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79話 マリガルドの双剣

 「マリガルド様、なんだか魔力の濃度がおかしいです。もしかすると、敵襲かも。」お、アリスちゃんよく気づいたね、でも。「もう遅かったようだね。」外から叫び声。甲高い声から女性のものと推定。私は、、、まずはこの子たちを守る。「テイリアス、手伝って。」「はい。」となりにテイリアスが来てくれる。全く、いい顔してる。「あ、お邪魔しまーす。」そいつは何の前触れもなく入ってきた。まるで仲間かのように。そのせいで反応が遅れた。反応できたのは、そいつからほんの少し殺気を感じた時だった。『全員を逃がせ!』私の全細胞がそう叫んだ。「逃げて!」脊髄反射で言ったときには遅かった。くそ。「あぅ、、。」なんとかそいつのわき腹にけりを入れられた。その勢いでテントから出る。

 これはまずい。直感でそう思った。死人が多すぎる。この王国でのナンバー()()()の集団が、ここまで死ぬなんて。「あなた、強いね。」そいつはそれだけ言ってテントの中へ戻ろうとした。まずい。魔眼解放。「行かせない。月光・光導。」そいつは突然横から現れた私に驚いたのか一瞬ひるんだ。ここしかない。斬撃をぶち込む。「おっと、危ない。」くっそかわされた。「面白そうですね。」っ、、この声、、。背後に何かの気配がした。とっさに両手を地面について回し蹴りを背後にお見舞いする。感触あり。だったらすぐに振り返って肘鉄。「良い肘です。が。」殺気。出しかけた肘を引っ込めた。「これを避けますか、、。」少し後ろに飛ぶ。やっぱこいつか。威圧感増加。「クルーシャ、とか言ったか?何をしに来た?」表情に変化は無い。「遊びに来ました。」、、ふざけてやがる。「では。」いや、見えてんだよ。速いつもりだろうけど、これくらいなら見える。右から回ってきてるな。月光・湖鏡。やっぱ全部受け流してくるか。くっそ。連撃を受け流しきったクルーシャに一瞬隙が出来た。逃さずに蹴りを入れる。ちょっと遠くにクルーシャが飛んでいったのを見て後ろを振り返る。勝手に足が動いた。「アリス!」右腕を伸ばす、と激痛が走った。「うぐ、、。」「マリガルド様!」右腕に剣が刺さっている。「消えろ!」最大限の圧を込めた。身軽野郎の動きが止まった気がした。剣を刺されたことで判断力が鈍っていた。ぐぁ、、。脇腹を蹴られ、「テイリアス!逃がせ!」なんとか飛ばされながら叫んd、ゴン。変な音が、した。う、なんだ、視界が、。テイリアスが、空を、、飛んでいる。テイリアス、後ろにいるぞ、。、、、墜ちて、行く。テイリアス、必ずあいつは、殺すから、、。アリスとアイシャも私が飛んだ直後にテントの中に蹴られていた。おそらく、、。ショウ、ごめん。私、守れなかった。あんだけかっこつけといて、。怒る、よね。ごめ、ん。なんだろ、、大きな、鹿?幻覚、かな。もう、ほぼ見えなくなってきた。狼も居るみたいだな。お迎え、かな。私はゆっくり目を閉じた。

 「~!~ド!~ガルド!マリガルド!!」う、。まぶしい、。、、、ショウ、、とニルティアちゃん。あれ?私、なんで。う、頭痛い。右腕、、治ってる?たしかに刺されたはず。右腕は何事も無かったかのように動く。そのまま何事も無かったのならよかった。でも、「ショ、、、ウ、、?なんで、、、泣いてるの?、、」ニルティアちゃんの声。ショウ、泣いてるんだ。私のせいで。私がしくじったせいで。ごめん、。動けないでいるとニルティアちゃんが起きたことを説明していた。話し終わったとき、「本当に申し訳ない。」頭を下げた。「まだ負けたわけじゃない。」ショウは言ってくれた。「ちゃんと仇は討ててる。俺は討てなかったけど。」仇討ち、か。「そっか。」「ノクリスが他の生存者を探してるけど、、。」それは、たぶん「全滅だと思う。」「ショウ、これからどうするの?」ニルティアちゃんが言った。「とりあえずノクリスと合流しようと思う。」ショウはそういいながら立ち上がった。強いな、ショウは。私も急いで立ち上がった。合流したとき、ノクリスは無言だったけど、どこか悲しそうな雰囲気があった。

