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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第三章 魔王城・序

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扉の前まで

 静かだった。



 驚くほど、何もない。


 足音だけが、廊下に残る。


 反響も、すぐに消える。



 

 獣の気配はない。


 影も、動かない。


 張り詰める感覚すら、薄れていく。


 不気味さを感じる暇もない。


 ただ、静寂が続いている。


 


 歩を進める。


 慎重に。


 だが、構える必要もない。


 どれくらい進んだのか。


 距離の感覚は、すでに曖昧だった。


 


 やがて。


 行き止まり。




 廊下の突き当たりに、扉があった。


 大きい。


 城の中で見てきた、どの扉よりも。


 装飾はない。


 だが、近づくだけで分かる。


 ――空気が、違う。


 重い。


 圧がある。


 ここだけ、世界が一段深く沈んでいる。


 


 誰も、すぐには口を開かなかった。




 ヒナタが、扉を見上げる。


「……ここだな」


 低い声。




 セレネが、小さく息を吸う。


 


 ステラは、何も言わない。




 視線だけを、扉に固定している。


 

 ミドも、同じだった。


 


 ヒナタが、一歩前に出る。



 だが。


 止まった。


「今日は、ここまでだ」


 即断だった。


「確認は、できた」


 


 誰も、反論しない。


 この先に進めば。


 もう「確認」ではなくなる。


 それは、全員が分かっていた。


 


 ヒナタが、踵を返す。


「戻るぞ」


 短い指示。


 


 四人は、来た道を引き返した。


 

 静寂は、変わらない。



 だが。



 球体があった場所。


 床の影が、わずかに濃くなっている。



 揺れる。


 再生している。


 

 誰も、足を止めなかった。


 


 城の外。


 重い扉が、背後で閉じる。



 外の空気が、わずかに軽い。


 

 ヒナタが、振り返る。





 魔王城。





 黒い城壁が、沈黙したままそびえている。




「……行ける」


 独り言のように、呟いた。



 だが。


 続きは、言わない。



 今日は。


 まだ、踏み込まない。


 それだけが、決まっていた。




 魔王城は、何も語らない。



 扉も、壁も、影も。



 ただ、そこに在り続けている。



 今日は、引き返した。


 それだけだ。


 

 だが。


 辿り着けることは、分かった。


 


 次に踏み込む時。


 それはもう、「確認」ではない。


 その線だけが、はっきりと引かれていた。





 ――更新記録


 


 ヒナタ レベル:94


 ステラ レベル:92


 セレネ レベル:88



 ミド 測定不能





 記録終了。


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