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テンクスト① キャンディ
王を選定しろと言われ、私は不本意ながら王にふさわしそうなテンクストの元を訪れる。
―――ああいうプライドの高い男をへこへこさせたい。そんなお茶目な感情から選んだのだった。
「テンクスト王子、いらっしゃいますか?」「ええ、鍵はあいていますから入りなさい」
ドアをノックすると間髪いれずに返事がきた。
「私こそ王に相応しい。わかっているようで何よりです」
絶対自分が王に選ばれると自信たっぷりに、鍵まであらかじめあけておいていたと見える。
なんというか――――うい〈かわいい〉やつだわ。