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マジカル・トランス・ファンタジア~異世界で魔法少女爆誕しました~  作者: 黒船雷光


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第八話:帰還の先に見つけたもの ~6人目の光と永遠の春~

 魔法少女たちを揃えて、村の平和を守った……と思われるので、改めて教会に行き、教壇にマジカルステッキをかざしてみる。


 すると、祭壇から光が差し、僕を中心に取り囲む魔法少女たちの中心に女神が現れる。

「よくぞ課題をクリアしましたね…マスターユーマ」


「はい、頑張りました!…いや、頑張ったのは彼女たちかもしれませんが、条件は満たしたはずです。僕の願いは分かっていますよね?」


「もちろんです」

 微笑む女神。揺れる美しい二つの果実…うは……あ、いや、いかん。正気を保て天野 悠真(あまの・ゆうま)


「では?!」

「よく考えてください、ユーマよ。この世界でのあなたの活躍でこの村は活気と平和を取り戻しましたが、それは誰よりもあなたの活躍があってのことです。あなたは先ほど『頑張ったのは彼女たちかも』と言いましたが、謙遜です。あなたが居たからこそ彼女たちは頑張れたのです」


「し、しかし、僕には……」

「ユーマ様…せっかくお慕い申し上げておりますのに、私たちを残して去られるおつもりですか?」

「私たち、ユーマ様にすべてをささげる覚悟を持っています」


「え?!…あ、いやぁ……ご、ゴメンみんな。君たちが魅力的で素敵なレディであることを僕はちゃんと理解しているし、好意を持ってくれていることも、気付いてないわけではないんだ」


「で、ではなぜ?!」ゴブリナグリーンは泣きそうな顔をしている。可愛い…


「ぼ、僕には現世に残して来た婚約者がいるんだ!」

「「「えええっ?!!」」」

「そんなヒドイ!」「信じてたのに!」

「まあ、これだけの可憐な美少女たちに囲まれて己を律して手を出さないのは何故だろうかと思っておりましたが、合点がいきました。ですが、婚約者という事は、結婚もされておらずその約束をしているに過ぎません。私たちとで条件は未だ一緒です」

 年長のルナヴェールブルーと司祭のサブリナイエローが一歩も引かないという感じで詰め寄ってくる。


「え?いや、僕の話聞いてました?」僕はちょっと混乱しながらも説得を試みる。

「この世界とは言わないけど、村の幸せのための試練は乗り越えた。僕は君たちの魅力には何とか耐えた。それもひとえに僕には現世で待っている人がいるからだ。つまり、君たちの要望には応えられない」


「そこまで言うのでしたら、一度婚約者と話をなさって来てください」

 そういうファイアーハートレッドとシルフィードホワイトは、優しい顔をしながら中々な提案をしてくる。

 しかし、現世に転生したら戻って来なくてもいい気もするが……


「では、総意が取れましたので、ユーマ様は一時帰国となります」

 女神が笑顔でそう告げる。え?それなんか、強制送還ありって奴じゃないですか?!


