貴女を知る4
「ねぇ。それはいいんだけど、どうやって貴方の顔にたどり着けばいいの?」
―?普通に登ってくればいいんじゃないのか?
「それは嫌なの!!」
そう言うと、ユイは激しく泣き出した。正直俺はパニックでどうすればいいのか分からなかった。そうすると、足元が急に冷えだした。ふと前を見るとお母さんが、こわい笑みで、こちらを見ていた。
「ねぇ。何であの子が泣いているのか分かる?」
―わ、分かりません。
自然と敬語になる。すると益々冷えが酷くなった。
「はぁ、この鈍さは、あなた譲りなのかもねぇ.....」
いつのまにか、お父さんにも飛び火したらしい。
「俺はここまで酷くなかったぞ。」
「似たようなものよ。」
ものを言わせない雰囲気にお父さんは黙ってしまった。そして俺の頭を垂直に殴った。だからどうして、その姿に馬鹿力があるんだ。それにこれは絶対八つ当たりだ。
「あのなぁ。普通、好きな人の顔を踏み台にして登るとか恥ずかしいじゃないか。そこら辺考えたら、この子は泣かなかっただろうに。」
言われて初めて気がつく。俺は彼女に酷いことをさせようとしていたことに。
―ゴメン、ユイ。これならいいかな。
俺は、慌てて触手を彼女に巻き付け。真ん中の目の前に置いた。
「うん。ありがと。ごめんなさいこんな我が儘を言って。」
―いや、ユイの気持ちを考えずに言った、俺の方が悪い。
会話を終えると、真ん中の目が疼く。そして、触手に嫉妬を感じる。自分で自分を嫉妬するとはな。そしてこの感情をユイにぶつけようとする俺がいる。でも、ユイを傷つけることは絶対しない。ユイが俺を受け入れてくれる限り。