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黒鬼戦記  作者: キーロフ
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第一章 第一話





 壁に設えられた炉では、火花が一瞬の輝きを放っては闇に同化していた。

 すでに陽はとっぷりと暮れ、あたりを無音の闇が覆い尽くしていた。

 寝台から上半身を起こしてミヨの話を聞いていたフランソワは、ミヨが語り終えた後も、まばたきすらせずに窓の外に広がる闇を眺めていた。

 沈黙の帳がフランソワの寝室を覆い、炉の火の粉のみが静寂に自己の存在を主張するかのように産声を上げては消えていった。

「お父様、いかがお考えでしょうか?」

 沈黙に耐えかねたかのように、クラリスが口を開いた。

 フランソワのいかなる表情も見逃すまいとするかのように、目はしかとフランソワに注がれている。

 フランソワはクラリスの問い掛けに答えず、むっつりと押し黙ったままであった。

 焦れたクラリスが再度、かん高い声で「お父様」と呼びかけたとき、フランソワはクラリスのほうを向き直り、蒼い瞳でクラリスを見据えた。

 フランソワの鋭い視線にさらされて、クラリスは勢いを削がれたように押し黙った。

「クラリス。お前はそこのミヨとかいう部下の言うことが正しいと思うのだな?」

 しわがれてはいても威厳のある声にクラリスはひるみ、それからフランソワに気圧されまいとするかのように語気を強めた。

「はい。強欲なオルセー伯の横暴に対するには、これが至善だと思います。セーヌ公のお力添えをまとうにも、いつになるか分かりません。公は皇国崩壊の危機を食い止めるのに死力を尽くしておいでのことでしょう。そのような折ですから、私たちの問題にまで目配りくださるとは到底思えません。ここは、自力救済以外に道はないと考えます」

「ならばよい。お前のやりたいようにやるがいい。私はすでに戦場に立てぬ身。お前が私の代わりに甲冑を身に纏い、戦地に赴くというのならば、私が口を出すことはない。お前にはリュシアンをつけてやる。あれは我が騎士として幾多の戦場をともに戦った歴戦の勇士だ。剣の腕は鈍っておろうが、戦を見る目は確かだ。ヴェルヌイユの次を担うものとして、祖先の名を辱めぬよう精進いたせ」

 そう言うと、フランソワは軽く咳き込んだ。

「お父様、お加減がすぐれないのですか?」

「大事ない。そんなことを心配するくらいなら、お前は自分の戦のことを考えよ」

「……はい」

 クラリスは唇を噛み締めた。

 炉で舞う炎が、クラリスの横顔を照らし、床や壁に黒い影を投げかけていた。

「もう行け。明日の朝一番でジャン=ジャックにセーヌ公への密書を持たせる。ひとつきもあれば、公からの返書がとどくだろう。それまでに、戦の準備を済ませておくのだ」

 フランソワは話は終わりとばかりに、目を再び窓の外に転じた。

「はい」

 クラリスはフランソワに一礼すると、二人を連れてフランソワの寝室を出た。

 廊下の冷たい空気が、クラリスの火照った顔を冷ます。

「心配だわ……。お父様のお加減が大分悪くなっている気がするの」

 クラリスは廊下を歩きながら、ポツリと呟いた。

「あたしたちが素早くオルセー市を落とせたら、お父様の心労も多少は軽くなるかもしれないよ」

「ええ……そうね。……やらなくては」

 クラリスは物思いを断ち切るように顔を上げた。

「さしあたり、この一月の間に農民たちに武器の使い方くらいは教えておかないと。それに、オルセーの城の構造を一度じっくりと見ておきたいし」

「見ておきたいといっても、難しいわ。この時期にヴェルヌイユの者がオルセーに出向いたら、それだけで警戒されて捕まるわ。そろそろ行商人の出入りもなくなるから、人の流れに紛れてオルセーに入るというのも無理よ」

「オルセー市を通るときに三人一緒に歩いているところを住民に見られている。私たちの面も割れていると考えておいたほうがいいぞ」

 シャルルは口を挟んだ。

「うーん。まあ、市内の様子はあのときある程度見てあるから、今回は外から城壁をしっかりと見ておけばいいかな……。クラリス、あたしとシャルルでオルセーを見てくるから、その間に農民たちの徴募はお願いね。どうせ、あたしたちがいないほうが農民たちも城に来やすいだろうし」