 という色々確認したいことも含めて周囲が明るく光り有無を言わさず意識が遠くなる。


 気が付くと、現世の自分の家のマンションの扉の前に立っていた。


 慌ててポケットを探り、スマホを取り出す。時刻は午後八時…残業なければ家に飼っている時間だ。

 だが、日付がヤバい。記憶が正しければあれから1ケ月が経っていた…。

 ともかく状況整理も含めて自宅のカギを開けて中に入る。


 誰もいないはずの1DKのマンション。だが、明かりがついていた。

「誰?!」奥から女の人の声がする。


 包丁を持って現れたのは、僕の幼馴染で婚約者の「花鶴 みゆき」だった。

「へぇ?!ウソ!…悠真?!……あ……」その顔に浮かんだのは、安堵と喜びが混じった僕がこれまで何度かさせてしまった彼女の泣き顔だった。


「うわぁぁぁん!!ユウマ!!」

 いやちょっと、包丁置いてくれないかな?!と言う間もなく抱きつかれる。


「何よ?!今まで一体どこほっつき歩いてたのよ?!」

 泣きながらしがみ付く彼女が愛おしく、心の準備も説明の言葉も浮かばないままただなく彼女を抱きしめるしかできない。


「……ごめん」


「うえぇええぇぇつ!謝るなぁ~」

「ごめん」


「よかったぁ…死んでなかったぁ~」

「うん」


「私待ってたんだよぉ……」

「うん」


「どこに行ってたんだよぉ…」

「うん……」


「………答えられないところ?」

「うーん……」


 僕の後ろにゲートが開く。

「え?」みゆきが目を見開く。


 ゲートをくぐって出てくる五人の魔法少女。

「ユーマ様!!」

「この方がユーマ様の婚約者?!」

「さすが、ユーマ様の婚約者…」


「だ、だ、だだだ…誰?…ですか……って魔法少女?!?!」

「さすが、ユーマ様の伴侶になる方、ご理解が早い」サブリナイエローの胸が躍る。


「うふ…うふふ……心配して損しちゃったかしら…悠真。よかったわ」

 急に冷めた対応をするみゆきに僕はポカンとする。

「う……えぇ…?」

「私ね…いや、いいわ。あのね、今日はお別れをしに丁度来ていたの。最後に会えてよかったわ……合鍵も返します」

 チリンと鈴付きのキーホルダーに止められた、僕の部屋のカギを渡してくるみゆき。

 ちょっと頭の整理が追い付かない。


 僕の幼少期の思い出がよぎる。

「ねぇ、みゆきちゃん!今日の『魔法少女ピュアピュア☆メロディ』面白かったね!」

「うん!ユウマ!!楽しかったね。二人で将来魔法少女になれたらうれしいね!」

「うんうん!きっとだよ!」


 紺色のブレザーが嬉しい中学生。

「ねぇ、悠真…あんた、未だ魔法少女とか言ってんの?!」

「えぇ?!…だって、みゆきちゃん……二人で魔法少女を…」

「私はもう素敵な女性になるの。魔法少女は卒業だよ!」

「ねぇ、みゆき…何?え、彼氏いるの?!」

「え?いや、悠真は幼馴染だし…そんなんじゃないよ!」

「あはは…いいね、漫画とか卒業しないとね……彼氏素敵じゃん」

「ば、ばか…とにかく、悠真!魔法少女はもうナシ!」


 居酒屋で同窓会

「あっ…ゆ、悠真じゃん…久しぶり」

「う、うん…花鶴さん元気にしてましたか?」

「え、やだ…みゆきでいいよ。こっち戻って来たんだ…」

「うん…みゆき…さん」

「ねぇ…昔思い出すね…」

「魔法少女とか?」「昔すぎ…」


 海辺の夕日時計水平線に火が沈む中

「ねぇ…悠真、今日はこんな場所に呼び出して…何の用?」

「あのさ…みゆき…」

「何?」

「結婚しない?」

「えっ?!…そこは『してください』……でしょ?!」

「うん…そうハッキリ言ってくれるみゆきが好きなんだ」

「……そういうのずるい……」

「一応指輪用意したんだ」

「もう…一応は余計だよ…ふふふ……もらってあげる」


「はっ!」

 彼女との思い出が…そう、僕は魔法少女が大好きだった。みゆきはもっと好きだ。

 だから、魅惑的な彼女たちの誘惑にも僕は打ち勝てた。

 だが、そのみゆきが泣いていた。


「連絡が取れなくなって…会社にも出社してないって…無断欠勤で一か月とか普通の会社だったらクビだよ!でも、それより……いや、もういいわ!そんなことどうでもいいの!!」

 逃げるように立ち去るみゆき。


「あ、まって!!くそ、どうなっているんだ?!」

「マスターこのままでいいのですか?」サブリナが聞いてくるが良いわけない。

「追おう!」

「このシルフィードにお任せを!」

 馬車ではなく天馬を召喚し、悠真を乗せて飛ぶ。みゆきは通りに出てすぐにタクシーを捕まえて自宅まで走らせていたが、自宅前に天馬を従えた白い魔法少女と悠真が先回りしていたことに大層驚く。

「え?!ウソ?!!その…馬本物なの?」その目は輝いている。


 しかし、直ぐに我に返り「と、とにかく、悠真とは終わりにするの…決心した当日に戻ってくるなんて…」と厳しい顔を僕に向ける。


「ねぇ、みゆき…君は実はボクに厳しく当たっていたけど、魔法少女が好きなんだろ?」

「そんな訳ないでしょ?!中学の時に言ったじゃん!もう、子供っぽいことから卒業するって」


 僕はみゆきから先ほど突っ返された自宅の合鍵をとりだす。

「それはもう返したでしょ…あ!」

「このキーホルダー、最近リバイバルした魔法少女ピュアピュア☆メロディの限定ガチャだよね?」

「そ、それは…えっと…」


 そこへ他の魔法少女たちが到着する。

「そなた…病を抱えておるな?」ルナヴェールブルーが鋭い指摘をする。

「え?…なんで?」下唇が上唇を上回っている…みゆきの嘘をつくときの癖だ…魔性少女を卒業したと言った時も同じ顔をしていた。


「みゆき?!どこか悪いのか?!」

「……何でもない!ほっといて!」

「ダメだよ…心の扉を好きな人の前で閉ざしては!」ファイアーハートレッドの炎がみゆきを包むと何か黒いものが一瞬彼女の躰から立ち上り…そして燃え尽きた。浄化の炎は、みゆきの虚栄心からくる心の闇を打ち払ったのか?

 みゆきは、少しだけ厳しい表情が和らいだが、その代わり泣きそうだ……。


「嗚呼……わたし…検査で胸にしこりが見つかって」

 ギクリとする……僕は女性特有のそう言った問題に無頓着だ。なんてもっと早く彼女の変化に気づいてあげられなかったのだろうか……


「大丈夫…貴方の心は美しく、肉体の病魔はそれを打ち崩すことはできません!サンシャイン・ヒール!」

 ぶわっと黄色を中心とした光の粒子がみゆきの周りを廻り、大きなうねりとなって彼女を包み、そして四散する。

「えっと…なんか、身体が軽くなったような?」

「どうだい?憧れの魔法少女に病気を治してもらった気分は?」僕は少しだけ誇らしく思ってみゆきに聞いた。

「うそ?…もしかして、私の…あ、無くなってる…あは、あはは?!」


「ねえ、みゆき。再会と快気祝いを兼ねて、異世界に行ってみようよ…どうせ君のことだから、病気のことを気にして会社を辞めるつもりだったんじゃないのかな?」

「何ソレ…知ったかぶりして…でも、ハネムーンに異世界、悪くないかも。こんな魔法見せられちゃったらなんでも信じられるよ!」


 僕たちは、みんなで異世界の扉を潜り、再びウィロウホルム村の中央に戻っていた。

 みゆきは、かの地でミルキーピンクという魔法少女に変身し、6人目として僕の妻になった。


 魔法少女と僕のお話は一旦これで終わり。機会があったらまた別の物語を語ろう。

最後までお付き合いいただいた方、ありがとうございます。

魔法少女って特別で不可侵な感じのイメージがあるので、その辺りはのこしつつ自分が変身するのではなく、変身させていく…と言うちょっとした変則的な設定でほんわかテイストを書いてみました。


一応続きは書ける形でいったん閉じさせてもらいますね。

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