91話 王国の再建
『オルフェン王がかえってきた』
その知らせは瞬く間に国中に広がった。まぁ、国中と言ってもこの国は王都しかないのだけれど。
王座を奪還したオルフェンはまず第一に国内のいたるところに税率を下げると公表した。「下げるというか、正常にするというか。」とオルフェンは苦笑いしていた。もちろんこの政策に国民は大喜びしている。さらにオルフェンは元王族たちの裁判も行っていた。まぁ、こんなものする必要があるのかとニルティアが半ギレだったけど、それでも一応、人権はあるからな。
そういえば、戦闘後、ファニアが突然倒れた。ファニアの腹には大きな切り傷があった。そのあとファニアの体内に毒素があることが分かってみんな大慌てだった。あのムカデ野郎に噛まれたときに注入されたのだろう。ムカデの毒ってどうするんだっけ、と俺が考えているとノクリスがファニアの周りに大剣を突き刺し、「魔力領域・癒。」と唱えた。その瞬間、ファニアのお腹のあたりにできていた切り傷が塞がり、元気そうにファニアは起き上がった。[一気に体が楽になった。]起き上がったファニアは驚きながらそう言った。いや、俺ら取り巻きのほうが驚いたわ。
王座奪還から3日。俺たちはまだショールット王国にいた。さて、。俺は目の前に倒れているムカデ野郎を見る。大きな顎には水色のうろこがついている。そしてそれはところどころ赤く染まっている。「やはり、大きいですね。」ノクリスがムカデの胴を剣で叩きながら言った。俺もさっきやったけど、わりと硬い。俺の剣では貫くことはおろか、傷一つつけられないだろう。「気持ち悪ー。」ニルティアがムカデ野郎の上を走りながら言った。そう、この化け物、マジででかい。たぶん人間を丸呑みできる。王城の広場の8割ほどの面積をこいつが占めている。「やはり、テイリアスの研究していた魔物と同じような複合型でしょうか。」ノクリスが言った。「その可能性はありそうだな。」シュリードが頷く。「まぁ、解体しないとだよな。」俺が言うとその場の全員がダルそうに頷いた。そりゃめんどくさい。こんなデカ物。みんなめんどくさがっている。ただ一人を除いて。ニルティアだけは楽しそうだ。短剣を突き立てては弾かれて笑っている。ふと顔をあげた時、
[仇は討ったよ。]
一瞬そう聞こえた。気のせいかと思ってファニアの方を見た。ファニアは目を閉じ、片膝を地面について、片手を胸にあてていた。「ファニア、?」俺はつい声をかけてしまった。目を開けたファニアは、俺を見ると膝を浮かして立ち上がった。[昔、これと同じ魔物が5体、竜人族の集落に来たことがあるの。そのとき私は何もできなかった。私はその時、まだ5歳で『竜の加護』を完全には受けられていなかった。少しの時間でたくさんの竜人が食われた。空へ逃げても無駄。追いかけられて空中で食われる。私はその光景をただ座り込んでみることしかできなかった。我に帰った時には、魔物が私を見つけてすぐ近くまで近づいてきてた。その時だった。頭の中で『ガチャッ』って音がして、扉が開く気がしたの。私が魔物に手を伸ばすと、見たことのなかった魔方陣が5つ並んで出現した。私の『竜の加護』が完全に表現された瞬間だった。スッ、と頭に浮かんだ文字を読んだの。アロズン、って。、、そのあとのことはもう予測できるでしょ?私は目覚めた力を使ってすべての魔物を殺した。]ファニアは息を吐いた。[でも、もう少し、もう少しでも早く目覚めていれば、もっと多くの竜人を救えた。]ギリ、とファニアが歯ぎしりする音が聞こえた。「5歳でそこまでできる奴なんて、俺は知らねぇぜ?」率直な感想を言った。ファニアはそれを聞いて一瞬キョトンとした。それからすぐに微笑んだ。[私も知らない。]しばらくして俺とファニアは笑い出した。理由なんてわからない。ファニアは、今生きているこの体は、誰かに生かしてもらったものだと理解している。もちろん俺だってそうだ。ゴブリン草原でアリスに助けてもらえてなかったら、あの時にもう死んでいただろう。ゴブリンと一日中鬼ごっこだなんて今じゃ考えられないけど。俺はどこか懐かしい気持ちになった。そして同時に、会いたくなった。それはもちろん、もう会うことのできない人に。自分がもう少し強ければ、もっと早く手が打てていたら、救えたかもしれない命。失うことを防げたかもしれない命。後悔をしなかった日は無いし、思い出さなかった日もない。ただ、二度と繰り返さないために俺は強くなると決めている。普段は守ってもらう立場だとしても、いつか、『そのとき』がきたときに、何もできない自分はいやだ。そう、強く思う。それは多分、ファニアも、ニルティアも、ノクリスもシュリードも同じだと思う。
「ショウ、解体始めるよー。」ニルティアの元気な声で俺は我に帰った。そして、剣を抜いた。今、目の前に広がる世界を全力で生き抜き、思い出す。それが多分、散っていった大切な仲間、そして大切な家族へ俺ができる最高の弔いだ。
はい、皆さんは今こう思っている。
「この作者投稿頻度マジでおかしい。」と。
まぁ、そうなりますよね。自分もそう思います。かけるときに書いておきたいじゃないですか?ね?ご理解のほどよろしくお願いいたします。まぁ、なんだかんだでファニアの過去も書いたんですけど、どうでしたかね?まぁ、まだショールット王国の話が続きそうですね。では次の話で!




