69話 悪い夢
ふと、目が覚めた。昨日の夜、「明日はみんなで早起きして準備を終わらせて出発よう。」と言ったときの視覚の記憶が鮮明に思い出せる。みんな頷いていた。マリガルドは少し宿でゆっくりして、ホルペルでエルフの村に帰っていった。さて、と。俺はベッドから降りて窓を開ける。宿の窓には雨戸が付いているから、夜はしっかり暗く出来る。ん?なんか、まだ外が暗いな。「ショウさん、何してるんですか?外ばっかり見て。」いつの間にか部屋の中にアリスがいた。「え?どうやって、、、」俺は次の言葉を発することが出来なかった。アリスに首を絞められ床に押さえつけられたからだ。俺の表情を理解したのだろう。「あ、『意味が分からない』って顔してますね。昨日の夜ショウさんが自分の部屋に戻った後に皆で話し合ったんです。『ショウさんが殺人鬼かどうか』を。」、、昨日、たしかに俺が誰よりも早く自分の部屋に戻ったが、そんな空気は全くなかった、と思う。「それで、結論は言うまでもありませんよね?この状態が話し合いの結果です。」俺が殺人鬼、と言う結論、だな。だが、テイリアスも同意したのか?正直、テイリアスだけは否定すると思っていた。「あ、ちゃんとテイリアスさんも『ショウは、、殺人鬼かもしれない』って言ってましたから。」なんだと?アリスの顔面が歪みはじめた。「皆に優しくしておけば大丈夫、なんて思ってました?」違う。「殺人鬼であることがそんなことで隠せるとでも思いました?」違う。違う。「ショウ、そんなこと思ってんの?」違う、、違う、、、違う違う違う。「ショウさん!」俺の首を絞めているアリスの後方から、普段聞き慣れたアリスの声がした。後ろから伸ばされた来た腕は、輝いて見えた。俺は感覚が麻痺し始めている右腕でその腕を掴んだ。次の瞬間、力強く引っ張られた。
「、、!」なんだ?「、、さん!!ショウさん!!」呼ばれて、って!俺は一気に跳ね起きた。おそらくこの行動に驚いた人はいなかったと思う。なぜなら、そんな行動よりも驚くことがあったからだ。俺はベッドの上でファイティングポーズをとり―柔道も空手も格闘技の経験は無いから闘えるわけも無いのだが―辺りを見回し、あるところで目がとまった。「なんだ?それ。」俺が指を指したのは、部屋の隅で魔法の拘束にかかっている人?だった。「いや、いくらなんでもショウさんが遅いって言うことで部屋まで来たんです。」あ、そうだったんだ。「そしたら、」アリスはそいつの方を見る。「こいつがショウさんに向かって魔方陣を展開しているのが見えたので、」「全員でしばいた。」アイシャがアリスから言葉をつないだ。腕を組んでいたテイリアスも頷いた。「それで、こいつは何者なんだ?」俺が聞くと、アリスは首を横に振った。「全く見当が付かないって訳ではないんです。」?「そうなのか?」「このローブ、見覚えないですか?」俺は侵入者が着ている服に注目する。、、ピンときた。「アベント、だな。」アリスが頷く。「はい。」マジか。「う、、。」少しそいつが呻いた瞬間、俺は剣先を向け、アイシャとテイリアス、アリスは魔方陣を展開した。「ここは、、、ひっ、。」そしつは少し辺りを見て、俺たちの戦闘態勢に気づき、暗殺者らしからぬ声を出した。「さて、なんでここへ来た?」俺が剣先を突きつけながら言うと、そいつは明らかにビビった。「なぜ、魔方陣は完璧に作動していたはず。」「残念だったな。俺には強すぎる家族がいるんだよ。さっさと全部話した方が良いと思うぞ?」
男から聞き出せた情報は、やはりあいつはロイルたちの仲間だったということ、集団の中でロイルを殺した俺への怒りと憎しみが膨張していること、そして今回は始まりに過ぎないこと。とりあえず俺はそいつを門番のところ―たぶん衛兵の駐屯所がどこかにあるのだろうが場所が分からないから―に行き、渡した。アベント集団に付いては王都を始め、各地域の冒険者協会が探っているから、少しでもそれが促進できれば良いんだが。衛兵にさよーならしたときにはもう明るくなっていた。そろそろ出発の時間だ。宿を出るときにそのまま出発出来るようにしておいて良かった。と思いながら冒険者協会の前まで行くと、これまでで見たとの無いほどの数の冒険者がいた。
いやぁ、お久しぶりです。そこの「もうこいつ諦めたんじゃね?」と思っていた読者さん(いらっしゃるか知りませんが)ちゃんと続きがあったでしょう?ちゃんと書きますって。さてさて、まだまだ続く最弱転生、次の話も読んでくださいね!




