噂の・・・・・・
ついに役目を聞かされた湧哉だったが、とりあえずは課題を終わらせようということになった。
自習室も設けられてはいたが会話をしながらできる方がいいという意見になり二人は放課後の教室に残っていた。
「二人だけじゃ時間たらなくないか? 仮に毎年二百五十人が卒業してるとして、それが四十年間だろ。ってことは―――」
「ざっと一万人だね。今書いてるところ、当てはめる公式違うよ」
「え、これじゃないの? 二人でやったら一人の担当が五千人だぞ」
「それじゃないよ。今からやっても一日平均七百人と連絡とらないといけないから確かに厳しいね」
厳しいとは言いつつ悠の口調は軽かった。まるで全く問題ないと言った風だ。
「それにハタハタの課題もあるからそっちにかかりっぱなしってわけにもいかないだろうしもっと増えるだろうね」
「他に誰か手伝ってくれそうなやついないのか?」
「う~ん、文化祭だしみんな各々やりたいことがあると思うんだよね。中には準備とか興味ない人もいるだろうけどそんな人が手伝ってくれるとも思えないし」
それならば俺はどうなんだと思う湧哉だったが口には出さない。課題を手伝うという条件がなかったら湧哉もやるとは言わなかっただろうし、内容を聞いた後からでも断ったかもしれない。すでに手伝ってもらっていた手前そこに突っ込みを入れることはなかった。
「門白は? 昔から仲いいんだろ?」
「結はダメだと思うよ。昔から仲いいのは間違いないけどだからって無条件で手伝ってくれるってわけじゃないし。それに今年の文化祭でも何かやるんじゃないかな」
「そういえばクラス企画とは別でなんかやってたな」
「去年は部活で屋台出してたね。ソフト部は毎年出してるから今年も同じだよ」
「それじゃあ門白は無理か……」
「私の何が無理だって?」
「おう!?」
背後からの声に湧哉は飛び上がった。全く気配を感じなかった。
「お前部活行ってたんじゃ……」
「忘れ物したの! それで何の話?」
「今年の文化祭も結は忙しいんだろうなって話してたんだよ」
「ああ、確かにね~。部活の練習もあるし今年も屋台出すからね」
「俺達のことちょっと手伝ってくれたりとか……」
「無理」
「はあ、だよなぁ……」
先ほど話していた通り、結は忙しいようだ。昼は授業、夕方に部活、さらにそのあと文化祭の準備をするともなれば他のことにかかわっている余裕はないだろう。
「二人は何してんの?」
「ふふ~ん、それは秘密だよ」
「あっそ。文化祭になればわかるんだからいいけどさ」
結はあっさりと引き下がった。付き合いが長いだけあって悠がしゃべらないことはわかっているんだろう。そこまで興味がなかったというのもあるだろうが。
「人手が足りないなら、あそこに頼んでみたら?」
「あそこってどこだよ」
「あれ? ハタハタ知らないの。この学校の何でも屋」
「何でも屋? それってパシ―――」
「ちっがーう!!」
「い、いってー!」
湧哉の頭に結のげんこつが飛んだ。どうやら相当強くやられたようだ。湧哉は手で頭を抱えて机に突っ伏している。
それを完全に無視して結は続ける。
「頼みごとをすればなんでも引き受けてくれるっていう謎の部活。あそこなら手伝ってくれるんじゃないの?」
「その部活って噂でしょ? 実際に引き受けてもらえた人っているの?」
「さあね~。まあ困ったら猫の手も借りたいって言うし、もし大変だったら頼んでみれば? それじゃ、私部活行くから」
「うん、じゃあね」
悠はひらひらと手を振って結を見送った。
「結もめちゃくちゃなこと言うなあ。そんなのが本当に実在してるなら噂になんかなったりしないのにさ。ね、ハタハタ?」
悠の問いかけに湧哉は頭を抱えたまま無反応だった。




