7話 いざ換金&武器メンテナンス!
協会に着くとアリスはカウンターのほうへ走っていった。「クリスさーん!ゴブリンの耳の換金お願いしまーす!」「あら、アリスちゃん。今日は早いのね。」「えぇ!今日はショウさんがたくさん手伝ってくれましたから!」「へぇ、ただの全ステータス1の最弱者ではないようね。」、刺さるなぁ。アリスはカウンターに行くとドサッと袋の中身を出す。「あら、だいぶたくさん狩ったのね。」なんか語句が怖いな。「えっと、少し数えるわね。、、、21体ね。じゃあ、金を持ってくるから待っていてね。」クリスさんはゴブリンたちの耳をトレイの上において奥のほうへ向かった。「ショウさん!ありがとうございました!出来ればこれからもパーティーを組んでほしいんですけど、、。どうですか?」アリスが俺のほうを向いて言った。「もちろんお願いします。」だって俺一人だったら確実に今日1度は死んでいたからな。「やった!」アリスは素直に喜んでいる。喜んでもらえるのはうれしいけど、俺が役に立つのかなぁ。全ステータス1だぜ?まぁ、スキルがそれなりにそろってきたけど、、まだ弱いな。「アリスさん、ショウさん。こちらが報酬ですねー。ゴブリン21体で2,100ゼニーになります。」21枚のコインがトレイの上に乗っている。「ありがとうございます!」「あ、そうだ。アリスさん、ショウさん。パーティー登録してはどうですか?登録すれば今日の21体の討伐記録がお二人ともに追加されますので、お得ですよ?」クリスさんはいたずらっぽくウィンクをした。「そうですね、お願いします。ショウさん、いいですか?」断る理由はないし、さっき意志表明したばっかりだ。「お願いします。」「はーい、じゃあ、お二人とも冒険者カードを出してくださーい。」俺は胸ポケットから木でできたウッドランクの冒険者カードを取り出し、クリスさんが出したトレイの上に出す。「お願いします。」アリスも俺の冒険者カードの上にウッドランクの冒険者カードを出す。あ、良かったアリスもウッドランクなんだ。あぁ、よかった。これでストーンランクとかだったら俺の立つ瀬がないわ。「じゃあ、登録してきますねー。」再びクリスさんが奥のほうへ行った。すぐに戻ってきたためアリスと何か話すということはなかった。「はい、パーティー登録と討伐記録をつけておきました。アリスさんはあと30体でストーンランクに昇格ですね。ショウさんはあと76体ですね。」あ、はい。「ありがとうございます。」アリスがカードを2枚とも取る。「はい、ショウさん。」「あぁ、ありがとう。」礼を言ってカードを受け取る。「1,100ゼニーはショウさんがもらってください。」「え、でも。」「いいんですよ。ショウさんのほうが討伐数は多いんですし。」アリスは微笑んでくれている。ありがてぇ。正直めちゃくちゃほしかった。「ありがとう。」なるべく声や顔に出ないように、出ないよう、「ショウさん、嬉しそうですね。」「え?」「いえ、少しにやけてたので。」え、えぇぇぇ、、。顔に出ていたか。「まぁ、今日はもう帰りましょうかね。あ、宿に案内しますけど、どうです?」「あ、アリスちゃん、ショウさん剣士なんでしょ?じゃあ武器のメンテナンスしにいかないと。」「あ、そうですね。私は杖だからそんなことはないので忘れていました。じゃあ、マドリフさんのお店に行きますか。」「そうだな。」「じゃあ、また明日も頑張ってね。」クリスさんが親指を立てる。「ありがとうございます。」「頑張ります。」二人で応えて協会を出た。
「マドリフさーん!」店に着いたのでアリスがドアをノックしながらマドリフを呼ぶ。しばらくして店の中で音がしてドアが開く。「あぁ、アリスちゃんとショウか。剣のメンテだな。入ってくれ。」「ありがとう。」店の中に入ると、とても暖かった。「あぁ、少し暑いかもしれねぇ。今新しい剣を作っていたところなんだ。」なるほど、そういうことか。「ショウ、剣をここにおいてくれ。」「あ、はい。」布を外して剣をカウンターに置く。「ふむ、大分上手に使ったじゃねぇか。もっと刃こぼれしていると思ったぜ。」「まぁ、剣技1っていうスキルゲットしたからかな。」「へぇ、やっぱあんた剣士向きだったんだな。俺の目が間違っていなくて安心したぜ。さてと、手入れすっか。リペイグ。」マドリフの手が光り、剣にその手をかざすと剣の刃こぼれが修復されていく。「お、その表情は初めて武器を修復するみてぇだな。あんた、武器のレアリティの話をした時もチンプンカンプンって感じだったよな?」お、痛いところを突いてくるな。もちろん知っているわけないだろう?なんせこの世界に来てから2日目なんだからな!自分でもまさか2日でこんなに進歩するとは思わなかったよ!いつの間にかゴブリンボコせるようになったし!