表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第四章 魔王城・決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/47

決意の夜に

 宿舎の外。



 夕方。



 日が傾き始め、影が長く伸びている。


 灯りは、少ない。



 四人が揃っている。


 誰かが呼び集めたわけではない。

 気づけば、そうなっていた。



 ヒナタが口を開く。


「……明日だ」


 短い。


 それだけで、意味は通じる。


「魔王の部屋に入る」


 言い切り。



 誰も、驚かない。



 セレネが、少しだけ息を吸った。


「……はい」


 それ以上は言わない。



 ステラも、頷くだけだ。



 ミドは、黙って立っている。



 逃げ道の話は、出なかった。

 条件の確認も、もうしない。


 全員が、分かっていた。


 ここまで来たら。

 行かない、という選択肢はない。




 食事は、静かだった。


 誰も多くは話さない。

 だが、重くもない。


 皿が空になる。

 湯気が消える。


 いつもと、変わらない。





 夜。


 宿舎の灯りが、少しずつ落ちていく。


 月明かり。




 ヒナタが剣を振る。


 ミドも、少し離れて、振る。


 同じ軌道。


 同じ踏み込み。




「……前に」


 剣を振る音の合間。


「ヒナタさんが言ってた言葉」


 少し、間。


「諦めねぇやつが、最後まで立ってる」

「勇者ってのは、たぶんそういうのだろって」


 ヒナタは、振る手を止めない。



 だが。



 一拍、踏み込みが遅れた。


 すぐに、戻る。



「……僕」


 一呼吸。


「今、逃げないでいられるのは」

「……たぶん、あの言葉があったからです」


 それだけ。



「……そうか」


 ヒナタの剣が、止まる。


 一瞬だけ。


 月明かりの下で、刃が揺れた。



 それから、また振る。


「じゃあ」

「まだ、大丈夫だな」



 剣の音が、夜に溶けていく。



 月は高い。

 風は、冷たい。



 だが、誰も止めない。

 誰も、引かない。



 それぞれが、振っているのは剣だ。

 だが。



 確かめているのは、覚悟だった。



 明日。

 扉の向こうへ行く。



 その事実だけが、静かにそこにあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