貴女を知る3
「美味しそうですか?私は貴方にとって。」
俺が、一番不安にしていることを聞いてくるあたり、恐ろしく勘が鋭い。でも、嘘は言ってはダメだ。真剣に聞く彼女を馬鹿にする行為だ。
―ああ、俺は貴女が美味しそうで堪らない。
そう言うと彼女は、嬉しそうに微笑んだ。
「よかった。私は、貴方になら食べられてもいいと思っているの。」
その答えは、俺にとって衝撃的だった。
―こ、怖くないのか?
「うん。寧ろ、貴方が食べたいくらい私を愛してるんだなって。思っちゃうもん。」
でも、やっぱりこの感情は、自分の中で否定したい。
「怖がらないで。」
そう言って、貴女は鋭くなった牙に触れる。何かを優しく諭すような感じで、
「私は自分を否定している貴方を見たくない。それは、自分も見ている回りも辛いから。だから受け入れてあげて。私が好きな貴方、私を食べたい貴方。他のいろんな貴方を私が受け入れてあげる。だから、自分を受け入れてあげて。」
自分の中で何かがカチリと合わさる音がした。それと同時に、激しい飢えは、消えコントロールできるほどだ。この飢えも、貴女を愛してるからか。そうすると、もっと要求が付け上がる。貴女と交わりたい。でも、まだ貴女も俺も、からだが成熟していない。あと七、八年か楽しみで仕方ない。
そうなると、次は、貴女を知りたい。だから。
―ユイ。真ん中の目に触れてくれないか。
この目は、取り込んだ者の情報を知ることができる。私は、知りたい。貴女がなぜ、ぼろぼろだったのか?貴女は何故俺を好きになったのか。