「分かったわ」

 三人はクラリスの寝室の前で別れ、それぞれの寝床にもぐりこんだ。


 明けて翌日。

 フランソワの親書を持ったジャン=ジャックは日の出とともに出立した。

 それに続いてシャルルとミヨも、農民の格好で帽子を目深にかぶって峠を下っていった。

 クラリスは城代のリュシアンとともに健康で体力のある農民を選抜し、城の武器庫にある武具を配って、訓練をはじめた。

「いくら腕っ節が強くても、まるでなっちゃいませんわ」

 リュシアンは村民たちの槍捌きを見てうなり声をあげた。

 一ヶ月訓練したところで大して意味はないだろうというのが、彼の懸念のようだった。

「とりあえず、それらしくなればいいわ」

 ミヨからオルセー攻めの概要を聞かされていたクラリスは、リュシアンほど村民たちの無様な様子に落胆しなかった。

 とりあえず軍勢に見えればなんとかなるというのが、ミヨの判断だった。

 雪雲が尾根を伝って村に雪を運び、峠が白い斜面に変貌するころ、偵察に出かけたミヨとシャルルがもどった。

 彼らに遅れること十日あまり後、セーヌ公の親書を携えたジャン=ジャックが帰還した。


「うーん、肝心なことが書いてないないなあ」

 セーヌ公の親書の内容を知ると、ミヨは顔をしかめた。

「皇家の恩を忘れ王国に尻尾を振りしオルセー伯を討伐するは、カスティヨン皇の騎士たる汝らヴェルヌイユの務め。されど、我らは卑しき北の餓狼より栄えある皇都を奪還するという神聖なる責務を有している。オルセー伯を直ちに討ち果たし、一刻も早く我が元へ駆け参じよ、かあ。これだと、オルセー伯を討ち果たした後に、彼の領土をどうするかという部分がすっぽり抜け落ちているんだよね」

「問題はそこね」

 クラリスも相槌をうった。

「だが、オルセー伯はいずれこちらを攻めてくるだろう。こっちとしては、公の約束がなくてもオルセー伯を打ち破るしか道はない」

 シャルルの言葉に、二人は頷いた。

「シャルルの言うとおりだね。とりあえず、勝つしかないか……」

「ええ……。攻めるのはいつにするの? リュシアンが言うには、村民たちもとりあえずの動きはできるようになったそうよ」

「もたもたしていると、雪で峠道が通れなくなっちゃうし、セーヌ公も怒るだろうしね。最後の準備に二日、出立は三日後ってことでどう? ずっと月の満ち欠けを見てきたけど、たぶんそのあたりが新月になる」

