二人の王妃候補
ヒューソニア王国
この国の国立学園には二人の王妃候補がいる。
一人は西方の国境沿いを領地とする公爵家令嬢。
フィリス・モールディング
金色のサラサラと流れるストレートの髪はシャンデリアの光を反射して天使の輪を作っている。
瞳の色に合わせたのであろう水色のマーメイドタイプのドレスは、スレンダーで背の高い彼女にとても良く似合っている。
首元を飾るネックレスの宝石に負けない、蒼い瞳。切れ長のその瞳で見つめられれば、男女問わずうっとりと見惚れてしまう。
まさに絶世の美女。
その上、隣国との国境沿いを領地とする家柄の為か、武術の腕前もとても、とても、素晴らしい。
剣では無く、槍を得意とされている。
学園内の学生の中ではトップの腕前で、既に高学年に混ざり魔物討伐に参加されたり、騎士団や近衛兵団との訓練にも参加されている。
もちろん、座学やダンス、マナーに至るまで完璧。
完璧無比の最強美令嬢だ。
そんな、超絶美女と並び立つ、もう一人の王妃候補。
東にある魔王が統べる魔の山森林を隣とする領地、もう一つの公爵家の令嬢。
リオノーラ・ドラモンド
濃い紺の緩くウェーブのかかった髪。同じ色のタレ気味の瞳。
フィリス嬢よりも頭一つ半低い背丈。
濃い紫のAラインドレス。
それが、今の私ーーーー
ぶっちゃけ、横に並びたくないよ…………
外見の差が有りすぎて………もう、泣きそう。