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二十七話 ○○○作戦

 加速装置、超能力発動機、飛行装置、超視聴覚能力、筋力増強機、火炎放射器、変装装備、深海活動装置、全身武器、この全てを一度に組み合わせる俺的最強形態。

 

 まるで、戦隊物のロボットのような姿の完全武装フルアーマー


 これの本領は言うまでもなく汎用性の高さと攻撃の乗算ができることにある。

 例えば超能力で対象自体を引き寄せ動くことなくポテチを目の前に運ばせることもできるし、火炎放射器を使えば生のジャガイモをそのまま焼くこともできる。

 水中活動装置を使えば海の中でポテチを食べることもできるし、水中で魚に変装してポテチを食べていれば、漁師に釣られるなんてイベントを体感することもできる。

 飛行装置と変装装備を合わせれば鳥の群と一緒にポテチを食べることも出来る。


 ともあれ想像次第で様々な使い方のできる、完全武装、その中で今回自分が組み合わせたのはいたって単純ながらも確実にダメージを与えていける、『加速装置』と『火炎放射器』の組み合わせだ。


「うおりゃぁああ!」


 叫び。


 加速装置で加速しながら両手に嵌めた火炎放射を振りかざす、しかしそれをジェドはあろうことかその場で詠唱(多分)をし、すぐさまワームホールを出現させてきた。

 そのせいで俺の攻撃はそのワームホールに吸い込まれ別の場所から(俺の顔の横)それを放った。


「え? 熱っち!」


 本来なら絶対に当たるはずのない位置から繰り出された火炎放射は拳と共に頬へと突き刺さる。

 と同時に生々しい火傷をつくる。


「はっはー、そんな攻撃じゃあ僕には当てられないよ。当てるならそうだなぁ、僕の認識外からの攻撃とかじゃないと駄目だね、ましてや視界にある攻撃なんてもう攻撃ですらないね」


 完全武装の俺の攻撃を「攻撃ですらない」と軽口で一蹴し、一ミリも動くことなく俺を退けたジェドは、笑いながら挑発してくる。


 ちくしょう! ジェドは目の前にいるのに攻撃が入らないなんて。でも相手は所詮人間、こんなの更に加速すれば目で追えなくなるはず!


「オラオラオラオラオラオラ!」


 両手に炎を纏い、その炎が消える程素早く何度も何度も拳を繰り出し続ける。

 幸い、ジェドでも俺の攻撃を視認できなかったのかワームホールは一回も出現する事はなく、ひとまず攻撃を止める。


「どうだ! この速さにはついてこれないだっだだだだだだ!!」

 

 カッコ良く決めるはずだったはずなのに俺の周りに一瞬で大量のワームホールが出現し、そこからさっきとは桁違いの炎の拳が降りかかってきた。

 終わりの見えない炎の連続攻撃の途中で聞こえた「時間差攻撃なんてどうかな」これには、そんなのずるいじゃんかとしか言葉がでなかった。


「卑怯だぞ! 先に言ってくれないとよけられっこないじゃん!」


「先に宣言する奴なんているわけないだろう。だから言っているんだよ、こんなもの攻撃に価しないと!」


 ううう、ずるーい!!!


 何をしたってそれが攻撃に値しないなら、もう何にも考えない。組み合わせなんて考えないでただただ全力っで殴りつけてやる。それでだめだったらしょうがない、そこで倒れているエルミルと、ずっと弓を構えたまんまの姿勢のエゼルを連れてどっかに隠れてやる。

 まぁ、隠れる場所なんて一つもかんがえてないけど!


 そんなわけで!

 

「いきまああぁぁす!!」


「待ったメグミちゃん!」  


 全身全霊でジェドのことを殴ろうとした瞬間、自分を呼ぶ声とバキューンと飛んでくる『弓本体』。

 何で飛び道具ではなく飛び道具を飛ばすものが飛んでくるんだとは思ったけど、そんなこと考えている間に、くるくるくると、きれいな弧を描いてそれは見事俺の顔面にぶち当たる。


「いったぁー!」


 あの湾曲した棒の端っこに線が貼ってある、全長二メートルはある、この弓が当たってなかったら反応できなかったかも、とは思うけど。


「痛いよエゼル! 何でそんなことす──」


 明らかな反乱攻撃の追及を最後まで言い切る前に俺の方を掴むと、エゼルは耳元で囁く。


「作戦会議よ、作戦会議」



 ◇◇◇



「確かに、それならいける」


 まるで一時代前の漫画のように手をぽんと叩き、エゼルの言う作戦とやらに納得する。


「やることわかった?」


「もちろん!」


 一言交わし解散し、持ち場につく。

 持ち場、と言ってもそんな大それたところではなく、ただ単純にお互いが元居た位置に戻るだけなんだけど。


「おいおい、どうしたんだい、元の場所に戻った所っっ!」


 ジェドが何かをはなそうとした瞬間、俺はさっき話していた作戦通り地面を踏み込んで全速力でジェドに向かって走り出す。しかし、今回は少し手法を変えて背中につけた火炎放射器をブースター代わりに飛行装置を強化する。

 ジェドと俺の体が触れ合う直前、一気に上昇、火力を底上げした飛行装置は加速装置とまではいかない物の作戦を行うには十分なほどの加速をさせ、上空まで俺を運ぶ。


 作戦で決めたある程度の高さまで行くと、その場に留まることなく火炎放射機を方向転換、一気に下へと落下する。


「うりぁぁあっと!」


 その姿を目にしたジェドは吐き捨てるように、馬鹿にしながらまたも挑発してくる。


「見た感じだと作戦会議をしたようだけど。やってることは猪突猛進、何にも変らないじゃないか! もしかして作戦会議をするふりをするっていう作戦? そんなのことをしていったい何の意味があるんだい? これだから若いこの考えることは理解できないねぇ。理解するつもりなんてないけれども」


 ジェドは手を振るって何かを詠唱したのか、落下点に一つ、俺とジェドとの間の空間を仕切るように巨大なワームホールを召喚する。


「他の攻撃方法ないのかよぉお!!」


 ワームホールを作ること自体はエゼルが予想してた、でもこの大きさは規格外、想定外の大きさだ。

 よく考えてみたらどこにでもワームホールを作れるんだからどこにいたって関係ないっちゃあ関係ないけど、さっきと今では状況が少し違う。

 

 さっきまではワームホールに入るとしたら俺の腕だけ、だったけどこのまま飲み込まれたら俺の体全部が飲み込まれてしまう。

 ワームホールの中に入るだなんて考えるだけでもぞっとする。


「でも、俺は囮だよ!」


 落ちながらも叫んでエゼルに合図する。


「なっ!」


 エゼルが提案した作戦は簡単に言うと、俺がさっきと同じことしてる感を出しながら近づいておきながら、実はその後ろで魔法をためているエゼルが本当の攻撃をする、という何の捻りもない、いたって普通の囮作戦だ。


 相手が、多分なんとなくすごく頭の良さそうないろいろ考えてそうなジェドだからこそできた作戦、俺を(というかエゼルを)侮っていたジェドの考え方のお陰で成功した作戦。


 頭のいいジェドだ、多分あんまなにもしてないけど序盤からそんな何にもない作戦なんだろうとは気づいていたんだろう、でもそれが盲点(ってエゼルが言ってた)。


 なぜ俺が加速装置をつかわなかったのか。

 なぜ遥か上空まで飛んだのか。


 その答えはただ一つ。


 エゼルに加速装置を使わせて、短時間で強力な遠距離魔法を撃たせるためだぁぁあ!


 「放て、暗闇を反転させる稲妻クリティカルストライク!」

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