 ミヨは考え込んだ後に、クラリスとシャルルに問い掛けた。

「わかったわ。リュシアンに準備させるわね」

「こちらも問題ない」

「じゃ、決まりだ」







 オルセー市は、皇国東部に位置する人口千五百人程度の地方都市だ。

 市壁の東にはローヌ山脈の高い山々が聳え立ち、西にはフォール川がゆったりと流れている。

 ヴェルヌイユ領を早朝に出立したクラリス一行は、暁暗の闇にまぎれてオルセー市壁近くにたどり着いた。

 シャルル、クラリス、ミヨの三人に老従士ジャン=ジャックを加えた四人が一行の先頭を進み、かなり距離をあけてリュシアンが率いる農民兵百が続いた。

 農民たちがシャルルやミヨとともに歩くことを頑なに拒否したため、クラリスはやむをえず隊を二つに分けたのであった。

「じゃあ、農民兵には近くに隠れているように伝えて。あたしたちが壁から合図したら、縄ばしごを登ってきて」

 ミヨが白い息を吐きながら、ジャン=ジャックに告げた。

「お嬢様がお命じにならないかぎり、従う気はない」

 ジャン=ジャックが黄色い歯を剥き出しにしてミヨの言葉を遮った。

「お願い、ジャン=ジャック」

 チェインメイルを身に纏ったクラリスは懇願した。

 効果は絶大だった。

「分かりやした」

 ジャン=ジャックは、ミヨとシャルルを一睨みしたのち、後続の農民兵のほうに駆けていった。

 道は白い雪に覆われていて、ジャン=ジャックの足音を消した。

 風が吹き荒ぶたびに軽々と舞い踊る、さらさらとした粉雪だ。

「じゃあ、行こうか」

 ミヨが抑えた声で二人に告げた。

「ええ」

「わかった」

 シャルルの背中で、背負い袋の道具がシャルルの動きに合わせてこすれる。

 布が音を吸収してくれるせいで、音はほとんどしない。

 三人は、フォール川に面した伯の城館の直下まで足を忍ばせて歩いた。

 オルセー伯の居城は二重の城壁で囲まれている。

 第一に、オルセー市全体をぐるりと囲む市壁。

 城壁の内側には、アリュールと呼ばれる木造通路が造られ、その上を歩哨が警備している。

 市壁の内側には市街が広がっている。

 そして、市街地の奥の高台に伯の城館が聳え立ち、町を睥睨している。

 市壁を突破できた者の前には、城館をまもる石壁が立ちふさがるのだ。

 だが、この二重の防壁にも穴がないわけではなかった。

「この崖を登れば、一気に城館に入れるはずだよ。シャルルと一緒に試してみたけど、弩で鉤付ロープを放てば侵入できないこともない」

「こんな絶壁、本当に上れるの? たしかに警戒は厳しくはなさそうだけど……」

「夜、ロープで図ってみた、だいたい百メートル。歩数にして三百三十歩ってとこだね」

「三百三十歩ですって……。そんな絶壁、いくらシャルルでも無理よ!」

 クラリスはひそひそ声で器用に悲鳴を上げた。

「クラリスはこう言っているけど、シャルルはどう思う?」

 ミヨがシャルルのほうを向いた」

 シャルルは背負い袋から大きな弩を取り出し、ロープ付の鉤矢をセットしながら、ミヨのほうを振り向いた。

「ロープを切られない限りは問題ないと思う」

 クラリスは絶句しながら、シャルルを見、それから絶壁を見上げ、信じられないというふうに首を振った。

「クラリス、どっちみちここが突破できないかぎり、オルセーは落とせないよ」

 ここに来て逡巡しているクラリスに、ミヨが告げた。

 シャルルは二人を黙って見つめた。

 すでに準備は整っていた。

 腰には二丁の手斧を下げ、背中にはクラリスたちのための縄ばしごをくくりつけている。手には鉤矢をセットした弩。

 クラリスが命じさえすれば、いつでもいける。

「でも……もし失敗したらシャルルが……。こんなに高いのよ」

 クラリスが蚊のなくような声でつぶやく。

 ――心配してくれているのか。

 クラリスの呟きを耳にして、シャルルは身震いを覚えた。

 何故かはシャルルにも分からない。

 他人から心配されたのはこれがはじめてで、少し狼狽しただけだろうと思う。

 だが、それにしても、この感情はなんだろう。

 驚きだろうか。

 ぐずぐずしているクラリスに対する焦れだろうか。

 言葉がシャルルの口をついてでた。

「心配するな、クラリス。私は絶対に死にはしない。必ず生きて城館に潜入してみせる」

 黒い籠手をした左手を、かるくクラリスの肩にのせた。

 その肩の重みにハッとしたように、クラリスがシャルルを見上げた。

 闇夜にあってもなお輝く蒼い瞳がシャルルの双眸を見つめる。

