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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第三章 魔王城・序

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黒影の球体

 球体は、動いていなかった。


 黒い影が、渦を巻くように固まっている。


 表面は定まらず、常に揺れている。


 輪郭があるのに、境界が曖昧だ。



 淡く、内側から光っていた。


 呼吸しているようにも見える。


 だが、生き物の気配はない。


 


 球体の向こう側は見えない。


 影が、通路そのものを覆っていた。




 四人は、距離を詰める。



 慎重に。

 一歩ずつ。


 

 次の瞬間だった。

 ――光。



 球体の中心が、強く瞬いた。



 無数の閃光。


 放射状に、空間を裂く。



「来る!」


 ヒナタとセレネが、即座に身構える。


 防御姿勢。


 衝撃が、正面から叩きつけられた。


 

 ステラは、反射的に術式を展開する。


 光の壁。

 閃光を弾く。



 ミドは、跳んだ。


 横へ。

 前へ。


 避ける。




 閃光は、数秒で止んだ。


 球体は、再び暗くなる。


 


「……行ける」


 ヒナタが踏み込む。


 一閃。


 


 黒影が、わずかに歪んだ。


 確かな手応え。


 


 ステラの術式が続く。


 直線の閃光。


 影が揺れる。

 削れている。


「通ってます」


 短い報告。


 


 セレネが、すぐに動く。


 治癒。


 ヒナタと、自分自身に。


 

 浅い傷が、静かに塞がっていく。


 


 ミドは、球体から目を離さない。


(……削れる)


 手応えは、確かにある。


 防がれている感触もない。

 弾かれている感じもしない。


 ただ、削れている。


(少なくとも)

(魔王の部屋の前まで行けたパーティは複数存在する)


 それ以上、考えを進めない。


(なら、道は一つ)


 削る。


 それだけ。



 閃光は、連続では来ていない。


 間がある。


 

 ミドは、ヒナタを見る。


「……さっきの攻撃」

「耐えられますか」


 

 ヒナタは、即答した。


「多少削られる」

「だが、致命傷にはならねぇ」


 

 ミドは、短く頷く。


「なら」


 息を整える。


「ヒナタさんは、削り続けてください」

「次が来たら、防御優先で」


 

 視線を、ステラへ。


「ステラ」

「撃ちながら、防御を」

「閃光が来たら、僕とセレネを」




 ステラは、即座に理解した。


「可能です」


 


 セレネにも目を向ける。


「支援と治癒を」

「切らさないでください」



 セレネは、静かに頷いた。


「はい」



 陣形が、決まる。


 最善ではない。

 

 だが。


 今の四人で、進める形だった。


 


 球体の中心が、再び淡く光り始める。


 次が来る。


 それを、四人とも理解していた。



 ――また、明るむ。


 次の瞬間。


 無数の閃光。


 四方へ。


 


 ヒナタが、即座に身構えた。


 剣を前に。


 踏み込まず、受ける構え。


 


 ステラの前に、壁が展開される。


 透明に近い、淡い光。


 セレネとミドは、その背後。



 閃光が、壁に叩きつけられる。


 弾ける音。


 軋む感触。



 ヒナタの防御が、火花を散らす。


 完全ではない。


 だが、崩れもしない。


 

 数秒。



 そして。


 閃光が、止んだ。




「今だ!」


 ヒナタが踏み込む。


 一気に距離を詰める。


 一閃。


 手応え。


 黒影が、わずかに揺れる。




 ステラの術式が続く。


 直線。


 貫くように走る光。


 通る。


 確実に、削れている。


 


 セレネの治癒が重なる。


 ヒナタの腕。


 擦過した箇所。


 熱が引いていく。




 止まらない。


 ヒナタが、再び斬る。


 ステラが、術式を続ける。


 


 黒影の球体は、応じない。


 避けもしない。


 ただ、削られていく。


 


 ――また、明るむ。


 全員が、察する。


 防御。




 同じ手順。


 単調だ。


 

 だが。



 削れている。


 確実に、黒影は少しずつ薄くなっていた。


 


 ミドは、球体から目を離さない。


(……消えるまで、やるしかない)


 考えは、それだけだった。


 



 戦いは、続いている。


 まだ。


 終わる気配は、ない。


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