 「私はこれから第一師団に報告に行こうと思います。先ほど剣に手紙を括り付けて飛ばしましたが、念のため。」ノクリスはそう言った。みんな、切り替えが速い。でも、切り替えるべきなんだ。今居るのは戦場。休憩場所、あるいは安全地帯ではない。「ごめん。」ノクリスに頭を下げた。これは他の師団の者を守れなかったことに対する謝罪。「日常が壊れるときは一瞬です。その一瞬は後から痛みに変わります。今は気にしない方がいいと思います。それに、いつかこうなるかもしれないということは常に覚悟しておかねばならないことです。」やっぱり、強い。「生存者は?」雰囲気が気まずくなったのかショウが聞くとノクリスは首を横に降った。「残念だけど、全滅よ。」予想通りではある。「ねぇ、ショウ、あれってまさか、」ニルティアの視線の先をショウが追った。、、テイリアスの近接戦闘のための短剣。「、、、。ニルティア、もらってあげて。」ショウが私の気持ちも代弁した。「うん。」ニルティアは剣のところまで行くとしゃがみ、「使わせてもらうね。」と言って拾い上げた。「マリガルド、行くか?」私は首を横に振った。「私は、行かなきゃ。」あいつを殺しに。テイリアスとの最後の約束を果たしに行かないと。それに、ショウたちと一緒に居ると怒りを忘れそうで怖い。ショウたちは優しいから気にしないでと言ってくれるに違いない。でも、私にはそれが痛い。優しすぎるよ。私には、つらい方がいい。物心ついたときから「お前は呪いの子だ。」と周囲に言われ育ってきた。10歳の誕生日にゼニーの入った袋だけ渡されて「外の世界に出て一人前になって戻ってこい。」と当時の族長に言われて村を出た。人類の街に着いてからいろんな人に助けてもらった。武具屋の店主には片手剣しか買えなかった私におまけとして1本渡してくれた。これが私の月光と宵闇との出会い。その後もいろいろあった。でも、ショウたちがこれまで出会った人類の中で1番居心地が良かった。それを、奪われた。、許さない。気付くと私はウォテシィの門へつながる橋の入り口まで来ていた。

 ゴブリン、ざっと250体。冒険者の遺体もある。この人たちにも家族や友人、大切な人がいただろう。奪われるときの虚無感。もちろん私たちは何かから何かを奪って生活している。それが逆転されようと文句は言えない。でも、そうとは分かっていてもどうしようも無いときがある。力を貸して、宵闇。普段は銀色の刀身をした剣が、漆黒の刀身をして鞘から出てくる。応えてくれた。月光はいつも通り光っている。この双剣の合わせ技は強力。だけど宵闇は私が負の感情に支配されないと応えてくれない。だから、ショウたちと別行動をした。「さぁ、こいよ屑ども。」ゴブリンたちが一斉に飛びかかってきた。遅い、。「宵闇・宵入り。」周囲にだるさと眠気を付与するソードスキル。デバフ。「宵闇・夜霧。」気配はなんとなくあるが、姿を捉えることはできない。背後から攻撃し続けることが出来る。50体。あと200。宵闇、月光、応えて。「夜更けの舞。」夜なら威力が5倍になるソードスキル。昼間でも曇りなら2倍になる。暗ければ宵闇が強化され、月光があれば月光が強化される。私の体力が切れるまで剣が振れる。舞うように敵を斬っていく。久しぶりに応えてくれた。『殺す。』この文字しか私の頭の中にはない。他の言葉は要らない。死ね。ただそれだけ。テイリアス。帰ってきて。「帰ってきてよ!」一気に剣が振れた。負の感情になればなるほど強化される宵闇。最大効率。一気にウォテシィの中に入る。後ろをふと見ると、大量のゴブリンたちが死んでいた。

