82話 出会い、そして再会
「見えてきたぜー。」俺たちは通りすがりの王都へ行く商人の馬車を護衛する代わりに乗せてもらった。「やっぱり大きいね。」ニルティアが荷台から頭を出して見る。あれ、さっきまで爆睡してなかったか?「シュリードたちはもう任務で遠くに行ったらしいから、今居るのは第二、第三師団かな。」「じゃあノクリスもいるのかな?」「いるとは思うから探してみようか。」俺の言葉にニルティアは頷いた。まぁ、この旅に期限なんてものはないし、どこかでゆっくりする、なんてことも全然ありなんだよな。「お前さんたち、どこの出身なんよ?」前のほうから声がした。この馬車の所有者で商人の、フールさんだ。割と長いこと乗せてもらったから、夜ご飯のときとかに結構話した。フールさんの仕事柄、いろいろな地域を飛び回っているから、いろんな情報を教えてくれた。シュリードたちが遠征に行っていることも聞いたし、もちろん、ロンビルク山脈のことも教えてもらった。なんでも、獣人族の子供が、竜人族の子供を殴ってしまったらしく、それが原因でもめているんだとか。なんだそれぐらいかー、と思っただろう。最初は俺もそう思った。俺はおとといの夜の会話を思い出す。俺はさっきの考えから、「じゃあ割と早く収まりそうですね。」とフールさんに言った。しかしそれは違うらしい。「殴られた竜人族の子供はその衝撃で転んで頭を打ち、声帯がマヒし、声が出せなくなった。それにその子、族長の一人娘だったんだ。」さらに、「この争い、実はもう10年以上続いているんだ。」と言った。「あ、たしかに私が小さいころっていうか進化する前は、竜人族と竜族の方には絶対に行くな、いったら殺されるぞ。ってよく言われてたな。」ニルティアが思い出したように言った。まぁ、おそらくその子だな。 年もあう。「まぁ、人類には敵対しないとは思うが、、いや、嘘をついた。奴隷が始まってから、明らかに敵対されている。奴隷の開放が行われたけど、いまだに帰ってきていない者もいるようだからな。十分気をつけろよ。」、、こんな感じだった気がする。そうこうしているうちに王都の目の前まで来た。フールさんは手続きがあると言ったから、その場で別れた。冒険者カードを門番に見せてから中に入った。
「んー、どこにもいなーい!」ニルティアが両腕を突き上げた。どれくらい時間が経っただろうか。たぶん3時間は探した。けれどノクリスの姿はどこにもなかった。第二師団の駐屯地へも行ってみたが、どこかへ出かけたとしか教えてもらえなかった。とゆうか情報がなかった。手当たり次第に探したが、わからないな。「諦めるか?」俺がニルティアに言ったとき、ニルティアが耳を立てた。「待って。何だろうこの音。」ニルティアは首をひねって斜め後ろを見た。「ピアノ、かな。でも、なんか響き方が違う。」ニルティアがそう言いながら小走りで音のするほうへ行こうとしたのを見て、俺も動き出した。
「ここ。」ニルティアの足が止まった。「これは、、。」俺は建物を見上げながら考えた。「教会、みたいだな。」俺は思ったことを言った。教会と言ってもキリスト教の十字架があるわけではないから、少しわかりにくくはあるけど。雰囲気的に、そして建物の中から聞こえてくる音色からそう感じた。ピアノに似た音。たぶんパイプオルガンだ。この世界にそんなものがあるとは思ってなかったけど。文明的にはいけそうではあるか。冒険者カードと武器の存在で金属を加工できることは分かってるし。なんか、。にルティアも同じことを考えていたらしく、目があった。「だよな。」ニルティアが頷いたのを見てから俺は扉をゆっくり開けた。