 その瞳がかすかに潤んでいるように見えるのは、シャルルの気のせいだろうか。

「シャルル、死なないでね……」

 何かに怯えるような、か細い声。

「こんなところで死ぬ気はさらさらない。しばらくは一緒に学を深めると三人で語り合ったばかりだろう」

「そうね」

 コクンとクラリスが頷いた。

「そろそろ見張りが巡回に来るよ。あれが行ったら決行しよう」

 ミヨが二人にささやいた。

「ああ」

 シャルルは口元を厚い布でおおい、崖のそばに身を潜めた。

 真下から見上げると、切り立った崖の上に聳え立つ城壁が天上にまで延びているような錯覚を覚える。

 どれくらいそうしていただろうか、シャルル達の左手にある側塔の扉が軋む音が、頭上より響いた。

 カツン、カツンという足音が反響する。

 歩哨が通り過ぎるのを待つ。

 やがて足音が遠ざかり、はるか右のほうで扉が開閉する音が聞こえた。

「シャルル、行って」

 ミヨが鋭く告げた。

「分かった」

 シャルルは弩を構えて狙いを定め。

 引き金を引いた。

 鉤矢が放たれ、ロープが勢いよく駆け抜ける。

 狙い違わず鉤矢の先端が城壁を越えたのを見ると、シャルルはロープをつかみ、たぐり寄せた。

 勢いを失って城壁に落ちた鉤矢がずるずると城壁の内側を引っ掻き、石壁のてっぺんの角に嵌まる。

 シャルルは何度かロープを強く引っ張る。

 ロープは弓の弦のように張り詰め、鉤矢がしっかりと城壁に固定されていることをシャルルに知らせた。

 ――これならいける。

 シャルルはじっと見守る二人に軽く頷き、ロープに体重を預けながら、絶壁をよじ登り始めた。

 上半身の力でロープをたぐり寄せ、少しずつ登る。

 鎧が崖にあたり、石と金属が擦れ合うかん高い音が闇夜に響き渡る。

 だが、シャルルはペースを緩めずにてっぺんを目指す。

 やっと中腹。崖が終わり、これからは人工の壁面が続く。

 長年の風雨に浸食されたのか、壁面にはところどこに欠けた部分がある。

 そこを足がかりにしながら、なおもロープをたぐり寄せる。


 シャルルがやっとの思いで壁の最上部に手を伸ばしたとき。

 ギギッという音を立てて、右側の側塔の扉が開いた。

 ――まずい。

 シャルルはそのままの姿勢で硬直した。

 木造のアリュールが軋む音が聞こえる。

 さきほどの歩哨が折り返してきたのだ。

 ――見つかるか。

 シャルルは周囲の状況を見回した。

 鉤矢とシャルルの手が歩哨の視界に入るのは間違いない。

 歩哨が十分に注意深ければ、闇夜とは言え発見されるだろう。

 シャルルの逡巡は一瞬で終わった。

 ――発見されてからでは遅い。殺すしかない。

 左手一本で壁にぶら下がったまま、右手で腰にぶら下げた斧をつかむ。

 斧を石壁の上に置き、タイミングをはかる。

 あと数歩で歩哨がシャルルのところまで来る。

 そのタイミングで、シャルルは両腕にあらん限りの力をこめて、壁面を一気に登り切った。

 石壁にぶつかったプレートアーマーがかん高い鳴き声を上げる。

「何者だ」

 歩哨が驚いたような声をあげた。

 シャルルは答えない。

 鎧と合わせて大人二人分の体重を上半身で持ち上げ、壁を登り切るや斧を引っ掴む。

 松明をつきだした歩哨と視線が合う。

 大声を出そうと歩哨が息を吸い込んだ瞬間に、シャルルは歩哨に斧を投げつけた。

 斧は宙を飛び、狙い過たず歩哨の頭蓋骨を柘榴のごとくかち割る。

 間一髪。

 本当にぎりぎりの瞬間で、シャルルは絶壁を登り切った。

 歩哨の頭蓋骨の半ばにまで食い込んだ斧を引き抜く。

 ビクン、ビクンと全身を痙攣させる歩哨には見向きもせずに、シャルルは素早く背中から縄ばしごをはずし、下に投げ落とした。

 これで、クラリスたちが登ってこれる。

 シャルルはすぐさまアリュール(木造通路)を進み、歩哨が出てきたばかりの側塔に入った。

 とたんに、暖かい空気がシャルルを迎える。

 上のほうから話し声。

 側塔の監視所に詰める衛士たちのものだろう。

「ん? ジャックのやつ、もう戻ってきやがったのか?」

「さっきも、寒い寒いとさんざんこぼしてたからなあ。手ぇ抜いたんじゃないの?」

 陽気な笑い声が聞こえる。

 シャルルを仲間と勘違いしているのだ。

 ――好都合。

 シャルルは大股で螺旋階段をのぼり、木製の扉を蹴破った。

「なんだぁジャック。さぼってんじゃねえぞ」

 そう言ってイスに腰を下ろしたままこちらを向こうとする髭だらけの男。

 その顔が驚愕にゆがんだ瞬間に、シャルルは跳躍した。

