろう。


「……賢く生きたってね。楽しいことなんてないですよ」


 身勝手に生きられなかった今の自分は自嘲気味に呟きながら、それでも自分なりの生き方で足掻き続ける。

 考え方が堅実であれ、豪胆であれ、自らの命と向き合うことに変わりはないのだから。


 そして今日もまた、窮屈な1日が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