スキルがいい感じのところで来るからなんだかんだ助かってるし!もう俺最強だろ!「最初であったときはゴブリンから逃げ回っていただけでしたけど、こんな短期間で人って変わるものなんですね。驚きです。」アリスが言うと、マドリフがそれに反応する。しなくていいのに。「アリスちゃんそりゃ冗談だろ。ゴブリンから逃げるって?そりゃウッドランクというよりダメダメランクだろ。」マドリフさん、声が笑ってます。俺のことバカにしてるのすぐに分かりますよ、その口調と言葉だと。まぁ、的確過ぎてぐうの音も出ないけど!「ほらよ。手入れ終わったぜ。あんたの剣の使い方が丁寧だったから早く終わった。これからも丁寧に使えよ。、、あ、そうだ。お前さんの鞘、まだ途中だが見ていくか?明日の朝には間に合わせるが。」え?あぁ、そんなことも言っていたなぁ。「あ、見ていきます。アリスさんは先に帰りますか?」アリスは一瞬驚いたような顔になる。「先に帰るか、って、ショウさん宿の位置分かるんですか?」あ、えっと、。「わかりません。」「ですよね、じゃあ先に帰るわけにはいきませんね。」ありがとうございます。「そんじゃついてきな。」マドリフさんは立ち上がって部屋の奥へいき、扉の前に立つと、その扉を開けた。フッと皮や金属のにおいが鼻をくすぐった。「あ、においがきつかったか?」マドリフさんは部屋に入りながら言った。いや、もう遅いですよ。アリスは鼻を両手で抑えている。「これがお前の鞘になるものだ。」そこにはまだ鞘と呼ぶには程遠い鉄の塊と皮のベルトが置いてあった。「お前さん、今『え、まだ全然できてないじゃねぇかよ。』とか思っただろ?」はい、思いました。なんなら今も思っています。「はぁ、これだから鍛冶屋のことをよく知らんやつは、、。」すいませんでしたね!”よく知らんやつ”で!何回も言うけど、言ってはないけど!俺だって一昨日この世界に急に来たんだって!「はぁ、しゃあねぇなぁ。今ここで仕上げてやるよ。そこで見ときな。」アリスはずっと鼻を抑えている。「ふぁい、ふぁかりまふぃた。」アリスは近くにあった椅子に座った。今の言葉はたぶん『はい、わかりました。』、だな。「じゃあ、始めるぞ。エイード。」みるみるうちに鉄の塊の形が整っていき、皮とくっついて形が定まっていく。「あと少しだ。」マドリフさんが舌で唇を舐めている。なんか、職人みたい。って、職人か。完全に俺の知っている漫画の世界の”鞘”になった。俺の剣の色と同じ、黒い鞘だ。「どうだ?できたぞ。剣を出してみろ。」俺は腰から剣を外し、鞘の中に入れる。ぴったり入った。「ほら、ぴったりだろ?」「すげぇ。」思わず声が出た。「そうだろ?すげぇだろ?」マドリフさんは得意げに「ふんっ」と鼻を鳴らした。「すごい綺麗ですね。ここの装飾とか。」アリスが指を刺した先には、細かな装飾が付いていた。「これが熟練の鍛冶師の腕よ。」ここまで天狗になれるのはすごいけど、、まぁ、すごいんだろうなぁ。今の俺じゃあ意見を言うことも許されない立場な気がする。「ありがとうございます。」「あ、お代は2万ゼニーな。」マドリフさんはニヤッと笑う。「え?」「たっか!」アリスが大きな声を出した。「あ、すみません。」大きな声を出したことに気づいたようですぐに引っ込んだ。「冗談だよ。これからも御贔屓に頼むぜ。」あー、よかった。「もちろんです。」「また来ますね!」アリスと一緒にそう答えた。「あんたらいいパーティーになりそうだな。」マドリフさんにそう言われてアリスと目が合う。「まぁ、まだ最弱のパーティーですけどね。」とアリスが返した。ごもっともです。まだ最弱です。それから店を出て、アリスに宿に案内してもらった。しっかり50ゼニーぶっ飛んで行った。
えー、、。とても長い1話になってしまいました。前回のあとがきで「まだアイデアが尽きたわけではありません」などと言ったせいで「あ、こいつ誤魔化そうとしてんな」と思われてしまった時のため、「まだほんとに尽きてないわ!」と示すため力を入れてしまいました。結果、3500字です。なんとも言えませんな。さて、まだまだほんとに続くのでこれからも読んでいただけると幸いです。ブックマーク(嬉しい)・感想(批判的なものでも拝見させていただき、参考にさせて頂きます。)・レビュー・感想(優しい言葉のレビューがめちゃ嬉しい)お待ちしております。もちろん、誤字の報告もあればお願いします。「おいおいてめぇここのこの字間違ってんじゃねぇかよ。」といった感じのコメントでも構いません。しっかり修正させていただきます。あとがきまで長くなってしまい、本当に申し訳ございません、とはあまり思っておりません。ここまで読んでくれたあなたなら!次の話も読んでいただけると信じて!この話でのあとがき”は”ここまでにしておきます。では!!