消えていく
朝のギルド。
扉が開く音と、足音が重なる。
いつも通りの時間。
いつも通りの光景。
ただ。
受付の前に、見慣れない一団が立っていた。
装備は整っている。
数も揃っている。
――魔王城。
行き先は、はっきりしていた。
「護衛、お願いします」
受付の声。
ギルド側も、手慣れている。
数名の冒険者が呼ばれ、準備が進む。
ヒナタは、少し離れた場所からそれを見ていた。
悪くない。
そう思う。
構成も、装備も。
――それでも。
胸の奥で、何かが沈む。
(……無事だと、いいが)
願う。
だが。
(無理だろうな)
否定もしない。
言葉にも出さない。
もし、このパーティが――
そこで、思考を止める。
ヒナタは、視線を外した。
「行くぞ」
短く言う。
四人は、いつも通り依頼を受ける。
討伐。
危険区域の掃討。
戦う。
勝つ。
それを、繰り返す。
時間が過ぎる。
夕方。
夜。
そして。
次の日の朝。
ギルド。
掲示板の前に、人が集まっていた。
――更新。
ヒナタは、近づかない。
だが。
視界の端で、文字が見える。
魔王の間。
全滅。
短い。
余白もない。
誰かが、息を呑む。
「……やっぱりか」
小さな声。
ヒナタは、何も言わない。
ミドも。
ステラも。
セレネも。
全員、黙っている。
一組。
また、一組。
減っていく。
ヒナタは、ゆっくり息を吐いた。
(……次は)
言葉にはしない。
ただ。
順番が、近づいている。
それだけは、はっきりしていた。




