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レベル1の最弱勇者 ー僕だけレベル1のまま、四人で魔王城の最奥へ挑む物語ー  作者: 直助
第二章 戦いの形

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二羽の怪鳥

 朝。



 宿舎を出ると、空気はまだ冷たかった。


 誰も多くは喋らない。


 準備は、もう前夜に済んでいる。


 


 森へ入る。


 陽は昇っているが、足元は暗い。


 木々の影が重なり、視界が細くなる。


 


 気配。


 


「来る」


 ヒナタが言う前に、影が動いた。


 


 一体。


 いや、二体。


 


 速度が違う。


 前に比べて、踏み込みが速い。


 


 ヒナタが前に出る。


 一閃。


 


 だが。


 


 止まらない。


 


 二撃目。


 角度を変える。


 


 今度は、倒れた。


 


「……ちょっと、強くなってるな」


 独り言。


 


 セレネの光が、すぐ重なる。


 


 傷は浅い。


 だが、確実に消耗する。


 


 奥へ。



 さらに奥へ。


 

 数が増える。


 

 連携してくる個体も混じる。


 


 ステラの術式。


 間を切る。



 ヒナタが詰める。



 終わる。


 


 だが。


 

 息を整える時間が、前より短い。


 


 森を抜ける。



 石の匂い。



 廃墟。



 崩れた壁。


 倒れた柱。


 

 ここでも、気配はある。


 

 金属音ではない。


 だが、鈍い。



 獣。



 皮膚が厚い。


 反応が遅れない。


 

 一体倒すのに、手数が増える。


 

「……通るだけで、削られるな」


 ヒナタが言う。


 

 誰も否定しない。


 

 それでも。


 立ち止まらない。


 

 廃墟を抜ける。



 視界が、少し開ける。


 風向きが変わる。


 空気が、張りつく感じになる。


 

 遠く。


 何かが、動いた。


 


 影が、二つ。


 同時に。


 

 ヒナタが足を止める。


「……あそこだな」


 

 討伐対象のいる地点。


 

 まだ、距離はある。


 

 だが。


 

 ここから先は、明らかに違う。


 

 四人は、自然に間合いを取った。


 

 言葉は、いらない。


 ただ。


 戦う場所が、近づいている。


 それだけが、はっきり分かっていた。



 足を止めず、距離を詰める。


 空気が、変わる。



 ヒナタが、顔を上げた。



 空。



 赤と、青。


 二羽の鳥。



 同時に、こちらを見ている。


 距離を測るみたいに。


 

「……上か」


 ヒナタが呟く。



 剣の間合いじゃない。


 


 ステラが前に出る。


「撃ちます」


 術式。


 光。

 収束。


 炎が、一直線に走る。


 赤い鳥に直撃。

 ――弾かれた。

 火花みたいに散る。


 鳥は、何事もなかったように羽ばたく。


 

「……通りません」


 ステラの声が、少しだけ低い。


 魔法耐性。


 

 ヒナタが舌打ちする。


 その瞬間。

 赤が、落ちた。

 一直線。

 突撃。


「来る!」


 ヒナタが踏み込む。


 剣を立てる。


 衝撃。

 重い。

 金属音。

 弾き返す。


 赤い鳥が、空中で姿勢を立て直す。


 同時。

 青が動いた。

 狙いは――ステラ。

 高速。

 一直線。


「……っ」

 ステラが即座に術式を展開する。

 衝突。

 空気が弾ける。

 衝撃をずらす。


 青い鳥が、ぎりぎりで軌道を変える。


 地面に、深い傷。


「……速いですね」


 息を整える暇はない。



 二羽は、再び上空へ。


 距離を取る。


 同時に。

 羽ばたいた。

 強く。

 空気が、裂ける。

 ――来る。


 かまいたち。

 刃みたいな風。


 ヒナタの腕。

 脚。

 浅い切り傷が走る。


 ステラの肩。

 服が裂ける。


 セレネの光が、すぐに重なる。

 防御。

 治癒。

 追いつく。


 だが。

 消耗は、確実に溜まる。


 二羽は、距離を保ったまま旋回する。


 赤。


 青。


 交互に。


 隙を、待っている。



 ヒナタが、低く言う。


「……削り合いだな」


 

 セレネが、短く答える。


「長くは、持ちません」


 

 ステラは、空を見上げたまま。


 目だけが、静かに動いている。


 

 二羽。


 同時。


 別々。


 

 噛み合わない。


 ――厄介だ。


 まだ。


 勝ち筋は、見えない。


 だが。


 逃げ場は、ある。


 


 四人は、無言で距離を調整した。


 

 戦いは。



 ここからだった。


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