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ばれた?

 奥崎の電話から五分後、湧哉は目的の場所まで来ていた。階段も駆け上がってきたので時間はかからなかった。

 上がった階段の正面、視聴覚室まで近づくが明かりは点いていなかった。基本的に特別教室には鍵が掛かっているのでこれが普通である。

(十分後って言ってたしまだ早かったか?)

 吹き抜けの中央広場を見下ろしても目に入るのはわずかに残った下校する生徒で奥崎の姿は見られなかった。

 まだ少し時間があるが何が目的で呼び出されたのかわからないのでは準備のしようもない。このまま待っているしかなさそうだ。

 この時間になると吹き抜けの天井からは日が入ってこない。日が当たらない校舎内は照明の明かりだけで照らされている。それでも暗さを感じないのは多くの照明が設置されているからだ。夜になれば人はいなくなるというのにここまで付ける必要もなかったのでないだろうか? 

 そうしてしばらく校舎内を眺めていた湧哉だったがすぐ横の階段を誰かが駆け上がってくるのに気が付いた。始めは奥崎かと思った湧哉だったが制服姿だったのですぐに違うとわかった。

「古野濱先輩?」

「畑原君!? どうしたのこんな時間にこんなところで」

「えーっと……」

「あ! 話してる場合じゃないんだった! 畑原君、ちょっとこっちこっち」

「え、ちょ、ちょっと!?」

 返答に困った湧哉だったが強引に視聴覚室の前から階段の踊り場まで引っ張られた。

「な、なんなんですかいったい!?」

「しーっ、少し静かにしてて!」

 古野濱は人差し指を口に当てて静かにするように諭す。それを見て湧哉は声を潜めた。

 チンッとエレベーターの到着音がした。

 湧哉たちのいるところからでは誰が降りてきたのかは見えなかった。

 状況を説明してもらいたい湧哉は古野濱の顔を見るが、彼女は真剣な顔で階段上を見つめていて気が付かない。

 仕方がないので湧哉もおとなしく待つことにした。

 エレベーターから降りてきたのは足音からして二人のようだ。二人に会話はなく、どのような関係なのかはわからなかった。

 だんだんと近づいてくる足音はどうやら湧哉たちのいる方、つまりは視聴覚室に向かっているようだ。

 二人が視聴覚室の前にたどり着くと階段からでも頭が見えた。

(あのハゲ頭って教頭か? それに一緒にいるのって奥崎先生じゃ……)

 視聴覚室前にいるのは紛れもなく奥崎と教頭だった。

 湧哉にとってはこの二人が一緒にいることは考えられなかった。夜中に湧哉を使ってパソコンまで調べさせたというのに。業務のために仕方なく一緒にいるのかもしれないが視聴覚室に来る理由は何なのであろうか? しかも湧哉を呼び出している。これは―――

(俺がカメラを持ち出したことがばれたんじゃ……)

 それならば湧哉がここに呼ばれた理由もわかる。カメラのことが教頭にばれた奥崎が、持ち出した本人である湧哉を呼び出した。焦っていたように感じたのは教頭にカメラのことが知られてしまったからで、通話が短かったのは理由を問われないようにするためか。それならば話が通る。

 だとすればこのまま視聴覚室に行けば自分が犯人ですと自首しに行くようなものだ。カメラを持ち出したことは確かだが、わざわざ自分から犯行を告白する気にはならなかった。もし、奥崎が庇ってくれるのだとしたらここに自分を呼び出したりはしないだろう。そう考えると教頭と奥崎に続いて視聴覚室に入る気にはなれない湧哉だった。

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