 そのまま右手の斧で髭面の頭蓋骨を叩きつぶし。

「なんだてめえは!」

 慌ててテーブルに乗せていた剣を掴もうとするはげ頭に、左手の斧の一撃を食らわせる。

 イスがひっくり返り、物言わぬ死体に成り果てた男が二人、石の床にドサリと斃れた。

 ――ここは二人か。

 シャルルは室内を素早く見回し、壁面に掛けられた鍵の束を掴んだ。

 どれかが城館の扉を開けるものだろう。

 シャルルは踵を返し、次の側塔を制圧する。

 このような形での襲撃を想定していなかったのか、城兵たちはろくに抵抗もできぬまま、次々にシャルルの斧の餌食になった。

 城壁づたいに次々に側塔をつぶし、アリュール(木造通路)に取り付けられた階段を降りた。

 ヴェルヌイユ家の倍はありそうな中庭の中央には、百人はゆうに泊まれそうな主館。

 石造りの館は優美と言うにはほど遠く、無骨で威圧的だ。

 だからこそ、戦士の居城として相応しい。

 主館に隣り合うようにして城内礼拝堂の塔がそびえたつ。

 さらに、壁面に取り付くように小さな小屋がいくつか。

 おそらくは鍛冶場、厩舎、物置小屋などだろう。

 雪は城内にも降り積もり、足音を吸収してくれる。

 中庭を横切って主館に行こうとしたところで、シャルルは後ろに気配を感じた。

 斧を構えて振り向く。

 人影が二人ほど。

「あたしたちだよ、シャルル」

 ささやくようなミヨの声がシャルルの鼓膜を微かに震わせる。

 足音を殺しながらシャルルのところに二人が並んだ。

「リュシアンには松明で合図を送ったわ。もう来るはずよ」

 クラリスが言うが早いか、城壁に気配を感じた。

 アリュールを軋ませながら、次々に農民兵が城内に侵入してくる。

 シャルル達に近寄りたくないのか、彼らは城壁沿いの闇が一際濃いところに降りて固まった。

 話し声一つ聞こえない。

 即席の兵士としては立派なものだった。

「時間もない。いくぞ」

 シャルルは囁いた。

「わかったわ」

 クラリスの声は微かに上ずって震えていた。

 シャルルはできる限り音を立てないようにして、主館の扉に駆け寄った。

 空を仰ぎ見れば、光はまったくない。

 月がないせいで時刻がまるでわからない。

 籠手を外し、寒さでかじかんだ手で鍵束の鍵を一つ一つ確かめていく。

 十個目にして、アタリをひいた。

 ガチャリという音をたてて、鍵が回る。

 シャルルは右の籠手をはめ直すと、斧を構えて扉を慎重に押し開けた。

 ギギィという鈍い悲鳴を上げて、主館の分厚い木製の扉が開く。

 人気のない大広間がシャルルを出迎えた。

 壁にはところどころに松明が掛けられ、室内はほのかに明るい。

 百人どころではない。

 数百人はゆうに会食できるだけの広さがある。

「伯の寝室はどこだと思う?」

 シャルルはかすれた声でクラリスに問う。

「たいてい、主の寝室は最上階の最奥よ」

 クラリスの言葉に頷き、大広間の奥にある階段を上る。

 入り口を振り返れば、農民兵がおっかなびっくりとした表情でそろそろと入ってきていた。

 シャルルは音を立てずに、可能な限り早足で廊下を上っていった。

 二階、三階、四階。

 五階が最上階のようだった。

 シャルルは廊下の壁に掛けられた松明の光を頼りに、廊下を進む。

 奥に一際立派な扉。

 扉の前に歩みより、シャルルは後ろを振り返った。

 クラリスとミヨは真後ろにいた。

 そのさらにうしろから、ジャン=ジャックをはじめ数名の老従士たちが歩み寄ってきた。

 若い従士たちは皆、クール盆地で戦場の露となってしまい、ヴェルヌイユ家の従士は一線を退いた老人ばかりとなっていた。

 その従士達に軽く合図を送り、シャルルは扉を開けようとする。

 鍵が掛かっている。

 ――しまった。

 シャルルは唇を噛んだ。

 領主が寝室の扉に鍵を掛けるのは当然のこと。

 そして、領主の部屋の鍵を歩哨などが持っているわけがないのも確実だった。

「蹴破るしかないか」

 シャルルが呟くと、クラリスが同意した。

「領主の寝室の鍵なんて、まず手に入らないわ」

「鍵を壊して侵入する。間違いなく館の者に気取られるだろう。部屋から飛び出してきたものは確実に仕留めてくれ」

「分かったわ」

 クラリスは細剣をすらりと抜きながら頷いた。

 従士たちも各々獲物を構える。

 その様子を遠目に眺めていた農民たちも、斧やパールなどの武器を構えた。

「いくぞ」

 そう告げるや、シャルルは斧を全力で振り上げ、鍵目がけて振り下ろす。

 金属と金属がぶつかる強烈な衝撃音が響き渡った。