 蜘蛛野郎。テイリアスの研究してた魔物。全部滅ぼしてやる。「止まれ!!」最大限の圧。全ての魔物が動きを止めた。「じっとしてろ。綺麗に切れない。」宵闇と月光で次々に切断していく。城の前まで来た。やっぱり後ろには魔物の死体の山。割と壮観だな、と思ってしまう。私はドアを開け、中に入った。ここに居る気がした。

 広間。でも、ここじゃない。直感に頼って城内を移動する。敵には会わなかった。、、ここか。王間。ドアを開けると玉座に座ったクルーシャがいた。「おや?お久しぶりですね。、とゆうか、生きておられたんですか。」私の脳内で何かが壊れた。「殺す。」気付くと勝手に体が動いていた。回転しながらクルーシャに斬撃を喰らわすと、長剣が見えた。来た。でも、受け流したら負けなんだよな。この宵闇は。「な、、。」「へぇ、お前、そんな声出るんだ。」()()()()()()()()()()()()()()()()()()を私は月光をぶつけて折った。宵闇は、全ての物質に対して破壊工作をする。それはゴブリンだろうと何だろうとそう。触れたらお終い。そこの部位は細胞が死ぬか壊れる。絶対このまま殺せるけど、。気が済まない。「宵闇・宵の陣(ハイドレドス)。月光・月光の癒し(アミス)。」簡単に言えば細切りと即修復。ハイドレドスは無限斬りそしてハイドレドスで斬った瞬間アミスで傷を修復。アミスは普通、自分自身に使うものだが、対象を変えることくらいは出来る。もう長く使っているから。そんなスキルだから何回でも斬れる。「うぐ、、あ、、がぁ、、。」クルーシャがうめき声を上げる。だがアミスによって即時修復されている。そして修復されたところをハイドレドスで切り刻む。しばらくしてクルーシャが気絶していることに気付いた。宵闇は銀色の刀身に戻っていた。私はクルーシャに馬乗りになって月光を首と腹に交互に刺した。何回も、何回も、飽きるまでやろうと思った。でも、止まれない。こいつに対する怒りが、恨みが、憎しみが、収まることは無かった。

 「マリガルド!!」はっとした。目の前にショウが居た。「ショ、ウ?」ショウは私の肩を掴んでいた。「大丈夫か?」とても心配そう。「大丈夫。」そう言って私は自分の下に居る首がちぎれ腹がズタボロのクルーシャを見た。死んでいる。いつ死んだのかは分からない。ショウ、怖がってるかな。こんな、狂気の沙汰だから。「マリガルド、終わったんだ。」「はい。終わりました。敵は居ません。」ノクリス。耳が立って金色の目が私を見ている。「すごい数の魔物。」シュリードもいる。「私、。」なんとか声を出せた。「伝説級ですね。」シュリードは膝をついた。「お疲れ様でした。」ノクリスも膝をついた。終わり、か。テイリアスは、帰ってきてくれない。でも、この先クルーシャのせいで死ぬかもしれない人はゼロになった。それを今回の私の成果として収めればいい。私はなんとか理由を付けて納得しようとした。「マリガルド、大丈夫。マリガルドのおかげでテイリアスもゆっくりできるんだから。」そう言ったショウの方を見ると、その背後にテイリアスが居るように見えた。笑っている。アリスも、アイシャも。みんな笑っていた。わらって、。剣が手から落ちた。そして、、いつぶりだろう、。私は泣いた。

はい。書き終わりましたね。マリガルドの死闘。いかがでしたでしょうか?途中で感情の高ぶりによって日本語が少しおかしくなるマリガルドを出したかったんですけどちょっとミスってるかもですね。まぁ、ウォテシィ攻略終結しましたね。次は少しゆっくり出来るかなと思ってます。次の話も読んでくださいね!

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