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71話 作戦前日、そして、悲劇の前日

 真っ白だった視界のぼやけが無くなってきた。血生臭い匂いが風に運ばれて鼻腔をくすぐった。「あのときもこんな匂いがしてたな。」隣にいたテイリアスに言うと、少し口元が歪んだ。「そう、だね。」「やっぱりこの感覚慣れない、、。」ニルティアが毛が逆立っている尻尾を撫でながら近づいてきた。「まぁ、今回のは大規模な魔法でしたからね、そっちのケアが手薄だったのかもしれません。私も少し酔ったので。」アリスも来た。その後ろには何事も無かったかのようにケロッとしているアイシャがいる。「全員そろった、な?」俺が少し言葉に詰まったのは、ニルティアが俺の脇腹を突いたからだ。「いる。」ニルティアの口から発せられた言葉はそれだけだったが、それが何を表しているのかはすぐに分かった。空間魔法の終わり―つまり酔った人間が動きにくい一定期間のデバフ状態―を狙って襲う。さっきまでの移動体系の中での襲撃に比べると成功率は跳ね上がる。周りには、少し酔っているのか座っている若い男性の冒険者と、それを心配そうに見つめるおそらくパーティーのメンバーだろう、3人いる。「うわぁぁ!」後ろから叫び声が聞こえて振り返ると、若い男性がゴブリンに襲われていた。腰が抜けているようで、剣を振り回しているが全く当たる気配が無い。パニック状態、だな。「助けてくる!」ニルティアが飛び出した。全く、俺も行くか。「大丈夫ですかー?!」ニルティアが近づいていく。「早くなんとかしてくれ!死にたくないんだ!」男性が叫ぶ。「任せて!」ニルティアが男性とゴブリンの間に入った瞬間だった。、男のオーラが変わった。ニルティアの尻尾が逆立つ。こいつ、、さっきまでと目つきが違う、、、!「ニルティア飛べ!」「え?」ニルティアも男の異変に気付いたのか、俺の声に驚いたのか振り向く。しかし遅かった。「もらった。」そう言うと男は信じられない速度で飛び起き、ニルティアに向かって剣先を向け、一直線に『ダッシュ』した。ダメだ。スキルの効果で上昇した速度は、5mなんて距離は1mも無いように感じられる距離だっただろう。間に合わない。ただ一人を除いて。『バレるとめんどくさいの。ショウたちが危なくなったら介入するけど、ほかの人たちは王都の責任だから、何もしないわ。』俺の頭の中で聞き覚えのある誰かの声が響く。誰の声だ?「月光・月華一行。」どこからか声が聞こえた次の瞬間、俺の横を何かが通った気がした。ギィィィン、、、。「全く、、フラグ回収しに来たわけじゃ無いんだから、、、。」「、、マリガルドさん?」ニルティアが声を出した。男の剣は、ニルティアからちょっと離れたところでマリガルドの双剣によってとめられていた。「マリガルドだと?」男が呟く。その顔には明らかに恐怖が出ていた。「おや?知ってるの?なら、」マリガルドはそこで言葉をとめた。「話は早いか。」次に発せられた言葉には圧が込められていたようで、「かはっ。」男はその言葉を聞いた瞬間に失神した。「あ、やっちゃった。」マリガルドの声がいつもの声に戻った。いや、いやいやいやいやいや。やっちゃった、じゃねぇんだよ。「あ、、、あ、ありがとうございます。」ニルティアがなんとかお礼の言葉を絞り出した。「全く、人助けするのは良いことだけど、ちゃんとショウに相談しなよ?」マリガルドは優しく微笑んでニルティアの頭を撫でた。そして、「大丈夫。君は強いから。」とニルティアを励ました。「何事だ!」あ、シュリード。シュリードは慌てた様子で来たが、マリガルドを見た瞬間跪いて敬意を示す体勢を取った。「マリガルド様、お久しぶりです。お陰様でアルストリー家は今も続いております。」「ならよかった。それじゃあ、こいつのこと任せて良い?」マリガルドの視線が地面にうずくまっている男に向けられた。「任せてください。あ、あとで一応事情聴取するからショウは来てもらえる?」シュリードは男を確認してから俺に言った。「わかった。」俺が応えるとマリガルドは剣を鞘に収めた。「はぁ、まぁ、ここでドンパチしたらそうなるわな。」気付くと周りには軽く人だかりができあがっていた。

