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83話 失っても

 アンサレスト―一度迷うとそれは死を意味する。アンサレストの特徴は何と言ってもいつでも発生している深い霧だと思う。この霧はおかしいほど濃く、何も見えなくなる時もある。だが、もう道は覚えている。この時間、夜だからこそわかる道のり。月の見える方向に突っ切っていけばいつかたどり着くことができる。まぁ、結構時間がかかるかもしれないけど。そして、近づいてきたことはすぐにわかる。なぜなら、エルフの衛兵たちの気配が少しだけ感じられるようになるからだ。それに、「ショウ、誰かの視線を感じる。」とニルティアが言ってくれることでもわかる。「ルイ、リンフィア。俺だ。」俺は何もないように見える木に向かって声を出した。するとすぐにその何もいないと思っていた木から複数の人影が現れた。「ショウさん、お久しぶりです。」「よくいらっしゃいました。」ルイとリンフィアだ。「あぁ、久しぶりだな。マーレはいるか?」俺の言葉を聞いたルイとリンフィアは一瞬驚いたような顔をして見せた。「え、っと。、いらっしゃると思いますが、、その、、」「大丈夫なのでしょうか。」言葉に詰まったルイの後をリンフィアが繋いだ。まぁ、彼女らなりの気遣いなのだと思う。「あぁ、大丈夫だ。」「でしたら、。」リンフィアが歩き出したのを見て、ほかの衛兵たちもそれについていった。俺もそれに続く。

 「そう、でしたか。」あの日のことをすべて話し終わると、マーレはそれだけ言った。「お姉ちゃん、ちゃんとしたんだね。」ちょうどマーレと一緒にいたティアにも一緒に話をした。「マリガルド様から大体のお話はすでにうかがっていましたが、改めてショウさんから聞くと、どうしても実感してしまうものですね。」マーレは目を閉じながら言った。「でも、ちゃんとショウが来てくれたからよかった。みんなどうしようか迷ってたから。」ティアはそう言った。「ロンビルク山脈、でしたっけ?」俺はこれからの予定も一緒に話していた。「あぁ、ニルティアの故郷がどんなものなのか気になるので見に行くことにしてます。」「そうですか、ではすぐにでもたつのでしょう?」正直そうしたいけど。「できる限り早く出ようとは思っています。」俺まで丁寧語になった。なんだろう、マーレのカリスマ感がそうさせているのだろうか。とりあえず。「怒ってないのか?」聞いてしまった。俺が聞いた瞬間マーレとティアの表情が凍った。やった。これはやってしまった。俺は多分、してはいけないタイミングでこのそれなりにウェイトのある質問をしてしまったな。「そりゃあ、悲しいけど、でも、さ。」ティアが口を開いた。「ショウだから、ショウたちだからお姉ちゃんも本気で守ろうと思えたんじゃ無いかな、って私は思うよ。」「そうね。私もそう思うわ。だからね、ショウさん。そんなに思い詰めなくて良いのよ。テイリアスは大切な存在でした。けどね、みんな心の中で生きてるの。生き続けてるのよ。その人が心の中でも殺さない限りは。」マーレが力強い声で言った。こんなに心が軽くなるとは思わなかった。やはり俺は自分の中でどこか後ろめたいような、自分に責任があるんじゃ無いかって勝手に思ってたんだ。、リーダーとしては失格レベルの失態。でも、みんなが励ましてくれる。失ったショックでキツいはずなのに。そんな中で俺がしおれてたらみんなに示しがつかない。だから。「ありがとう。」「うん。」「いいのよ。ただお話ししただけなのですから。」マーレの部屋から出て木の幹の周りを囲う階段を降りていると、ルイとリンフィアに泊まっていくように支度が進められていると言われ、お言葉に甘えてとめてもらうことにした。どうせ野宿だったし。

 「ねぇ、ショウ。」マーレが以前ここに来たときに泊めてもらったのと同じ部屋をまた貸してくれた。3つの部屋は埋まらないが。俺が自分の部屋に戻って寝ようとしたとき、ニルティアに引き留められた。「なんか、寝れる気がしないんだけど。」そう続けたニルティアは、誰もいない部屋の方を見た。「思い出すか?」「嫌でも思い出しちゃうよね。」たしかに、俺もこの部屋に案内されたときにあのときの皆の顔が思い浮かんだ。思い出す度に心が蝕まれるような感覚に陥るのも事実だ。「明日は早いぞ。ここで寝とかないと次いつしっかり睡眠が取れるか分からないからな。」少し強めに言ってしまったことを俺は言ってから気付いて後悔した。「そう、だね。」ニルティアは自分の部屋のドアノブに手をかけた。「おやすみ、ショウ。」「あぁ、しっかり休めよ。俺は剣の手入れを準備するよ。」「そっか。じゃあ起きたら手伝うね。」俺は部屋にニルティアが入るまで見送った。そして、「出てこいよ。気配が消し切れてねぇよ。」と外につながるドアに向かって言った。

