貴女を知る5
「ねぇ、そのおめめ、何か怒ってる感じがするのはどうして?私、何かいけないことをした?」
―いや、ちょっと嫉妬しただけだから。俺の触手が君に触れているのを。
ユイは、年齢のわりに人の奥底の感情を読み取るのが、異常に正確だ。ズバリと言われて焦ったぐらいだ。
「ねぇ。どうして、焼きもちを焼くの私に?」
―それは、ユイのことを好きだからに決まっているからじゃないか。
そして、自分に対して興味を持っないのか、はたまた、自己評価が低いのか、自分のことをよく言われてもよく分からないみたいで、純粋に誉めると、
「えへへ.....そんな風に言われたことが無かったから。それに好きな人に好きと言われて何だか嬉しいな。」
うつむきながらも顔を赤く染める貴女は、ものすごく可愛い。そして俺の中で永遠にいて欲しい。
「?ねぇ、怪物さん。おめめから手が出てきてるけど、これは、何?」
―大丈夫、君に危害を加えるものではない、君をこの目のなかに入れたくて出てきたものだ。
「おめめから手が出て来るなんて変だね。ふふっ。そのおめめのなかって、私は、溺れちゃうんじゃない?」
―確かに中は液体だが、君が溺れるわけがない。そもそも、俺がそんなことさせない。
俺のことに関して、何でもOKな貴女。普通なら、怖さを感じてもおかしくない筈なのに。あなたがしたのは、事実確認。俺は、貴女があっさり受け入れる理由を知りたい。
そんなことを思っているうちに、手は、貴女を包む。暗くなる視界も彼女は、寧ろ背中を預け、目を閉じる。
手は、どんどん短くなっていき、そして目に波紋が広がる。その波紋が、なくなると同時に、目は閉じていく、貴女を永遠に閉じ込める檻の扉のように