 だが、鍵は持ちこたえていた。

 もう一度。

 シャルルはさらに力を込めて、鍵を打つ。

 あまりにも強力な打撃にさらされた鍵は持ちこたえられず、ねじ曲がった。

 そこにシャルルは体当たりを掛ける。

 一度。二度。三度。

 大きな岩のようにシャルルの突進に抗していた扉であったが、ついに耐えきれなくなったのか。

 シャルルは扉とともに室内に転び込んだ。

 すぐさま体勢を整える。

 右手に大きな天蓋に覆われた寝台。

「な、な、なにごとじゃ」

 驚きのあまり舌が回っていないのか、老人のくぐもった悲鳴が聞こえる。

 シャルルは天蓋から垂らされた薄い幕をめくり上げた。

 でっぷりと太った老人が「ひっ」と叫び、身をよじらせた。

 奥にもう一人、女が見える。

 シャルルは肥満体の老人を無造作に掴み上げ、軽く当て身をくらわせる。

 そのまま老人を放り投げ、寝台を転げ落ちて反対側に逃れようとする女の肩を掴んだ。

「ひぃい」

 恐怖に満ちた声が寝室の空気を震わせる。

「何事でござりますか、閣下」

「こやつら、何者!」

「出会え、くせ者じゃ!」

 部屋の向こうから、次々に叫び声が響く。

 金属と金属がぶつかり合うような剣戟の音。

 シャルルは、薄い下着を身に纏っただけの女を担ぎ上げ、軽く首の付け根を叩いた。

 その女を従士たちに預け、先ほど放り出した老人を無造作に掴む。

 軽く頬をひっぱたくと、「うーん」という声が老人の口から漏れた。

 そのまま老人を抱きかかえ、廊下に出る。

 廊下では、伯の騎士たちが農民と乱闘を繰り広げていた。

 本来ならば騎士たちが圧倒的に有利のはずだが、農民たちが押していた。

 何と言っても、騎士たちは取るものもとりあえず、自分の部屋からバラバラに転がり出てきたのである。

 そこを待ち構えていた農民が数人がかりで八つ裂きにした。

 各個撃破というのもバカバカしいような一方的な殺戮が繰り広げられていた。

 剣で農民兵を倒す騎士もいたが、運よく一人倒せても、他の農民たちが斧で騎士を撲り倒す。

 悲鳴と怒号、それに猛烈な血臭が廊下を覆った。

 シャルルは腹から声を振り絞った。

「オルセー伯、捕らえたり!」

 騎士たちが動揺し、そこを農民兵に突かれる。

 シャルルはオルセー伯の頬を平手打ちにして、伯の目を覚まさせた。

「うう」と低く呻いて伯爵は薄目を開けた。

 シャルルは血塗れの斧を伯の眼前に持ち上げた。

「ひっ」とくぐもった悲鳴を上げる伯爵に、シャルルは怒鳴った。

「この斧で殺されたくなかったら、部下たちに戦うのをやめさせろ」

 伯爵の左手で伯爵の首を絞める。

 呼吸ができずに苦しくなったのか、伯爵がじたばたともがいた。

 シャルルは伯爵を掴んでいだ手を離した。

 伯爵は聞き苦しい呻き声を上げながら、空気を貪るように吸い込んだ。

「聞いているのか、伯爵」

 低く腹に響くような声でシャルルは怒鳴った。

「ひ、ひぃ?」

 なんとかシャルルのもとから逃げようとする伯爵の肩を抱く。

 そして、再度斧を見せながら、伯爵を脅した。

「死にたくなかったら、部下たちに武器を捨てさせろ! 次はないぞ!」

 シャルルの大声にすくみ上がった伯爵は、悲鳴を上げた。

「み、みなのもの、武器をすてるのじゃ!」

「声が小さい!」

 シャルルはそう言いながら、斧を伯爵の喉元に突きつけ、廊下を前に進んだ。

 伯爵の姿に気付き、一瞬気を逸らした騎士が次々と農民の餌食になる。

階段を降りると、四階には武装した従士たちが登ろうとするところだった。

「下郎! 閣下を離せ」

「閣下、ご無事ですか!」

 シャルルをなじるもの。

 伯爵の無事を確認するもの。

 武装した敵に囲まれながらも、シャルルは少しも動揺しなかった。

「伯爵、もう一度言え!」

「皆の者、武器を降ろせ! 降ろすのじゃぁ!」

 裏返った声で伯爵が叫ぶ。

 騎士たちや従士たちは逡巡する様子を見せたものの、誰一人として武器を捨てようとしなかった。

「頼むから捨ててくれ」

 哀願するように伯爵が泣くが、動かない。

 主館の戦闘は、奇妙な膠着状態を迎えた。

「最上階は完全に制圧した」

 リュシアンがシャルルの近くに歩み寄り、そう告げた。

「分かった」

 シャルルが答えたとき。

「閣下ともあろう者が、虜囚の辱めを受け、しかも我が身惜しさに我らに投降を求めるなど、そんなことがあろうはずがない。皆の者、惑わされるな、あそこな下郎が連れているのは閣下の偽物だ!」