 「それで、」シュリードは俺と俺の隣にいるマリガルドを交互に見る。まぁ、言いたいことは何となく分かるけど。シュリードやイリオウの判断で今日はここで夜を過ごすことになった。それなりに大きな騒動になったし、もう日が傾いていることも考えた判断だろう。「なにがあった?」シュリードの言葉で俺は現実に戻った。「えっと、」俺は一つ一つ時系列順に起きたことを説明した。最初、ニルティアが殺意を感じ取ったこと。空間魔法で移動した後、男性がゴブリンに襲われていたこと。ニルティアが善意からその男性を助けに向かったこと。ニルティアが男性とゴブリンの間に入った瞬間に殺気が解き放たれたこと。ニルティアに剣先が届く直前にマリガルドが介入したこと。そのあとマリガルドが言語圧で男を失神させたこと。「まぁ、普通に聞いても男が悪いな。」聞き終わったシュリードは腕を組みながら言った。「私がいなかったらニルティアちゃんは死んでたけど、王都の人間から見てそれは考慮していたことなの?」聞くだけでは何も感じないが、少し考えるとマリガルドの王都の人間への怒りが感じられた。、、違ったかもだけど。「それは、、」シュリードが少し言葉に詰まった。「変わらないな。」その言葉には、皮肉が込められていた。「申し訳ありません。」椅子から立ち上がったシュリードが頭を下げた。「いいよ。何事もなかったんだし。それよりも、私が介入したことのほうが問題なんじゃない?」あ、そういえば。「それは大丈夫です。最近の大臣たちはもうマリガルド様のことをねたんだりしていませんよ。100年前のことですし、ウィドルツ様が全員粛清しましたから。マリガルド様を英雄と尊敬しているものしか大臣ではありません。」うん、なんかえげつないワードが聞こえてきた。「ウィドルツ様か。え?あの子今何歳?」「もう40歳ですよ。なんなら国王です。」「えぇぇぇ、、。あんなに小っちゃくて私のことよく追い掛け回してきたウィドルツ様が?」「それって私が騎士団に入る以前の話ですよ。」シュリードが苦笑いする。なんだろう、、俺はここにいていいのだろうか。「結論、私は表立って一緒に行動していいの?」マリガルドは咳ばらいをしてから言った。「もちろんです。まぁ、報酬がどうなるかはわからないですが。」「あ、報酬はいらないから大丈夫。それ目当てで来てないから。王都がバカして私たちエルフの大切な仲間を失いたくはないから守りに来たの。もっとも、たいていのことは大丈夫だと思うけど。」まぁ、まさかだったからな。「とりあえず話は終わったから、帰っていいよ。」シュリードは俺に向かって言った。うん、もうちょっと早く言ってほしかったな。3つくらい前の会話くらいまで俺の発言なかった気がするんだけど?俺ずっと傍観者になってたんだけど?「わかった。」俺は椅子から立ち、入り口に向かった。「それじゃ。」そういって俺は仮設テント(とはいってもそこらへんにあった木を切って柱にして、王都の騎士団があらかじめ持ってきていた布を屋根にしたような質素なもの)を出た。

