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78話 無駄にはしない

 どれくらいの時間が経っただろうか。俺はずっと二人の名前を呼び続けていた。ほんの少し、ニルティアのまぶたが動いたとき、俺は息をのんだ。「、、、ん、、。」ニルティアと目が合った。「ショ、、、ウ、、?なんで、、、泣いてるの?、、」ニルティアは飛び起きた。「みんなは?!」ニルティアは俺の顔を見て理解したようだった。そして隣でまだ寝ているマリガルドを見て、「みんなが逃がしてくれたんだ。」と言った。

 ニルティアの記憶を話してもらった。まず、魔法陣が第二師団のキャンプ地の中心に出現し、アングシャが出てきた。みんなで交戦していると、パテースがクルーシャを連れてきた。しばらくして勝機がないと悟ったテイリアスが一人でも多く逃がすことにした。機動力があるマリガルドとニルティアを逃がすことはすぐに決まった。しかし、それをアングシャたちが見逃すわけがなく、おとりになって翼を広げたテイリアスは空でクルーシャに心臓を刺された。アリスとアイシャはアングシャに狙われ、マリガルドが身代わりになってアングシャの一撃を受け、腕に傷を負った。そしてマリガルドはアングシャに蹴り飛ばされ、木にぶつかり気絶した。その後二人ともアングシャにテントの中へ蹴り飛ばされ、その中で殺された。しかしそこで白い狼と大きな鹿がニルティアたちを背中に乗せて走って逃げた。テイリアスたちに手を焼いていたクルーシャたちはそれを追跡出来なかった。

 話し終わった時、ニルティアは俺に頭を下げた。そして嗚咽混じりに言った。「ごめんなさい。」「ニルティアが謝ることじゃない。」話し終わったとき、マリガルドが隣で体を起こした。

 マリガルドの腕の傷は治っていた。「本当に申し訳ない。」マリガルドも頭を下げた。「まだ負けたわけじゃない。」俺は励ますための言葉を発した。でも今の言葉は俺に向けたものでもある。まだ負けてない。三人が繋いでくれたんだ。それを無駄にしてはテイリアスたちに顔向け出来なくなる。それに、「ちゃんと仇は討ててる。俺は討てなかったけど。」「そっか。」マリガルドは力なく言った。「ノクリスが他の生存者を探してるけど、、。」「全滅だと思う。」やはりそうだよな。「ショウ、これからどうするの?」ニルティアが言った。どうする、か。普段だったらテイリアスやアイシャに意見を聞いてるけど、もう出来ない。「とりあえずノクリスと合流しようと思う。」俺はそういいながら立ち上がった。二人ともすぐに立ち上がったから早く行動できた。森から出てテントの中を見ていたノクリスに声をかけると無言でとても驚いていた。

 「私はこれから第一師団に報告に行こうと思います。先ほど剣に手紙を括り付けて飛ばしましたが、念のため。」なるほど、だから剣が周りにないのに耳が立っているのか。「ごめん。」マリガルドはノクリスに頭を下げた。「日常が壊れるときは一瞬です。その一瞬は後から痛みに変わります。今は気にしない方がいいと思います。それに、いつかこうなるかもしれないということは常に覚悟しておかねばならないことです。」「生存者は?」俺が聞くとノクリスは首を横に降った。「残念だけど、全滅よ。」まぁ、そうだなろうな。「ねぇ、ショウ、あれってまさか、」ニルティアの視線の先を俺も見た。、、テイリアスの近接戦闘のための短剣が落ちていた。「、、、。ニルティア、もらってあげて。」気づくと俺はそんなことを言っていた。「うん。」ニルティアは剣のところまで行くとしゃがみ、「使わせてもらうね。」と言って拾い上げた。「マリガルド、行くか?」俺が聞くとマリガルドは首を横に振った。「私は、行かなきゃ。」それだけ言ってマリガルドは走っていってしまった。俺が声を出す前にその姿は見えなくなった。「あ、、。」ニルティアはかろうじて声になった。「大丈夫だと思いますよ。」ノクリスが言った。なんで大丈夫なのかはよくわからなかったが、マリガルドを追いかけるなんてことはできそうになかった。どこに行くのかなんてわからないから。俺とニルティアはノクリスについていくことにした。

