誓い
―結婚するにあたって、一つ重要なことをしなくちゃいけないんだ。
「何?」
―君の背中に模様を描くんだ。
「それって刺青みたいなもの?」
―まぁ、そんな感じに捉えてくれればいいよ。
「やっぱ、痛いよね。」
―そ、そうだよねやっぱり.......
「ち、違うの。嫌なんじゃないの。ただ.......」
―だだ?
「こう、何て言うか、見守って欲しいし、手とか足を抱きしめさせてくれたらなぁ....とか。」
―......
黙ってしまった。それに何だか顔が赤く染まっているような感じだ。何か変なこと言ったかな?
「怪物さーん?」
―....っは。ご、ゴメン。そ、そうだよね。君をずっと守るって言ったもんね。見守るも、守るに入るだろ?
その言葉に私は、大きくうなずいた。
―でも、この手足は、君には大きさが合わないな.....そうだ!これでどうかな?
そう言って、怪物さんは、触手?の様なものを用意してくれた。大きさも抱きしめやすいサイズだ。
―準備は、いいかい?
私が触手を抱きしめてると、確認するように聞いた。
頷くと、怪物さんは、口から黒い煙を出した。それが、背中を覆う。それと同時に激痛も走る。けれど、それ以上に怪物さんの優しい気持ちが触手を通じて溢れてくるようでそれが痛みを和らげてくれる。
―大丈夫。
僕がそばにいる。
もう少しで終わる。
怪物さんが優しく声をかけてくれる。それを聞いただけでも、痛みなんか感じない。
―遂に、遂に完成したぞ。ユイよく頑張ってくれたな。
労いの言葉、聞いたのは、いつ以来だろうか?
「ありがと。」
お礼を返さずにはいられなかった。でも、色々あって疲れたのかな。何だか眠いや。
「もっといっぱい話したいのに、眠いや。」
―ユイ。眠ればいい。
怪物さんがそう言うと、黒いオーラが私を包む、それは、とても気持ちがよかった。意識が落ちる前に覚えているのは、私と同じくらいの大きさの子供が私を横抱きにしている暖かい感覚だった。