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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第二章 戦いの形

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二羽を越えて

 再び、二羽の怪鳥のもとへ。


 

 赤と青が、空を旋回している。


 

 距離は、前と同じ。


 

 高度も、変わらない。


 



 赤が落ちる。

 一直線。


 ヒナタが受ける。


 剣で弾く。

 衝撃。

 重い。


 

 青が続く。


 横から。


 ステラが術式でずらす。



 上空へ。


 また、戻る。



 突風。


 かまいたち。


 空気が裂ける。




 ヒナタが受ける。


 剣で逸らす。


 脚を止めない。



 ステラの術式。


 直線。

 弾かれる。


 

 セレネの光。


 防御。

 治癒。


 耐える。




 赤が来る。


 青が続く。



 削られる。


 だが。


 崩れない。


 


「……チャンスは、少ないです」


 ミドが、低く言う。


「噛み合えば、いける」

「でも」

「外したら、今日は完全に引きましょう」




 「……了解だ」


 



 無理はしない。


 それは、最初から共有している。


 


 二羽が、再び距離を取る。


 旋回。




 揃う。


 同じ高さ。


 


 一瞬。


 羽ばたきが、揃った。


 ――来る。


 かまいたち。


 その、直前。


 ミドの視線が、空で止まった。


 一瞬。

 ほんの、瞬き一つ分。


「――セレネ!!」


 名前だけ。

 次の瞬間。

 光が、走った。


 空気が、わずかに歪む。



 赤。

 青。


 動きが。

 ほんの、半拍。

 遅れる。

 高度が、僅かに落ちる。



 その隙を、逃さない。


 ステラ。


 術式。

 突風。

 左右から。

 同時。

 二つの流れが、ぶつかる。


 赤と青が、空中で衝突した。


 羽が乱れる。

 体勢が崩れる。

 落ちる。

 距離が、縮む。

 ――届く。



 ヒナタが、踏み込んだ。


 跳ぶ。

 空へ。


 剣を、横に。

 一線。


 迷いのない軌道。


 ――一閃。

 風を切る音。



 赤。

 青。

 同時に。

 斬れた。



 空中で、二つの影が分かれる。


 切断面。


 血。


 羽。


 落ちる。



 地面へ。


 重い音。


 砂が舞う。



 まだ。


 終わりかどうかは、分からない。



 だが。



 今までとは、違う。


 狙った形で。


 同時に。


 確かに、崩した。




 二羽は、最後に短く鳴いた。


 重なることのない、別々の声。


 それが。


 同時に、途切れた。


 光が散る。


 輪郭が崩れる。


 空に溶けるように、消えていく。


 あとには。


 黒ずんだ嘴が、二つ。


 石の上に、落ちていた。




 ヒナタが、ゆっくり息を吐いた。


「……終わったな」


 誰も否定しなかった。




 四人は、来た道を引き返した。




 まず、廃墟。


 崩れた石壁の間を抜ける。


 風が鳴る。


 さっきまでの戦いが、嘘みたいに静かだ。




 だが。



 一体。


 二体。


 

 獣は、もう待っている。


 動きが、速い。

 迷いがない。


 

 剣を振るたび、息が少しずつ重くなる。



 森に入る。


 木々の影が、深い。



 音に、すぐ反応が返る。



 ここも。



 前と同じ道のはずなのに。



 何かが、確実に変わっていた。



 それが何なのかは、まだ分からない。



 ただ。



 今日の戦いで。



 戻れない線を、ひとつ越えた。



 そんな感覚だけが、残っていた。



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