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臨時集会

 日も傾いてきたころ教室に放送が流れた。

『これより体育館にて緊急の臨時集会を行います。各自、体育館へ集まってください。繰り返します―――』

 放送の内容に教室内はざわめいたが理由のわかっている湧哉にはいよいよ来たかという感じだった。

「私みんなを連れて行かないと。二人も急いでね」

 澤は率先して皆を誘導しに行った。

「みんな! 一回手を止めて体育館に行きましょう。緊急みたいだから急いで」

 澤の誘導によりクラスメイト達は徐々に教室から出て行った。湧哉と悠も同じく教室を出た。

 澤の対応が早かったおかげか、湧哉のクラスは早いうちに体育館に到着した。

 入口からはぞろぞろと人が入ってきているが、入り口前で流れが詰まっているのが見える。

「こんな時間にいきなり集会なんてなんだろうね。思いのほか先生たちも暗い表情な気がするし」

 体育館内にいる教員たちの顔は様々で眉間にしわを寄せていたり、眉が八の字になっていたりだった。そこから伝わってくる重苦しい雰囲気には悠だけでなく他にも気づいている者がいるようで集まっている人数にしては体育館内は静かだった。

 集会の内容は十中八九教頭の件だろう。湧哉が職員室を離れてから3,4時間が経っているがこの数時間で他に緊急に集会を行うような出来事はなかったはずだ。

 教頭の件を隠すとなれば阿良田は何かしら行動を起こすと言っていたが、すべての教員が教頭の盗撮を知っているだろう中で、それを隠そうとすれば反対する者が出るはずだ。生徒相手とはいえ今日中に発表するということはおそらく公にするつもりなんだろう。この集会はその前準備といったところか。

「せっかく部活の方が一段落したと思ったのにこれは何の騒ぎなのよ……」

「僕たちもよくわからないんだ。そっちは一段落なんだね」

「う~んまあね。いろいろあったけど何とかまとめた。これで一安心かな」

 招集に従って今日は姿の見えなかった結が現れた。また少し疲れた顔をしているが昨日よりはいい表情をしている。

「いやーほんとよかったよ。たまにはズバッと言ってみるもんだわ~」

 どうやらこちらのユウは場の空気に気付いていないらしい。それとも一段落したことへの安堵感で気分が高揚しているんだろうか。

「それにしても連絡もなし集会なんて初めてだよねー。学校が廃校しますーとかだったりして」

「ははは。さすがにそれはないでしょ」

(あながちないとも……言えない……)

「あれ? ハタハタどしたの? 変な顔して」

「いんやぁ、なんでもないぞ!」

「そ、そう? ならいいんけど」

 廃校に直結はしないだろうがこれが原因で、というのは十分に考えられた。

「そういえば、さっきハタハタが学校中走り回ってたんだよ」

「えぇ? なにそれ? 新手の罰ゲーム?」

「なんか教頭先生に追いかけられてたんだよね。詳しいことは僕も聞いてないんだけど」

「なになに面白そうじゃーん。詳しく聞かせてよー」

「あんまり話して楽しい事じゃないないんだよ……」

「なんだよう、けちんぼ―」

「それにほら、そろそろ始まるんじゃないか」

 生徒の列は未だに体育館の外へ続いていたが、舞台の上で教員がマイクの準備をし始めていた。そろそろ始まるようだ。この結果は自分が招いたことでもある。湧哉は1人は気を引き締めると部隊の上へ意識を集中させた。

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