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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第三章 魔王城・序

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30/47

魔王への違和

 ――挑戦記録。



 人数:4

 レベル:95 / 92 / 91 / 90

 経過時間:00:13:08


 記録終了:魔王の間

 結果:全滅





 ――過去記録。


 

 人数:3

 レベル:99 / 99 / 99

 経過時間:00:12:43


 記録終了:魔王の間

 結果:全滅



 ――



 人数:1

 レベル:999

 経過時間:00:03:21


 記録終了:魔王の間

 結果:全滅






 誰も、すぐには声を出さなかった。


 


 水晶の光が、淡く揺れている。


 それだけだ。


 


 

 セレネが、息を止めたまま立っている。


 

 ステラは、表示から目を離さない。


 

 ミドは、黙っている。


 


 ヒナタが、舌打ちした。


「……あいつらでも、無理か」


 低い声。


 感情を抑えきれない、短い音。


 


 それ以上は、言わない。


 言う必要がなかった。


 


 あの四人だ。


 最前線。


 魔王討伐に、最も近い。

 

 レベル90台。


 


 レベル99の三人も。


 レベル999の転生者も。


 すべて、同じ結末だ。



 

 空気が、重く沈む。


 


「……今日は」


 ヒナタが、踵を返す。


「やめとくか」


 誰に向けた言葉でもない。


 


「気分じゃねぇ」




 異論は、出なかった。


 


 ギルドを出る。


 


 朝の光は、もう十分に差している。


 


 だが。


 


 誰の足取りも、軽くはない。


 



 宿舎へ。


 とりあえず、戻る。


 それだけだ。


 

 考えるのは。

 ――あとでいい。




 宿舎。


 


 扉が閉まると、外の音が途切れた。


 


 重い。


 


 誰かが何かを言うわけでもないのに、空気だけが沈んでいる。


 


 椅子に腰を下ろしても、落ち着かない。


 


 ヒナタが、壁際に立ったまま言った。


「……外、行ってくる」


 それだけ。



 返事を待たずに、扉が開いて閉まる。


 


 少しして。


 セレネが、立ち上がった。


「洗濯、してきます」


 気分転換、ということを選んだのが分かる。


 


 誰も止めない。


 


 部屋には、二人だけが残った。


 ミドと、ステラ。


 


 ステラは、いつものように本を開いている。


 だが。


 ページは、あまり進んでいない。


 


 しばらくして。




 ミドが、ぽつりと声を出した。


「……ステラ」


 顔は上げない。


「どう思った?」


 一拍。


「さっきのログ……」


 



 ステラは、静かにページを閉じた。


 視線を、少しだけ上げる。


「……違和感、ですね」


 即答に近かった。


「魔王が強い、という話ではありません」


 



 ミドが、わずかに眉を動かす。


 



「強いのは、前提です」

「ですが」


 本を閉じたまま、指先を揃える。


「数字が、合っていない」


 


 ミドは、黙って聞く。


 


「レベル99が三人」

「転生者が、999」

「そして今回、90台が四人」


「全員、同じ場所で」

「短時間……」

「“全滅”」


 少し、間。


「本来、ありえません」


 


 ミドが、ゆっくり息を吐いた。


「……そうだよね」


少し間。


「おかしい」


 



 ステラが、静かに頷く。


「はい」


 一拍。


「強すぎる、という言葉では足りません」

「この世界のレベルという数値体系から」

「外れている」


 


 沈黙。


 


 二人とも、その先を言わない。


 

 言えない。


 


 ミドが、低く呟く。


「……なのに」

「レベル、って表示されている」

「測定も」

「ログも」


 


 ステラは、目を伏せた。


「だからこそ」


 短く。


「気持ちが悪いです」


 



 沈黙。


 



 二人の中に。



 同じ結論だけが、形にならないまま残っていた。


 

 ――魔王は、強さの先にいない。


 


 ――強さの外にいる。


 

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