 「第二師団長マーキュレン・ノクリス、ご報告に参りました。シュリード様。」第一師団のキャンプ地に来て、門番にノクリスが顔を見せると、すぐに通してくれた。「手紙は読んだ。、、どういう感情を抱いている?」シュリードはテントの中で椅子に座って地図に線を引いていた。「今すぐ、敵全員を切り刻みたい気分です。」ノクリスとは思えない言葉が聞こえてきた。「そうか、、。第二師団での惨劇を受けて今日の作戦は中止、各自身の安全を確保させるようにしている。」「そうですか。」「行くか?」シュリードは立ち上がって机の上に置いていた剣を持った。「戦闘の必要はないと思います。もちろん、今から向かいますが。」??俺の頭は『?』でいっぱいになった。ノクリスの方を見ると、なんだか遠くを見ているような感じがした。

 ノクリスの後をついていくと、俺はもう言葉が出なかった。冒険者が多く殺されたウォテシィの正面には、冒険者の遺体の数よりも圧倒的にゴブリンの死体が多かった。「なっ、、。」シュリードも驚いている。誰がこんなことを出来たのか。軽く数えても500は死んでいる。一体のゴブリンの死体を見た。切り口がきれいすぎる。こんな斬り方、剣の扱いにたけている者しかできない。まさか。俺はウォテシィの門に向かって走った。「ショウ?!」ニルティアが走ってついてくる音が聞こえる。だんだん門が見えてきた。やっぱり、門が少し開いている。つまり、、誰かが中に入った。俺は迷わず門の向こう側に行った。

 ウォテシィの中に入ると、俺はさらに驚いた。道のいたるところにがガデルを襲った謎の魔物が大量に死んでいる。さっき外で見たゴブリンたちと同じ死に方。綺麗にさまざまな部位が切断されて絶命している。「これは、、。」あとから入ってきたシュリードたちも驚いたらしく、動きが止まった。「ショウ、これって、、どういうこと?」ニルティアの震えた声が聞こえた。正直、その質問は俺もしたい。まぁ、なんとなくはわかるけど。この数の魔物、それもそれなりに強いはずの種を手玉にとれる剣を使う者。でも、、ちょっと嫌な予感がする。「急ごう。」俺は周りに訴え、全員で走り出した。

 進めば進むほど死んだ魔物が多くなってくる。「これ、門の外からカウントしたら軽く1000はいると思うんだけど、、。」ニルティアが走りながら言ってきた。たしかに、この数はおかしい。俺たちは大通りを駆け抜け、ウォテシィの城のすぐ前まで来ていた。そのとき、一瞬だけ城の中から知った気配がした。ニルティアたちもそれを認識したらしく、全員と目があった。「行こう。」俺は城の大きな扉を押して開け、薄暗く不気味な雰囲気をしている空間に足を踏み入れた。

 「う、、。」思わず声が出た。何だこのにおい、。魔物たちの血のにおいか?えげつないにおいがする。でも、この広間にはいない。このそこまで大きくない城の中でもあの人がその能力を存分に発揮できる空間といえば、、、。「ノクリス、シュリード、王間がどこかわかるか?」ノクリスが反応した。「それならこっちです。」俺はノクリスの後を走る。ノクリスは走りながら剣を出現させた。戦闘態勢・索敵態勢に入った。「少しだけ音がしますね。」「そんなの聞こえるのか?」「ハイラビットは普通のウサギよりも相当耳がいいんですよ。」俺が聞くとノクリスは振り返らずに言った。「あそこです。」ノクリスはそう言いながら半端に会いた扉を指さした。俺はそのドアに体当たりしながら剣を抜き、部屋に入った瞬間受け身をとって一瞬で起き上がった。うん、我ながらきれいだったと思う。「な、、。」ノクリスの声がした方を見ると、ノクリスの金色の目が見開かれ、信じられない、というような表情をしていた。俺はノクリスの視線の先を追う。、、。俺は自分の目を疑った。ザシュ、、ザシュ、ザシュ、ザシュ、、。何とも言えない音が聞こえた。だが、その人が何をしているのかは一瞬で分かった。マリガルドがクルーシャに馬乗りになり、腹や首を何回も刺していた。

やっぱり暗い話が続いちゃいますよねー、。まぁ、そろそろ戻したいなとは思ってるんですけど、ウドルフに戻ったら戻ったでやばそうなんですよね、、、。まぁ、まずは次の話ですね。クルーシャを何回も刺していたマリガルド、、。何があったのかは次の話で!次回はマリガルド目線で始まると思います!お楽しみに!

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