 シャルルを取り囲む騎士の一人が、声を上げた。

 防具は身につけていないが、遠目にも上等な上着を羽織っている。

 ――交渉決裂か。

 ミヨの計算では、ここで敵が降伏するはずだったが、どうやら上手くいきそうにない。

 敵は伯爵の命よりもシャルルたちを倒すことを優先しそうだった。

 恐らくオルセー伯はあまり部下の尊敬を集める主君ではなかったのだろう。

「こいつを預かっていてくれ」

 シャルルは伯の身柄をリュシアンに委ねた。

 そして、斧を片手で構えた。もう片方は伯爵の寝室内に置きっ放しだ。

「ならば、これ以上の問答は無用だ。主君を見捨てた出来損ないの騎士として、ここで朽ち果てろ!」

 シャルルは大喝するや、騎士たちの群れに突っ込んだ。

 リュシアンは伯爵を従士たちに抱えさせて、階上に退避した。

 それを遠目に確認し、シャルルは後顧の憂いなく騎士たち相手に殺戮劇を繰り広げた。

 斧をまるでフォークのように軽々と操り、縦横無尽に振り回す。

 頭を粉砕した相手から剣を奪い、即席の二刀流で両手を交互に振り回し、騎士たちを近寄らせない。

 右手に持った斧は無慈悲な確殺の一撃を振りまき、騎士たちを剣もろとも砕く。

 左の剣は攻め寄せる騎士達の剣を巧みに払いのける絶対の楯となって、シャルルの身を守る。

 狭い室内のため、騎士たちは数の優位を活かせない。

 一人一人とシャルルの斧に打ち倒される。

 三十人ほど倒すと、もはやシャルルに打ち掛かってこようとする敵はいなくなった。

 敵が怯むなか、シャルルは抑えがたいほどの高揚感を覚えていた。

 背筋がゾクゾクとする。

 濃密な血の気配が五感を刺激してやまない。

 戦場を支配する獅子のごとく、シャルルは咆吼した。

 ドラゴンの雄叫びを耳にした幼児のごとく、敵兵が怯む。

 息を呑む気配が手に取るように分かる。

 己に向けられる恐怖が心地よい。

 シャルルは唇を歪めた。

 怯えたように彼を遠巻きにする騎士や従士の群れに突っ込む。

 斧の一撃で先頭にいた敵兵の頭が爆散する。

 柘榴のごとくという比喩は当てはまらない。

 あまりの衝撃で頭が文字通りバラバラに吹き飛んだ。

 脳漿混じりの血が降り注ぎ、顔にかかる。

 全身血塗れになりながら、シャルルは暴れ回る。

 悲鳴を上げながら突っ込んでくる敵兵。

 まだ幼い。

 動きも拙い。

 左手の剣で突く。

 口に突き刺さり、そのまま後頭部を貫通する。

 剣を左に薙ぎ,痙攣する敵兵を捨てる。

 右手はすでに次の獲物を狙い、振り下ろされる。

「く、黒鬼だっ!」

 今さらの悲鳴。

 通路が薄暗く、シャルルの髪の色を判別できなかったのか。

 その一言が決定打となった。

 すでに戦意を削がれていた敵兵に、黒鬼という一言は魔法のごとく作用した。

 それまで恐怖を押し殺してシャルルに剣を向けていた男達が一斉に逃げ出した。

 我先にと転ぶように階段を下り、大広間から外に逃げ出す。

 弱って逃げる獲物を仕留める豹のように、シャルルは階段をしなやかに飛び、哀れな子羊に苦痛と恐怖に満ちた死を振りまく。

 館を飛び出して、なおも敵を倒そうとするシャルルに、背後から叫び声が聞こえた。

「シャルル! シャルルってば! もういいから、もう追いかけなくてもいいからっ」

 後ろを振り向く。

 クラリスに支えられながら、ミヨが泣いていた。

「もう敵には抵抗する力はないよ。殺す必要はないよ。ねえ」

 ミヨがしゃっくりを上げている。

 その声に、シャルルは冷や水を浴びせかけられたような気分になった。

 先ほどまでの高揚感が嘘のように退いている。

 ねっとりとした血臭が、液化しそうなほどに濃密に漂っていた。

 あちこちに死体が散らばっている。

 五体満足な綺麗な死体は一つもない。

 どこかしら飛び散っていた。

 そんな死体の絨毯のなか、クラリスとミヨは、お互いに寄りかかるようにしながら、覚束ない足取りでシャルルに近寄ってきた。

「シャルル、もういいわ。私たちの勝ちよ」

 クラリスは青白い顔をしてシャルルを見上げた。

「あなたはいつも……血の雨を降らせるのね」

 クラリスの声は震えていた。

 その声を聞いて、シャルルは自分がひどく情けないような、いたたまれない気分になった。

 これまでの人生で当たり前のようにやってきたことのはずなのに。

 二人が震えているのを見るだけで、どうしようもなく後ろめたさがつきまとう。

「私はこういう生き方しかできない……」

 口を衝いて出た言葉からは、弁解の響きしかしなかった。

「ええ」

 クラリスが笑みを浮かべた。

 無理をしていると一目で分かる、痛々しい微笑みだ。

 ――このひとのこんな表情は見たくない。

 ただの臨時の上司。雇い主。

 その程度の間柄にすぎなかったはずだ。

