94話 国王との初対面
「戻ってきたねー。」馬車の中、となりでニルティアが言ったのが聞こえた。俺たちはアンサレストを出たところでゴブリン10体に襲われている商人を見つけた。とりあえずニルティアが毒投げナイフを10本投げて始末した。するとそのお礼にと王都まで乗せてくれた。「おう、おまえさんたちがいなかったら俺は今頃ここにいねぇぜ。ありがとな。」馬車の運転席?から商人の声がしたので、俺は荷台の中で少し前に移動する。「いや。俺たちも運んでもらえて助かった。」ふと外を見ると、王都の大きな門が見えた。なんだか懐かしさを感じる。
ここらへんで、と門から少し離れたところで馬車から降りて、門番にブロンズランクの冒険者カードを見せた。次の瞬間門番は俺たちに向かって跪いた。そこで俺は自分が今どんな役職に就いているのかを思い出した。「あ、そんなに固くならなくていいよ。」俺は門をくぐりながら言った。
広場に行くと圧倒的な存在感を発している獣人族がいた。「お待ちしておりました。」ノクリスはそう言って頭を下げる。「国王がお待ちです。」隣のイリオウが言った。いや、待って。俺たち国王待たせてたってこと?それはさすがにやばくない?優雅にのほほんとエルフの村にも寄ってたけど。もうニルティアとファニアは久しぶりの王都でテンションが上がり切っていて、さっきからキョロキョロしている。何回も来たことあるし、なんなら滞在もしたでしょうが。頼むから落ち着いてくれ。俺たちはイリオウの率いる王都騎士団と、ノクリスの率いる王都近衛騎士団第二師団に囲まれて、護衛されながら王城へ連行された。
王城の大きな扉がゆっくり開く。「帰ってきて突然で申し訳ない。」扉が開ききる前に聞こえてきた声は、優しい低い声だった。扉が完全に開いたときに、俺の焦点は扉の奥の世界に合った。長机があって、その両側にいかにもこの国の幹部ですというような人たちが座っていて、その一番奥のいわゆる『誕生日席』にこれまたいかにもな人が腰かけていた。「ようこそ。というより無事の帰還を感謝する、のほうがいいかもしれないな。」いかにも、な人が言った。絶対ここで警護を外すと殺される、と俺の直感が、そして全細胞が叫んだ。「歓迎していただけて光栄です。」とりあえず最初のターンは当たり障りのないことを言っておこう。「うむ。、まぁ、席についてくれ。」横のほうから俺たちは言われるがまま席についた。「さて、なぜ貴公らを呼んだのかはあまり説明もいらないとは思うが、一応。ノクリス、頼む。」はい、とノクリスが壁際から一歩踏み出して出てきた。「皆様ご存じの通り、先日ショウたち一行を王都近衛騎士団特別顧問に指名する案が成立しました。」何人かの幹部たちがゆっくり頷いた。「そして、着任後すぐではございましたが、隣国ショールット王国での問題についてご判断していただきました。報告は先日申し上げましたとおりです。念のため本日も皆さんのお手元に資料を置いています。」ノクリスは淡々と報告をしていく。俺は目の前に置かれている紙の束に目を落とした。『ショールット王国での戦闘について』と表紙に書かれている。さすがに手書きではないが、この世界に印刷という概念はないだろうから、どうやって書いたのかは気になったが、少し考えたところですぐに結論に至った。そうだ。この世界には魔法がある。正直、印刷技術よりも便利だと個人的には思う。俺は表紙をめくり、そこにかいてある文字を読んだ。
報告書の内容は、俺が目にしたものと大して変わらなかった。ただ、最後の方のページにあった、『首謀者と思われる王族は捕らえて新王へ引き渡した。』という記述には少しの間視線を動かせなかった。「さて、あらかた目を通せただろうか。では、」そう言って立ち上がった王は、俺と目があった。「自己紹介をしていなかったな。」いや、いまさら?「私がこの国の国王、ウィドルツだ。」はい。知ってました。もちろんですとも。うん。[わざわざありがとうございます。竜人族長の娘、ファニア・メトでございます。以後よろしくお願いします。]ファニアがゆっくりと頭を下げた。「ニルティアです。」とニルティアがファニアの後に続いた。「ショウといいます。よろしくお願いします。」俺が頭を下げたのとほぼ同時に、前の方から拍手が聞こえてきた。どうやら幹部たちが拍手しているようだ。歓迎されていると思っていいのだろうか。「それでは、みな席を。」ウィドルツ国王がそう言うと、幹部たちが次々に席を立って部屋から出ていった。
すべての幹部たちが部屋から出て行ったのを見送った国王は再び席に腰を下ろした。「楽にしてくれ。というか、楽にしてもらわないと私が落ち着かない。」どういう要求かはよく分からなかったけれど、とりあえず楽にしていいとお許しが出たことはわかった。さて、と。俺は少し気を抜く。さっきの幹部たちの視線の圧から解き放たれた俺は何も気にせずに気を抜くことができた。「突然ですまないが、君たちにお願いがある。」楽にすることに重点を置いていた俺は国王の言葉に反応するのが少し遅れた。「え?」さらに楽にしていたことによってさらに俺は頭がフリーズして敬語が外れた。そしてその言葉を発音してから自分の失態に気づいた。
はい。お久しぶりです。ちょっといろいろあって書けなかったんですが、、、。あ、いろいろというのはインフルだったりですね。はい、決してサボっていたわけではないですよ?まだまだ書き足りないですし、ショウたちの旅が終わっていないので、終わるわけにはいきません。さてさて、王の言う「頼み事」とはなんなのか。では次のお話で!