建物の中は少し暗くなっていて、それでいて涼しかった。「ショウ、あそこ。」ニルティアが指を刺した。その先には、、「ノクリス?」、、ニルティアにセリフをとられた。「あら?」ノクリスが演奏をやめたとたん、なんだか空間がさみしいものになってしまった。「お久しぶりです。と言うほどでもないでしょうか。」ノクリスは立ち上がって中央の階段から降りて来た。「わざわざ王都まで来てどうかされたのですか?」ノクリスが首をかしげながら聞いてきた。そう言われてみればたしかに。なんで来たんだ?俺はニルティアに助けを求めるように視線を向けた。「え?いや。んー、なんでだろ。」ニルティアもノクリスと同じように首をかしげた。いや、そうなったらもうお終いなんですよ。誰も理由分からないじゃん。発端はニルティアの「なんか音がする。」だったし。んー。あ、。「商人から聞いたんだけどさ。」俺はなんとか話題を見つけることに成功した。「第一師団が隣国に行ってるって聞いたんだが?」ノクリスの首の傾きが無くなった。「えぇ。それがどうかしましたか?」「いや、途中でロンビルク山脈を通るんなら、」「獣人族と竜人族が喧嘩してるから気をつけて、って話でしょうか?」おう、察しが良い。「私は獣人族ですからね。」心を読まれたな。「確かにそうだったな。」俺はニルティアを見る。「なっ、私が知らなかったからって、そんな目で見なくて良いじゃん?」ニルティアの頬が赤く染まった。笑。素直なのは良いことですよ。大人になったら社会の闇を知ることになってみんな曲がっていくんだから。「ショウ?なんか、暗い顔してるよ?」はっ、。我に返った。「とりあえず、今は時間を持て余している、と言ったところでしょうかね。お互いに。」ノクリスよ、言葉を選んだな。言ってしまえばお互い暇と言うことだ。まぁ、確かに暇ですけど。「ニルティアの故郷に行こうと思ってるんだ。」俺はそう言った。「それでしたら、第一師団と進路が被りますね。そもそも獣人族の集落が、ロンビルク山脈に存在しているので。私はさすがに別の任務があるので同行することはできませんが、どうかお気を付けて。」ノクリスは丁寧にお辞儀した。「あぁ、ありがとう。」礼を言ってニルティアを見て念を送る。俺の送った念を受け取ってくれたのか、ニルティアはノクリスにお辞儀した。「また来ます。そのときは集落がどんな感じだったか報告します!」ニルティアにしては珍しく丁寧語だった。俺たちはノクリスがまたパイプオルガンを弾き始めるまで見てから教会を出て、そのまま王都も出た。
「勢いでここまで出てきちゃったけど、これからどうするの?」王都からまあまあ離れたところに来た時、ニルティアが聞いてきた。「プランはあるけど、、。」俺は言葉を濁した。「どういうこと?」「この先って、アンサレストがあるだろ?」俺の意図をくみ取ったらしい。ニルティアの表情がゆがんだ。「まさか、エルフの森?」ニルティアの言いたいことはわかる。でも、「いつかは行かなきゃ、だろ?」自然と諭すような口調になった。「そう、だね。」ニルティアは不承不承といった感じで頷いてくれた。そりゃ、俺にだって何とも言えない感情はある。でも、行かないと、向き合わないトいけないと思う自分もいる。結局、俺は行くしかないという結論に至った。もしかしたらいつかみたいに刺されるかもしれないけど、それはそれで仕方ないことだと思う。俺の実力不足で死んでいったわけなのだから。「行こうか。」いつの間にか目の前に現れていたアンサレストが、俺の心をなぜか揺さぶった。俺は森に入った。
お久しゅうございますね。なんででしょう、なぜか何もしていない時期にPVが爆上がりするという怪奇現象が起きていますが、私はとてもうれしいです。いろんな方に読んでいただけているということが、とても嬉しいです!ブックマークの登録数も増えていて一層やる気が出ました。どんどん書いていきますね。時間も取れそうなので。さて、次回はエルフの村編になるかと思います!では次の話で!