 なのに、なぜここまで気になるのだろうか。

「シャルル、とても苦しそうよ」

 気がつけば、クラリスの顔が間近にあった。

 一面血の海だというのに。

 いや、血の海だからこそと言うべきか、彼女は高原に咲く一輪の花のごとき儚い輝きをその身に宿していた。

「すまない……」

 謝罪が口を衝いて出る。

「どうしてあやまるの、シャルル。あなたのおかげで作戦は成功よ」

「……自分でもよく分からない」

 本当に分からない。自分が何を言いいたいのか、何を言うべきなのか。

「ふふ……変なシャルル」

 クラリスが笑みを浮かべた。弱々しさが残るけれども、取り繕ったわけではない本物の微笑。

 それが何よりも尊く見えて、シャルルはひたすらクラリスの顔を眺めていた。


「お嬢様、館内の掃討、完了しましたっ!」

 見つめ合ったまま寄り添うように佇む二人を引き離したのは、リュシアンの声だった。

「え、ええ。ありがとう、リュシアン」

 シャルルは扉をくぐり、空を見上げた。

 東の空がうっすらと白んでいた。

 初冬の長い夜が明けようとしていた。

「ジャン=ジャック、夜が明けるまえに、主塔に翻っている伯爵家の紋章旗をはずして、ヴェルヌイユの旗を掲げて」

「ただちに、お嬢様」

 ジャン=ジャックは、主館入り口で茫洋と空を見上げているシャルルを一瞥すると、農民兵を数人引き連れ、主塔に向かっていった。

 館内からは、不思議と略奪の気配は感じられなかった。

 濃厚な血の臭いに酔って暴れるのは、農民であろうと傭兵であろうと騎士であろうと変わらない。

 それなのに、農民兵たちの顔には勝利の高揚感もなければ、解放感もなく、高級品を奪い取ろうというギラついた欲望もなかった。

「ヴェルヌイユの農民はよほど行儀がいいのか……」

「それは違うと思うよ」

 シャルルの独り言を聞きとがめたのか、ミヨがふらつく足取りでシャルルのもとに歩み寄った。

「どう違うんだ?」

「ヴェルヌイユの農民たちだって、普通に略奪欲はあるさ。……いや、あったというべきかな。でも、シャルルの戦いっぷりを見て、勝利の昂揚だとか物欲だとかは吹っ飛んじゃったんじゃないかな?」

「なぜだ? ここの調度品を一つ持ち帰れば、一家が一冬暮らせるだけの金になるはずだ」

「怖かったからさ」

 ミヨは声を震わせながら続けた。

「怖かったからに決まっているじゃないか。皆シャルルが怖かったんだよ。鬼だとかそんなこと以前にさ、雄叫びを上げながら敵を轢き殺していくシャルルが怖かったんだよ。だから、戦闘の高揚感なんて吹き飛んじゃったんだと思うよ」

「お前も私が怖いのか、ミヨ?」

「怖いさ。人間だもの。捕食者を前にした生き餌の気持ちが分かったよ。あれは理屈じゃない」

 ミヨはシャルルを見上げた。

「でも、だからといってあたしは逃げたりはしない。シャルルはあたしの大事な仲間だもん。戦っている最中のシャルルは本当に怖いさ。でも、シャルルはあたしのために、嫌がりもせずにお風呂を作ってくれたんだ。すごく優しかったんだよ」

 地平線から射し込む赤紫の光が、ミヨの頬をつたう滴を朱く染めた。

「だから、シャルルはあたしの大事な仲間なんだよ」

 何言っているか分からないよね、と呟きながら、ミヨは雪の上に座り込んだ。

 きっと、そのことが言いたくてやってきたのだろう。

 いかに物を知らぬシャルルとて、そのくらいは分かる。

 だから、その気遣いが嬉しかった。

 同時に、そんな彼女を泣かせてしまって申し訳ないと思う。

「では、夜明けとともに市参事会に出向き、我らヴェルヌイユがオルセー伯を下し都市を占領した旨、伝えて参ります」

 リュシアンの話し声が聞こえる。

「頼んだわ。あ、リュシアン。その前にもう一仕事頼まれてくれるかしら?」

「何なりと、お嬢様」

「オルセー伯をたたき起こして、オルセー市の管理権をヴェルヌイユに譲渡する旨の文書に署名させて」

「かしこまりました」

「どこまで効果があるか判らないけれど、やらないよりはやっておいたほうがいいでしょうから」

 シャルルに怯え血を恐れようとも、クラリスは貴族の娘だった。

 朝日が昇るなか、矢継ぎ早に命令を出して、夜の戦闘の成果を確実なものにしようとしている。

 ミヨももう少しすれば我を取り戻すだろう。


 戦後のことではシャルルはまるで役に立たない。

 自分は戦士、だから戦後のことは気にしなくてもいい。そう思う。

 だが、その一方で、奇妙な疎外感も覚えていた。

 ただ人から恐れられるだけの戦士でよいのか。

 中庭に立ち尽くして考え込むシャルルを尻目に、オルセー市は日常を取り戻そうとしていた。




どうにもさりげない感情描写がうまく書けない……。

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