 ユラッとドアを開けて入ってきた来客者たちは、魔方陣を展開していた。「お前たちのせいでティア様の姉様が死んだんだ。死んで詫びるのが筋だろう?」リーダー的な感じを醸し出しているご老人が意味分からん言葉を並べてきた。「もう一人は寝ているはずだ。こいつをさっさとやって寝てる間に殺すぞ。」いや、バカじゃ無いの?「ニルティア、いいよ。」俺がそう言うと、後ろの方の人たちがバタッと倒れた。「なっ!」一瞬ご老人が後ろを向いた隙に、俺は一気に距離を詰める、けどちょっと勢いが足りないかもしれない。「凶刃の舞・酷・無神突き。」一気に速度が上がった。もちろん、剣先がご老人の杖に当たるか否かのところで俺は意図的に止まった。「ひっ、。」いや、そんなビビるなら最初からしてくんなよな。覚悟が出来てないじゃねぇか。人を殺るなら殺られる覚悟がねぇと。「さて、」「残ったのはあなただけだけど、まだやる?」俺の言葉を後方の集団を全員のばしたニルティアが繋いだ。実はこの襲撃を俺は予測していた。だからこそもし少しでも気配があったときはお互いに隠語で知らせ合おうと打ち合わせしていた。『剣の手入れを準備』と言うのが敵の存在を知らせる言葉だ。一瞬聞くとただ手入れをするのかと思うけど、準備という言葉があることによって実は意味の分からない言葉になっている。そして、『起きたら手伝う』というニルティアの返答には、文脈からそうしたのだろうが、『理解しましたよ。』という意味が含まれていた。その証拠に、部屋に入る前のニルティアの耳はピンと立っていた。「いや、、、魔が差しただけなんだ!許してくれ!」はぁ、「その『魔が差した』で俺たちは下手すれば死んでたのか?洒落にならねぇよ。」「ショウさん!」ルイとリンフィアが入ってきた。「え?」二人とも今の状況の把握に少し手こずっていた。まぁなんせ、部屋の中に10人のびてるエルフが居るんだからな。「えっと、これは、、襲撃だった、と言う認識で合っていますか?」俺はご老人から目を離さずに頷いた。「そうですか、。」ルイが魔方陣を展開した。ご老人の腕が金色の縄で一瞬にして縛られた。「襲撃は村の掟で禁止されていることぐらい、知っていますよね。」リンフィアが近づいてきた。そして綺麗に頭を下げた。「申し訳ありません。以前にも同じようなことがあったにも関わらず、未然に防ぐことが出来ませんでした。」いや、「死んでないから大丈夫。」ニルティアが先に答えた。まぁ、たしかにそうだな。「あぁ、ニルティアの言うとおりだ。だからあまり気にしなくて良い。こちらこそ急に押しかけたのに泊めてもらうまでしてくれたんだ。これくらいでどうと言うことはないし、対応できる。」最後の一言はご老人への言葉でもあった。正直楽勝だった。

 しっかりのびてるエルフたちも連行され、俺の周囲に危険は無くなった。「寝るか。」「そうだね。」今度こそ部屋に戻って寝た。

 「では、また今度。」明朝、村の入り口で俺とニルティアはマーレにそう言った。「ごめんなさいね、族長最近寝込んでて。次来たときにはもう平気になってると思います。私たちにはもうたくさんの出会いと別れがありましたから。慣れているとは言いませんし言いたくもありませんが、無常と言うのは心の底から分かっているつもりです。もちろん大切な家族を失ったのはショックでしたが、ショウさんたちがちゃんと前を向いているのを見れば、テイリアスたちも何も言わないでしょう。どうかお気を付けて。」マーレは緩やかに頭を下げた。「ありがとうございます。」俺は一礼して村から出た。ロンビルク山脈はもうすぐだ。

はーい。書けましたねー。割とすぐ書いてますよこの文字数。さて、、いよいよ次はロンビルク山脈に突入します!次回、新キャラが登場する、、、かも?では次の話で!

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