 「やっと出てきた。」俺がテントを出るのとほぼ同時に、横から声をかけられた。「待ってたのか?」俺が聞くと「うん。」と返してきた。「だからって全員で来る必要あるか?」もう一度問いを投げると、「でもみんなで行動したほうが安全じゃん?」と返された。まぁ、「たしかに。」「でしょ?」とニルティアが言った。「早く戻ろ。疲れたから。」アイシャが踵を返して歩き出した。「たしかに疲れましたね。」アリスもそれについていく。「行こっか。」テイリアスも歩き出した。俺はテントの前で出待ちしていたパーティーメンバーの後ろをついていくように足を出した。

 う、、なんだか暑い。俺は自分たちのテント―さっき急いで作ったが、魔法使いが多いおかげで、爆速で完成した―で寝ていた。防犯のことを考えて、俺が一番入り口に近いところで寝ている。のだが、目が覚めてしまった。音をたてないように気をつけて起き上がって横を見ると、元気に布団を蹴っているけど丸まって落ち着いたのであろうニルティアと、信じられないくらい丸くなって縮んでいるアイシャ、さすがというほど綺麗に寝ているアイシャとテイリアスが見えた。起こしちゃまずいな、と思ってそっと立った。あまり遠くに行かないようにしながら夜風に当たろうと思ってテントの入り口を開けた。

 外は真っ暗だったが、月がきれいに見えるおかげで少しだけ明るくなっていた。テントが見えるところを探しながら、少し開けたところを探していると、「早すぎるお目覚めだね。」と上から声をかけられた。「なにしてんすか?」俺の言葉を聞いたマリガルドはフワッと木の枝から降りてきた。「もし何かあったら、って思うと眠れないんだよねー。」なるほど。「やっぱり、夜でも血生臭いな。」さっきから風向きが悪い。「街から来てるね。」「やっぱり、王都みたいな街の作りなのか?」「そうだね。住居があって、中央に城がある。まぁ、大昔の王都だから。」初耳ー。「こっち来て。」マリガルドは林のほうに、もっと言えばウォテシィの方に歩き出した。「見張りは大丈夫なのか?」「大丈夫。何かあったらこの子たちが教えてくれるから。」マリガルドの足元に、数匹のリスが、背後には立派な角を持った鹿が、左には大きな猪が、右には黒い毛並みの熊がいた。「さすがだな。」「まぁね。」マリガルドは得意げに微笑んだ。「じゃあ、よろしくね。」マリガルドの言葉に動物たちは頷いて、テントがあるほうに進んでいった。俺はしばらく奥に進んでいく動物たちを見ていた。「ショウー。こっちこっち。」マリガルドの言葉で我に返った。「今行く。」俺はマリガルドの後を追って林の中に入った。

 「すごいな。」林から抜けて視界が開けた時に、俺は思わず声を出した。俺の目には、ウォテシィの街が湖の上に浮かんでいるように見えた。「すごいでしょ?目の錯覚なんだけど、浮かんでるみたいだよね。」マリガルドも目を細めてウォテシティを見ている。「昔はもっと夜景がきれいだったんだけどね。」今のウォテシィに夜景なんて言葉は存在しないと思う。だって、ただ暗いだけで全く明るくないから。まぁ、壁が高いせいでほぼ見えないんだけど。ここからだと割と街が見える。でも、やはりウォテシィは壁が高い。「明日、だな。」俺が言うとマリガルドは頷いた。「もう表に出ていいっぽいから、しっかり参戦するよ。」うっわ、なんかめっちゃ頼もしい。「まぁ、もしもの時は私が命がけで助けるから。」「わかった。」俺はその言葉を素直に受け止めた。「戻ろうか。」というマリガルドの言葉に従って、俺はテントまで戻った。



 

、、、、お久しぶりです、、、。いやぁ、ほんとに不定期になってrンですけど、書く気はあるんですよ?ほんとに。ただふつーに時間がとりにくいんですよね。まぁ、たぶん不定期投稿が続くんぇすけど、気長に待っていただいてこれからも読んでいただければ嬉しいです!では次の話で!

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