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56話 クリスの知り合い

 「うわぁ、、。」ニルティアが門をくぐって真正面の建物を見ながら感嘆の声を漏らした。「あぁ、あれが王城ね。」なんか、そんなに派手というわけではないけど、地味というわけでもない。確かな存在感を感じる。「あ、そう言えば、あそこの噴水でクリスの知り合いが待ってるって言ってたけど、、」噴水の周りに大きな人だかりが出来ている。「あそこに行くのか?」「なにビビってんのよ。」アイシャに言葉で刺された。ぞろぞろと噴水の方に近づく。「なんか、噴水の前にいる人の周りに人だかりができてるみたいだよ。」ニルティアが耳をぴょこぴょこさせながら言う。テンションが高い証拠だな。なんとか人ごみの最前列にいけた。「シュリード様!!」「シュリード様ぁぁぁ!!」周りの人たちが叫ぶ声が聞こえる。シュリード?誰だそれ。「あの人のことでしょうか?」目線を噴水の前に立つ女性の方に向ける。いかにも上質な服に、静かなたたずまいの女性が立っていた。腰にはきれいな装飾がされた剣の鞘とそれに収まる剣を差している。「シュリード、ってたしか、、、」アイシャが言いかけたとき、向こうから声をかけてきた。「あ、君たちがクリスの知り合い?」大勢の視線が俺たちの方に向けられる。「あ、はい。ショウと言います。」「やっぱり早かったわね。クリスの読みは当たったわけね。」シュリードはまだまだ騒いでいる周りを見て、人差し指を立てて唇に当てた。一瞬で周囲が静まり返った。「ここだと目立つから向こうで話さない?」「そ、そうですね。」アリスが言った。けど少し声が裏返っている。

 シュリードについてある喫茶店のようなところに入った。「あ、マスター。個室空いてる?」「あぁ、シュリード様でございますか。どうぞ、あちらの部屋が空いております。」マスター、と呼ばれた人は丁寧にお辞儀をして奥の方に視線を送った。「ありがとう。」そう言うとシュリードは奥の方へ歩いて行った。

 「さて、と。初めまして。」椅子に腰かけるなり、シュリードが口を開いた。「、、初めまして。ウドルフで冒険者をしているショウです。」「アイシャ。」「テイリアスです。」「ニルティアです!」「アリスです。よろしくお願いしますね。」「あ、ため口でいいわよ。へぇ、あなたたちが”新星”ね。」「”新星”?」アリスが聞き返した。「あら、聞いていないの?最近ガデルの奪還をはじめとしてレシオレ討伐やウドルフの防衛、さらには魔族からの引き抜きに成功した新星のパーティーがあるってこっちでも話題になっているのよ。」へぇ、そんなことが。「、、魔族からの引き抜き。」テイリアスが反応した。まぁたしかに、「魔族からの引き抜きは、あまり話題にしないでほしい。」俺がそういうとシュリードは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに元に戻った。「あぁ、そうね。失言だったわ。」「大丈夫。」テイリアスがフォローした。「ありがと。それじゃあ、作戦についてだけど、正直正面突破しかないわね。」「でも、奴隷って法律で認められてますよね?」「そうなんだけど、奴隷法っていう法律があって、これには『第三者の介入によって行われた奴隷解放は罰する対象にならない』って書いてあるの。」なんだその無茶苦茶な法律。「武力行使で開放しても構わないと?」俺が言うとシュリードは頷いた。「えぇ。とられる方が悪い、っていう考え方なの。ただ、恨みは買うことになるわ。これは避けた方がいい。」「恨みは怖いからな。」「えぇ。それに奴隷商は護衛をつけているの。これがそれなりに強いことが多い。」「なんでそこまでして奴隷商をするんですか?」アリスが会話に入ってきた。「結構単純な理由よ。リターン、いわゆる利益ね。これがすごく大きいの。」「そうなんですか?」「えぇ、だって奴隷商は他人に依頼して自分は危険を冒さずに候補となる人を捕らえる。そして、」「誰かに売り飛ばす。」言葉を継いだ。「えぇ、そこには必要最低限の出費しかないの。でも奴隷によっては数千万単位のゼニーが動くこともある。」「でも今はこれを禁止することができない。」シュリードは腕を組んだ。「えぇ、そのとおりよ。法律はただ責任を負わないだけで禁止はしていない。最近になって奴隷を廃止しろって声が活発になってきているけど、まだ声が小さい。」「まぁ、もし廃止になった場合、今奴隷として扱われている人はどうするのかっていう問題が起きますからね。それをしっかり考えておかないと。」アイシャが言った。「あ、それは大丈夫。私たちの集団で保護することに決めたから。」「なるほど、行動が早いな。」「まぁ、これでもそれなりの立場だから。」少しの間沈黙が流れた。「ニルティアちゃん大丈夫?」声がした方を振り向くと部屋の隅でニルティアが膝を抱えていた。それを見た瞬間、しまったと思った。ニルティアは俺たちと出会うまではロイルのたちアベント集団に奴隷とされていたんだ。「ニルティア、きつかったら外に出てていいぞ。」あまり無理はしない方がいいし、。「ううん、大丈夫。ちょっと思い出しただけ。」「そうか。わかった。」まぁ、無理に外に出させる必要はないな。「それじゃあ、今の話の結論としては、、待て、と?」俺が今までの話を超簡単にまとめた。「うん、そうなるね。」シュリードが組んでいた腕をほどいて机の上に置いた。「まぁ、私の立場上、あまり公に奴隷商を叩けないのよね。」「?それはどういう?」「私が王都近衛兵団第一師団長だからよ。」、、、「へ?」「あー、その反応だとクリスからは聞いていないようね。」はい、何も聞いておりません。「私は王都の秩序を守る騎士団の中でも選りすぐりの集団、近衛兵団に所属している。それも近衛兵団の中でも一番上の第一師団、それにその長。これの意味が分かる?」「法律の抜け穴みたいなものを使っていいような人じゃないですね。」アリスが苦笑する。「そうなのよー。だから今まで何もしなかったんだけど。」「けど?」いつも間にかニルティアがこちらに来ていた。「今ちょっと強引に法律案を通してるところ。」おいおい。「そんなことしちゃっていいんですか?」権力の乱用じゃ?「いいのよ。今まで我慢してきたんだから。」あーあ、言っちゃった。「まぁ、そういうことなら。法律ができるまでは待ちましょう。さっさと決めちゃってください。」「任せて。私の肩書が火を吹くわよ。」うわぁ、完全に権力の乱用だ。促進したのは俺だけど。

 シュリードとの話を終えて、少し休憩した後に宿に案内された。まぁまぁな宿だったが、受付はラファエルさんのような関わりやすいような人ではなく、機械的な人だった。まぁ、いいけど。


だいぶ遅くなりましたね。まぁ、王都は割と裏設定が多くなりそうなので待っていただけると嬉しいです!では次の話で!!

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