貴方を知る2
お父さんがかけた魔法は至ってシンプルなものだ。
本音を話す。
ただ、それだけだ。それは、ユイが俺に対してどのような気持ちを持っているのか?不安で仕方ない。
ユイが目覚め、俺をみた。ユイは嬉しそうに俺を見て
「怪物さん。」
8才らしくとてとてと走ってくる。
後ろで、
「怪物さんが、ブラッドの呼びなだなんて。こんなかわいらしい呼び方は初めてだ。」
ウフフと笑うお母さんがいた。
―それでもユイが考えてくれた名前だ。
「大丈夫。この子のことをばかにした訳じゃないわ。寧ろ、いい子だわこの子。私が保障するわ。いいお嫁さんを見つけたね。ブラッドの不安も軽く払拭してくれるわ。」
「怪物さん?」
―どうした?
気づけば、目の前に彼女がいた。
「牙、触ってもいい?」
―いいよ。
彼女が触れた牙は嬉しさのあまり、鋭利にでも触るところは、貴女を傷つけないようになっていた。我ながら器用だ。
―ねぇ。俺の舌にキスしてくれないか?
そう言って、舌を出すと、何の躊躇いもなくキスをしてくれた。唇だけの幼いキスだった。それでも、そこには彼女が精一杯込められた。それだけでも、凄く嬉しい。舌で彼女を巻き付ける。俺の味覚は、彼女が至高の物だといっている。あぁ......
「美味しそうですか?私は貴方にとって。」
突然彼女が読んだ思考に俺は、一瞬固まってしまった。その言葉を放った彼女は、真顔で、俺を見ていた。そこに負の感情はなく、俺がどう思っているか?それだけだった。